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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「乾いた太陽」(1962)ポール・ニューマン主演。

 
 
テネシー・ウィリアムズの「青春の甘い鳥」を映画化した「乾いた太陽」(原題:Sweet Bird of Youth, 1962)を見た。 「熱いトタン屋根の猫」「エルマー・ガントリー 魅せられた男」のリチャード・ブルックスが脚色・監督した作品。音楽はハロルド・ジェルマンが担当。ポール・ニューマン主演映画でも知らなかった映画の1本だったが、女優陣(ジェラルディン・ペイジ、シャーリー・ナイト)がすばらしかったので見ごたえがあった。
 
出演は「ハスラー」「熱いトタン屋根の猫」のポール・ニューマン、「夏と煙」のジェラルディン・ペイジ、「階段の上の暗闇」のシャーリー・ナイトをはじめ、エド・ベグリイ、リップ・トーン、ミルドレッド・ダンノックなど。「お茶と同情」のパンドロ・S・バーマン製作。この映画で、エドベグリイアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
 
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フロリダから来た1台のキャデラックが、大西洋岸の南部の町セント・クラウドのホテルに着いた。運転をして来た若い男と客席の年増女の2人連れである。
 
若者はこの町の出身でチャンス・ウエイン(ポール・ニューマン)、女はかつてのセックス・シンボルと呼ばれ一世を風靡した女優・アレグザンドラ・デル・ラーゴ(ジェラルディン・ペイジ)。
 
若さと美貌のおとろえに絶望したアレグザンドラは映画界からの逃避旅行の途中、パームビーチで海浜ボーイをしていたチャンスを運転手兼付き人として雇ったのだ。
 

放浪の途中、チャンスがこの町にやって来たのには理由があった。
ここにはチャンスの初恋の女性ヘブンリー(シャーリー・ナイト)(写真)がいるのだ。ヘブンリーの父フィンレイ氏は町の有力者で、名声を重んずる氏は、ホテルのボーイだったチャンスを町から追い払ったのだった。
 
ニューヨークに出たチャンスは、ブロードウェイでタレントとして騒がれ、この町までも知れわたる人気者になったが、それも朝鮮戦争でオジャン、チャンスが復員したときには誰も見向きもしなかった。
 
町の人々の冷たい仕打ちをうけたチャンスは、かつての人気をとりもどそうと再び夢を追って都会に出た。だが2度と機会は来なかった。
 
そして今度、アレグザンドラに望みをたくしこの町に姿を現したのだ。
町ではフィンレイが州知事選挙に立候補し、大変な騒ぎだった。娘の純潔を売りものにするようなフィンレイ氏にとって、チャンスの帰郷は邪魔だった。

 

フィンレイ家の監視の眼を盗んでようやくヘブンリーに逢えたチャンスは、今度こそアレグザンドラを利用して成功できると説明し、一緒に町を出ようと頼むのだった。
 
だが、父がチャンスに何をするか知れないと恐れたヘブンリーは、ただ逃げるようにと言うだけだった。その夜、チャンスには意外な出来事が持ち上がった。
 
アレグザンドラのカムバック作品が、期待に反して大入りをつづけているとの報せがあったのだ。自信がついたアレグザンドラは、チャンスを振り捨ててさっそくこの町を去って行った。
 
チャンスの成功への夢はこれで完全に断ち切られたが、今の彼には不思議なほど未練がなかった。ただヘブンリーとのささやかな生活を願うチャンスは、ヘブンリーの家を訪れた。
 
だが、ヘブンリーの兄につかまったチャンスはステッキで顔を叩き割られた。
倒れたチャンスを抱き起こすヘブンリー。やがて2人の乗り込んだ車は、怒るフィンレイ氏をしり眼に走り去るのだった(MovieWalker)。
 
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アメリカを代表する劇作家、テネシー・ウィリアムズが1959年に書き下ろした「Sweet Bird of Youth」(青春の甘い鳥)は、上昇志向が強く、したたかな企みを抱く青年と、年齢とともに美しさが翳(かげ)り、容姿に絶望を感じる女優、これらの2人を中心に、多彩な人物が交錯し繰り広げる愛憎と刹那の人間模様を描いた名作として知られている。
 
「乾いた太陽」は舞台劇として、日本でも上演されており、最近では3年前にも浅丘ルリ子上川隆也主演で上演された。
 
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1960年ごろは、タイトルにやたらと”太陽”(いっぱい、ひとりぼっち、知っている、など)とついた作品が多いので、「乾いた太陽」というと、日活映画のような印象を受けるが、原題は「青春の甘い鳥」。この言葉は、家族(この映画の場合は父親)の束縛、言いなりになって自由を奪われてきた娘に対して、主人公の男が「鳥のように自由ならいいのに」(free as a bird)というセリフからきているようだ。
 
ビーチボーイとしてうだつが上がらない青年が、落ち目になった元大女優の付き人になって、女優の復活を機に、自身も映画の役をもらおうとする野望などを描いている。
 
かつて栄光を浴びた女優が40代を過ぎて、美貌に衰えがでてきてアルコールと麻薬に手を出して自暴自棄になる、といった役柄をジュラルディン・ペイジが熱演している。舞台劇のようにややオーバーなセリフ回しや演技が気になるといえば気になるが「サンセット大通り」のグロリア・スワンソン、「バージニア・ウルフなんかこわくない」のエリザベス・テイラー、「欲望という名の電車」のヴィヴィアン・リーなどにも比肩されるような圧倒する演技を見せる。
 

ジュラルディン・ペイジ
は、ゴールデン・グローブ賞では通算8回ノミネートされ、1961年「肉体のすきま風」と1962年のこの渇いた太陽」で2年連続ゴールデングローブ賞主演女優賞 (ドラマ部門)を受賞。
 
すごいところは、アカデミー賞のノミネート回数が8回ということ。これは女優演技部門では4位。1位はメリル・ストリープ(19回)、2位はキャサリン・ヘプバーン(12回)、3位はベティ・デイヴィス(11回)といったそうそうたる女優に次ぐもの。ペイジが後進に与えた影響は大きく、その存在は現在のハリウッドを代表する大女優メリル・ストリープミシェル・ファイファーにも受け継がれているといわれている。1985年の「バウンティフルへの旅」で8回目のノミネートで悲願のアカデミー主演女優賞を受賞した。
 
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