「クイーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」(2012、日本公開2014)を、タイトルに惹かれて見た。ドラマが展開するのかと思ったら、本物の一家を追ったドキュメンタリーだった。富豪の一家の日常の断面を淡々と描いただけで、面白みがない。
転落といっても、無一文になったわけではなく、資産のビルを売却して、まだ”ベルサイユ宮殿”のようなアメリカ一の邸宅を諦めていない、という映画。
フランス・ベルサイユ宮殿風の大豪邸を、総工費100億円をかけてフロリダに建築してしまおうという大富豪夫妻の野望?と挫折を描いている。
タイムシェア式リゾートで、一代にしてアメリカ有数の大富豪となったデヴィッド・シーゲル(本人)と、その妻で31歳年下の元ミスフロリダ、ジャクリーンの夫妻と、養子を含む8人の子どもたちが主人公。
ベルサイユ宮殿を模した邸宅を建設中、リーマンショックによりアメリカンドリームの頂点からどん底に叩き落された夫婦の現実を映し出す。当初、大豪邸完成までを追う作品であったが、予想外の世界的金融危機の影響から大富豪転落の記録映画となった。2012年サンダンス国際映画祭ドキュメンタリー部門監督賞受賞。
無一文からタイムシェア(共同所有)リゾートビジネスで、巨万の富を得る大富豪となり、ジョージ・W・ブッシュを大統領にのし上げた男と言われる夫デヴィッド・シーゲルと、元ミセス・フロリダでグラマラスなボディをもつブロンドの妻ジャッキーは、2500平米もの大邸宅で贅沢三昧の暮らしを送っていた。
そんな二人が抱いた野望の頂点は、アメリカ最大の邸宅を作るという夢だった。
その総工費は100億円。10のキッチン、15の寝室、30のバスルーム、500人収容のパーティーホールなどを擁する新居建設が始動。
途中まで完成の”ベルサイユ宮殿風”大邸宅。
ベルサイユ宮殿を模したこの邸宅は、ホワイトハウスの2倍の大きさを誇る約8400平米の文字通り宮殿クラスの大豪邸になる予定だった。
ローレン・グリーンフィールド監督は、この馬鹿げたとてつもなく壮大なアメリカンドリームを記録することを夫妻に打診。2007年、彼らのベルサイユ宮殿完成までを記録するドキュメンタリー映画として撮影はスタート。
デヴィッドが金策に奔走し追い詰められていく中、6割は完成していた“ベルサイユ”の建設も中断されることになった(MovieWalker)。
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2008年の金融恐慌(リーマンショック)がなければ、順調に”ベルサイユ”宮殿並みのアメリカ最大の豪華邸宅が完成する予定だったが・・・。ラスベガスに6億6,000万ドル(約700億円)の巨大ビルを建設したものの、リーマンショックで、銀行が貸付金の回収に回ったために、4億ドルもの負債を抱えてしまったシーゲル。
日本でも、銀行はドラマ「半沢直樹」で描かれるように、晴れている日に傘をかそうとするが、雨の日には傘を取り上げるどぎつさが描かれていたが、この映画のシーゲルも、「銀行は麻薬の売人と同じだ。低金利で融資に慣れさせて中毒にして、それから容赦なく金を取り上げる。我々を中毒にして、その金が会社を守るのに必要な時にだ」と語る。
シーゲルの妻は、豪華なパラダイスのような家で、夢のような生活だったが、夫の会社の苦境を知らされていなかったため、打つ手がなかったと嘆く。お金が無くなっても、レンタカー会社に車を借りに行って、「ドライバーの名前は?」と聞く始末。レンタカーも運転手付きだと思い込んでいるのだ。
8人の子供達と厳しい生活を余儀なくされると、ようやく現実に目覚めたのか、マクドナルドのチーズバーガーを買って帰り、「豪華なパラダイス(宮殿)で、高級チーズバーガーよ」と子供たちにいうのだった。
シーゲルの息子の一人は、親子といっても、雇用者と従業員の関係で、親は全く甘やかすことはなかったという。
ラスベガスのビルを手放さない限り、ベルサイユのような邸宅を建設することは不可能になり、ビルの権利を売却。まだ完成していない”ベルサイユ”の完成を諦めずにこれから巻き返すというのだが・・・。
物語の主人公のシーゲル氏は、「映画化を引き受けた時は、成功物語のはずが、転落のストーリーになっているようだ」と語っている。
30歳年下の妻は、元ミスといっても40歳。
夫が冷たくなってきたので、「20歳の若い女x2人がいいのか」と妻も皮肉を言う。
再生のために、節電をして、妻にも「無駄な電気は消せ」と八つ当たりをするようにになってきた。妻や娘たちもそんな父親を心配する。
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ドラマチックに映画化すれば良かったが、ドキュメンタリー調で、本人たちもプライドがあるので、マイナスイメージになるようなところは避けているようで、ストーリーの起伏に欠けるきらいがあり残念。
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