TVシリーズの「逃亡者」(The Fugitive)が日本で放送開始されたのは、東京オリンピックが開催される直前の1964年5月16日から1967年6月17日までで、土曜日の20:00~20:55だった。足掛け4年にわたって放送されたことになる。
裏番組には「巨人戦」ナイターがあったが、「逃亡者」は20%~25%の視聴率だったことからも、人気ぶりがうかがえる。
「逃亡者」が終わるころに放送が始まったのが「0011ナポレオン・ソロ」(The Man from U.N.C.L.E.)で、日本では1966年から1970年まで放送された。さらに1967年4月からは「スパイ大作戦」(Mission: Impossible)の放送も始まった。これらはいずれも映画化されている。
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映画「逃亡者」は1993年にテレビ版のリメイクとして製作され、医師リチャード・キンブルをハリソン・フォード、連邦保安官補サミュエル・ジェラードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。妻殺しの罪を着せられた医師が警察に追われながらも真犯人を見つけ出すというサスペンス映画だった。
さらに映画「逃亡者」のスピンオフ作品として、「追跡者」(U.S. Marshals)が1998年に公開された。こちらは逃亡した殺人容疑の元CIA特殊工作員を連邦保安官代理が追うサスペンス映画。ジェラード保安官補は本作で、連邦保安官上級代理に昇進し、その部下の活躍などを描いた。
テレビ版と映画版を一概に比較はできない。
両者の間には30年の時間差があり、モノクロからカラーに、テレビの時代には、タバコを吸っている人が多く、男は10人中6人までが帽子をかぶっている、などの変化がある。
テレビ版で主演したデヴィッド・ジャンセンのイメージが強烈で、ジャンセンは1980年2月13日に死亡。映画化の際に生きていればジャンセンが「俺が」と主演していたかもしれない。逆に亡くなったことで映画化(1993年)もされて、ハリソン・フォードが主演したともいえる。
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テレビのナレーションが印象に残る。声の主は声優・矢島正明。
矢島正明といえば「0011ナポレオン・ソロ」のナポレオン・ソロ(ロバート・ヴォーン)や「スター・トレック」のカーク船長で有名。ロバート・ヴォーンの生の声を初めて聞いたのは「ブリット」(1969)だったので、矢島正明の声のイメージがあったので、本人の声に逆に戸惑った記憶がある(笑)。
テレビ(OP)
テレビのナレーションとは異なるが、パンフレットには、下のような文言があった。
「リチャード・キンブル。職業、医師。目的地、州刑務所の死刑執行室。キンブルはその妻を殺害した罪に問われ死刑の宣告を受ける。しかし法律は神ならぬ人間の手により作られ人間が執行する。恐るべき誤審はここに生じる。キンブルは無実である。だが彼は自分の容疑を晴らす事実を立証できなかった。妻の死体を発見する直前に片腕の男が走り去るのを見た。しかしその男はついに発見できなかった。彼はこの世の名残りに外をみつめながら自らの運命をじっと考えている。窓の外の自分の将来も暗黒だった。---しかし、その暗黒の中に運命の計り知れぬ力があった。」
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映画はカラーにもなり、ハリソン・フォード主演でも、リチャード・キンブル=デヴィッド・ジャンセンというのは、拭い去れない。ハリソン・フォードというと、ハン・ソロ(「スター・ウォーズ」シリーズ)やインディ・ジョーンズの顔も思い浮かべるが、ジャンセンといえば、キンブルしか思い浮かばないからかもしれない。
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逃げるキンブル、追うジェラード。波乱万丈の展開でテレビのくぎ付けになった伝説のドラマも50年。映画版では、スター俳優のハリソン・フォードに加えて、執念の鬼と化したジェラードを演じたトミー・リー・ジョーンズがインパクトがあった。その妻役にはジュリアン・ムーアが扮していた。
張りつめた緊張感の中にもアクションもあり見せ場も多かった。
それでも、結論としてテレビ「逃亡者」>映画「逃亡者」となりそうだ。
写真:映画パンフより。
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