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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「白い肌の異常な夜」(1971)クリント・イーストウッド主演。

 
白い肌の異常な夜」(原題:The Beguiled、1971)は、ドン・シーゲル監督が「ダーティハリー」と同様にクリント・イーストウッド主演で同じ1971年に監督した作品。
公開当時、題名にドン引きしてB級映画かと思いみていなかった(笑)。
 
原題は、”欺かれた””騙された”人たちといったところか。
映画タイトルを、エロティック映画まがいの邦題にしたのは、是か非か。
 
内容は、無理にタイトルの通りに考えれば、女の園に舞い込んだ兵士が無残にも文字通り白い肌の女たちによって異常な夜を迎えるサイコスリラー映画ということになる。
 
画面にリンカーンのシルエットの絵や、銃声や馬のいななき、死んだ兵隊の画像などがセピア調の静止画で映し出されていく。
 
そこにささやきのようなナレーションが入る。
「兵隊になるな。軍隊に入るな。」「ハトは去り、カラスが来る」「死神が訪れる。ドラムの音で」「美しき娘たちよ。大声で反対しろ」「君たちの若者に銃を持たすな。」
 
そこに、グリム童話赤ずきんちゃんのような少女エイミーが森の中でキノコ採りをしていると、木の上に傷ついた男を発見し、セピアカラーの映像が不吉な予感をジワジワと湧かせる。エイミーは「父は戦争で死んだわ。あなたは敵ね」というと兵隊は「助けてくれ」という。
 
 
南北戦争で傷を負った北軍の兵士・ジョン・マクバー二(愛称、マクビー:クリント・イーストウッド)が、エイミーに助けられ、とある森の中の男子禁制の女学院に保護され、手厚い看病を受ける。
 


女学院には、女性校長のマーサ・ファーンズワース(ジェラルディン・ペイジ)のほか、教師のエドウィナ・ダブニー(エリザベス・ハートマン)、17歳のキャロル(ジョー・アン・ハリス)、ドリス(ダーリーン・カー)、ジャニー(パッツィー・マティック)、亀の子をペットにしているエミーなどの生徒、それにメイドの黒人女ハリー(メエ・マーサー)など女性ばかりがいた。
 
・・・
男を知らない娘などが、突然、北部の敵とはいえ男が飛び込んできたので、平静を装いながらも、それぞれの思惑(異性への興味、虚栄心など)で男に近づいていく。男も、それをいいことに、女たちにそれぞれの方法で誘惑し、ワルな男と怖い女のおどろおどろしい展開となっていく。
 
校長は兄と情事を交わした過去を持つ女で、そのことを示す手紙や写真が入ったペンダントをマクビーに見つけられ動揺する。そして、恐るべき事態が起こる・・・。
 
・・・
マクビーに薬を飲ませ、怪我をした足は、切断するしかないと、校長マーサの独断で、マクビーが眠っている間に右足をのこぎりで切断してしまうのだ。目を覚ましたマクビーの驚きたるや・・・。


怒り狂ったマクビーは、銃を持って、自分がこれから宿舎を支配するといいだすが、校長マーサは、生徒たちに、男を食事でもてなそうと提案。男の大好きなキノコ料理を準備する。ところが、それは毒キノコだった。

 
 
マクビーは女たらしで「手はじめに黒人のハリーから」と迫ろうとすると、ハリーは「抱くなら殺してからしな。白人のいうなりになんかなるもんか」とい威勢がいい。校長に対しては、マクビーが「お前の寝室にいかなかったからだな(足を切断したのは)」というと、「死ね、バチ当たり」と言葉が返ってきた。マクビーの自業自得とはいえ、足を切断され、毒殺されるとは、無残な最期だった。
 
 

誰が一番怖かったか。映画の冒頭、キノコ狩りをしていて、マクビーを助けた12歳のエイミーではなかったか。可愛がっていた亀のランドルフをマクビーが投げつけ死なせてしまったり、教師のエドウィナとマクビーが、結婚して宿舎を出て行くといったので殺意があった。間もなく13歳になる少女もマクビーを愛していた、という裏返しなのだが、校長マーサにしても、少女エイミーにしても、女は怖い、という映画だった。
 
のこぎりで足を切断するシーンは直接的なシーンはないが、壁に映るシルエットで映す怖さ。「ミザリー」のハンマーで足を打ち付けようとする狂信読者(キャシー・ベイツ)並みの恐怖があった。
 

校長を演じたジェラルディン・ペイジは、アカデミー賞に8度ノミネートされ、女優演技部門においてメリル・ストリープ(19回)、キャサリン・ヘプバーン(12回)、ベティ・デイヴィス(11回)に次ぐ、歴代
4位となる記録保持者である。1985年の「バウンティフルへの旅」で8回目のノミネートで悲願のアカデミー主演女優賞を受賞した。
 
「白い肌の異常な夜」(原題:The Beguiled)
製作: ドン・シーゲル 
原作: トーマス・カリナン 
脚本: ジョン・B・シェリー 
       グライムス・グライス 
撮影: ブルース・サーティース 
出演:
  クリント・イーストウッド ジョン・マクバーニー伍長
  エリザベス・ハートマン: エドウィーナ・ダブニー
  ジョー・アン・ハリス: キャロル
  ダーリーン・カー: ドリス
  ジェラルディン・ペイジ: マーサ・ファーンズワース
  メエ・マーサー: ヘイリー
  パメリン・ファーディン: アメリア(エイミー)
  メロディ・トーマス・スコット: アビゲイル
  ペギー・ドライヤー: ジー
  パッティ・マティック:
ジャニ
製作:1971年
 
☆☆☆
 
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