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<span itemprop="headline">映画「イヴの総て」(1950)・・・アカデミー賞・作品賞ほか6部門受賞。3回目の鑑賞。</span>


 
イヴの総て」(1950)は、かつてテレビ(1970年、2000年)の2回見ていたが、「アカデミー賞大全集10本DVDセット」の1本として含まれていたので再々見した。
 
この映画は、ブロードウェイの文字通り、舞台裏を描いて、アカデミー賞では、作品賞、助演男優賞ジョージ・サンダース)、監督賞ジョセフ・L・マンキーウィッツ)、脚本賞ジョセフ・L・マンキーウィッツ)、衣裳デザイン賞(白黒)(イーディス・ヘッド)、録音賞の6部門で受賞。
 

 
主演女優・マーゴ役は当初、クローデット・コルベールが演じる予定だったが、怪我のために降板。スーザン・ヘイワードマレーネ・ディートリッヒバーバラ・スタンウィックの名前も挙がったが、脚本を読んで気に入ったベティ・デイヴィスが演じ、デイヴィスの代表作となった。

イヴ役のアン・バクスターベティデイヴィスはともにアカデミー賞・主演女優賞にノミネートされたが、票が二つに割れたことで、二人とも受賞は叶わなかった。
 
ベティ・デイヴィスは、アメリカ映画界の大女優のひとりで、人気ランキングでは、常にキャサリン・ヘプバーンと並んで、1、2位に君臨。映画界で俳優・女優から尊敬されているようだ。

日本で言えば、田中絹代高峰秀子といった存在だ。無名だった頃のマリリン・モンローが端役(チャンスを狙う新人女優)で出演している。
 

                  モンロー(右)も、華やかだが、新人で・・・。
 
物語:
アメリカ演劇界最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞が、新進女優イヴ・ハリントン(アン・バクスター)に与えられた。満場の拍手のうち、イヴの本当の姿を知る数人だけは、複雑な表情で彼女の受賞を見守るのだった・・・。
 
田舎から出てきた女優志望のイヴは、ブロードウェイの大女優・マーゴ(ベティ・デイヴィス)の付き人となる。自分の大ファンだというイヴに目をかけるマーゴだったが、イヴは次第に本性を表してゆき、批評家やマーゴの周りにいる人々に取り入ってゆく。
 

 
ある日、出るはずの舞台に間に合わなかったマーゴの代役として出演するチャンスをつかみ、イヴは批評家たちから絶賛される。これを皮切りに、劇作家や有名批評家に巧く取り入り、マーゴまでも踏み台にしてスター女優へのし上がっていく・・・。
 
・・・
 ブロードウエイ・ミュージカルの「アプローズ」(”拍手喝采”の意)は、「イヴの総て」のミュージカル版で、劇団四季でも上演された。
 
「イブの総て」の映画自体が舞台劇を見ているようで、会話の妙、女優・俳優の演技で見せている。タイトルのとおり、イヴがいかにして、主役の座を射止め、のし上がっていくかが描かれている。
 

イヴを演じるアン・バクスター(写真)は、生真面目で、謙虚な性格のような表面とは裏腹に、すべてにソツがなく、利用できるものはすべて利用するというしたたかな本性が現れていくところが見所。
 
授賞式のスピーチにそれがよく現れているが、謙虚なスピーチで、自分に賞をもたらした関係者を持ち上げる、完璧なスピーチだった。
 
しかし、一旦家に戻ると、やり遂げた満足感があった。化粧台に目を向けると、うしろのソファーに見慣れない若い女がいた。問い詰めると、メイドの目を盗んで部屋に入ったが、眠ってしまったという。
 
女子高で、クラブの委員長で、イヴ・ハリントンのようになりたいと訪ねてきたという。ブルックリン出身で、女優も、バーバラ・スタンウィックスーザン・ヘイワードなどもブルックリン出身だとアピール、早くもイヴに取り入ってきた。
 
たまたま、トロフィーをタクシーに置き忘れたからと届けに来たイヴのプロデューサー的な後見人アディソン・ドゥイット(ジョージ・サンダースアカデミー賞助演男優賞受賞!)と鉢合わせしたその女性がトロフィーを受け取る。「欲しいかね?」とドゥイットが言うと「世界中の誰よりもほしい」と女優への意欲の強いことを告げる。
 
すると、ドゥイットは一言、こう言い放つ。
 
女優になりたかったら、イヴに聞きなさい。彼女は全てを知っている。」
 
・・・
なんとも痛烈だが、辛辣でもあるエンディングだ。イヴとドゥイットは、同じ種類の人間で、野心にあふれていて、同じ穴の狢(むじな)という意識があった。フィービーと名乗る女性は、トロフィーを手に持って、イヴの見ていないすきにイヴの衣装を着て、鏡の前に立って、女優になった気分を味わうのだった。
 
マーゴ(ベティ・デイヴィス)のセリフなども面白い。
ピース&クワイエット(平和と静けさ)は図書館だけで十分
カーラジオをつけセンチメンタルな音楽が流れると「安っぽい感傷は嫌いよ
 
ピークを経験し落ち目となっていく女優と、新進気鋭の若い女優のポジション争い・・・といった古典的なストーリーだが、見ごたえのある映画である。
 
これぞ映画:fpdの生涯マイベスト30の1本。
 
 
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