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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「瘋癲老人(ふうてんろうじん)日記」(1962)若尾文子、山村聰主演。

 
谷崎潤一郎の中編小説を映画化した「瘋癲老人日記」(1962)は、若尾文子が主演というので見た。若尾文子追っかけシリーズ第3弾だ。「瘋癲(ふうてん)」とは難しい漢字だが、「男はつらいよ」の「フーテンの寅」の元の言葉のようだ。
 
Wikiによると、瘋癲(ふうてん)とは、①精神的な疾患(→ 精神疾患②定職を持たず街中などをふらつくこと。またはその人(→ 無職③1960年代から1970年代の日本における和風ヒッピーの俗称「フーテン」(→ ヒッピー)とある。
 
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この映画は一言で言えば、”変態老人と強欲美人嫁の物語” と言える。
 
山村聰といえば、「トラ・トラ・トラ!」の山本五十六役などの軍人などの重厚な役が印象にあるが、「瘋癲老人日記」では、自分の息子の嫁・颯子(さつこ、若尾文子)の美しさに溺れ執着する、色ボケの金持ち老人を演じている。
 
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77歳になる督助(山村聰)は軽い脳溢血のために寝たり起きたりの日々を送っていた。息子の嫁の颯子(若尾文子)に3万5千円を渡す督助。「ハンドバッグ欲しいんだろ」「すいません」「手が痛むので寿司を食べさせてくれ」と颯子にせがむ督助。
 
「しょうがないわね、おじいちゃん。あーんして」「君、寿司ってものは手でつまんで食うもんだよ」「贅沢な病人ね。はい。あーんして、もうすぐ夏ね」と言う颯子。
 
「おじいちゃん。お庭、随分広いわね。プールが十分作れるわね」「そりゃ作れるけど」「もし作ってくれたら、私の泳ぐのを見せてあげるのに」「う、うん。考えておきましょう」「なぜダンスをやめた」と颯子に聞く督助。「足が醜く変形するの。見てちょうだい」「だって綺麗な足じゃないか」「もっと綺麗な足だったのよ」「そうか」「やだ。くすぐったいわ」・・・。
 
        老人は自分の墓石に颯子の「足型」を刻印すると言うのだが・・・。
 
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颯子(若尾文子)は、シャワーを浴びるときに、ドアをわざと開けて「見てもいいわよ」と挑発するので、変態老人はますます要求がエスカレートするのだが、強欲な嫁は、さらりとかわしてお金をせしめてしまう、そのあしらいの上手さには舌を巻く。
 
颯子が「スエードのハンドバッグが欲しい」といえば、老人は35,000円をポンと渡してしまう。一方で、嫁いでいる実の娘が、お金が入用だと母親(東山千栄子)(老人の妻)を介して頼んでも、「そんな金は一円もない」と拒絶。颯子が300万円もする豪華な宝石を身につけていたのを知った母娘が訴えると、ついには「颯子に与える分はあっても、お前たちにはない」だった。
 
 
 
颯子は、とにかくしたたか。「接吻をさせてくれ」と舅の督助に、「足ならいいわ」とシャワーのカーテンから足を出したり、督助が、颯子の首周りにキスをしようとすると、「年寄りのくせにネッキングなんてダメよ」。「そんな英語があるのか」(老人)が笑わせる。「本当の接吻がしたい」というと「高くつくわよ。15カラットの”キャッツ・アイ”(宝石)を買ってくれる?300万円よ」とあくまでもがめつい。「私は、強情っぱりだから、本当に意固地になっちゃうわよ」で、結局買わせてしまうのだ。
 
映画は、ラストシーンで庭にブルドーザーがやってきて、木などを切り倒し始める。
お手伝いなどの会話「何が始まるの? プールを作るんだって」。
 
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颯子の夫・晴久(川崎敬三)も、踊り子にうつつを抜かして、ほとんど家に帰らないことをいいことに、妻の颯子は、”ご隠居さま”に取り入って、ゆく末短い瘋癲老人をすっかり自分の思いのままにしてしまうのだ。
 
共演は、若尾文子の夫に川崎敬三、そのほか、村田知栄子、倉田マユミ、藤原礼子、石井竜一ら多才な顔ぶれが並ぶ。
 
谷崎潤一郎の原作なので、かなり異様・異常なシーンがあるが、人間の欲の深さ、愚かさ、浅はかさをとらえた風刺コメディとしてみればおもしろい。
 
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