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<span itemprop="headline">映画「ラッシュライフ」(2009)</span>





数年前の映画だが堺雅人寺島しのぶ柄本佑(たすく)ら、今では演技派の代表格ともいわれる役者が出ているので「ラッシュライフ」(2009)という映画をDVDで見た。映画の感想は、一言でいえば”最悪”。映画によっては、こんな失敗作もあるということが分かってよかった(笑)。とにかくひどい

ただ、伊坂幸太郎の原作の評価は高かったようだ。
のちに映画化された「アヒルと鴨のコインロッカー」「ポテチ」「ゴールデンスランバー」などの作品を生み出した伊坂が始めて認められたのが「ラッシュライフ」だという。

・・・
映画を見始めて、最初の10分で不快感、嫌悪感に襲われ、見るのをやめようと思った。実際にストップした。なぜか? ある異常者のような男が、男の死体の手足を斧でスパスパと、切り離していくシーンが延々と続くからだ。それを恐怖の表情で見続ける若者(柄本佑)。カメラはフラフラ揺れて落ち着きがなく、俳優も、全く演技もなにもなっていない。

堺雅人寺島しのぶもまだ登場していないので、どちらかでも出てくるまでは見ようと、平坦でつまらなくても見ようと意を決して再開(笑)。堺雅人が登場したのは、2時間の映画で、30分経過してからだった。

この映画は、別々の4つの物語が同時並行で描かれる。最後にいくつかが結びつくという話だったのだ。

父に自殺された青年が神に憧れるという話。(主な出演:柄本佑
泥棒を生業とする男が新たなカモを物色する話。(主な出演:堺雅人
女性カウンセラーが不倫相手との再婚を企む話。(主な出演:寺島しのぶ
職を失い家族に見捨てられた男が野良犬を拾う話。(主な出演:板尾創路

これらの物語がきっちり30分づつ割り当てられたように描かれていた。
映画の一つ一つの話がトーンも異なり、統一性がないと思ったら、驚くべき事実が見終わってから分かった。

監督をはじめ製作関係者は東京芸術大学の映像研究科生だった! 
しかも、4話の監督が別々だった。イタリアのオムニバス映画で、フェリーニヴィスコンティといった大物監督ならいざ知らず、映画専攻科のいわばまだマチュア学生が撮った映画だったので、テーマを与えられたので撮ってみました・・・という映画だった。つまらないのも納得。この映画につき合わされた裏方や製作に関わった数百人の人たち、お気の毒。

ただ、堺雅人が演じる黒澤という男のエピソードは面白かった。
日中、不在宅に忍び込んで現金を盗むのだが、大金を発見しても、盗むのは「10万円以下」と決めているのだ。しかも、いつ、どこでいくら取りましたと、”領収証”をおいてくるという几帳面さ。泥棒なりの理屈を持っていて、盗まれた人間が、路頭に迷ったり、人生を狂わせないようにするためだという。

板尾創路(いつじ)が演じる豊田という男は、失業してしまった。
捨て犬が寄ってきて離れない。どこまでもついてきて、犬に愛着を覚える。
犬を捨てた男が、冒頭の死体の切り離しを震えながら見ていた若者・河原崎柄本佑)だった。河原崎は、犬の首の輪に、宝くじを一枚折って入れていた。

豊田が、道端で犬と座り込んでいると、初老の男と秘書のような若い女が近づいてきた。この男は女に「たいていのことは金で肩がつく。ある人間の一番大事なものも金で買える」などと自慢げに話していた。そんなところに、くたびれたような男が座り込んでいたので、話しかけた。「その犬を譲ってくれませんか。そうすればあなたに仕事の世話をしますよ」だった。

豊田は、怪訝そうに「犬は譲りません」と丁重に断る。
すると男は「なんだ偉そうに」と態度を変える。若い女が犬の首についていた宝くじを見る。豊田は、宝くじがあたっても外れても、私の人生には関係ない、といってその場を去っていく。

金持ちらしき男は、金の力を証明できずに去っていく豊田に悪態をつき悔しがるのだった。

堺雅人寺島しのぶらが安心して見ていられる演技を見せても、受けて立つ相手役の力不足が歴然としていた。原作が良くても、俳優が良くても、全体を取りまとめる監督の力量不足で、見るに堪えない映画となった。映画館で、1,300円くらいで見たら、”カネ返せ”映画であったことは間違いないだろう。

主な出演者:
黒澤:堺雅人
豊田:板尾創路
戸田:団時朗
ソナ:MINJI
高橋:塩谷瞬(特別出演)
青山:深水元基
佐々岡:永井努
塚本:竹嶋康成
原崎の父:塩見三省
青山の妻:佐藤江梨子(特別出演)


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