↑「透光の樹」と、30年前の青春映画(どちらもいいです)
「透光の樹」(2004)は、久々に秋吉久美子が出ているというので、1年余り前に、
見に行きました。
秋吉といえば、30年前のアイドル的女優の一人だったちょっとすねて ”ふてくされ気
味”の演技や、独特の語録(「たまごで、子供を生みたい」など)で人気でした。この映画でも、
健在ぶりを示し、「すごい」と思いました。しっとりとした、大人の映画というのでしょう。有楽町・
シネカノン(「ビック・カメラ」のビル)の客層は、40代以上の人が多かったようです。
映画では、50歳となっても、見事なプロポーションと、全裸シーンを大胆に見せつけていた
(それが目当てかって? いえ、それもあるかもしれませんが(笑)、青春時代のスターだった
秋吉久美子が、どのように変ったか、見たかったのです。)。体当たり演技というのは、こういうの
を言うのでしょう。”官能的映画”ともいえますが、それにしても、一糸まとわぬ、秋吉久美子、
これは驚きです(笑)。いくら役者根性があるといっても、ここまでやるか・・でした(爆)。
秋吉久美子といえば、「さらば青春の光よ」(大傑作。郷ひろみとのフレッシュ・コンビ)や
「バージン・ブルース」「赤ちょうちん」「妹」「旅の重さ」など、往年の映画ファンには、
青春スターだったのです。
「透光の樹」は、当初、共演は萩原健一を予定していたが、トラブルなどで降板し、後任として
永島敏行が演じた。静かな山奥の田舎の風景を背景に、物語が進行していくが、2人の情念
というのが、めらめらと盛り上がっていく様が、良く描かれていました。登場人物は、
ほとんど二人だけ、というような映画でした。味わいのある、映画の1本ですね。
ストーリー:
番組制作会社の社長、今井(永島敏行)は、25年ぶりに鶴来の町に立ち寄った。かつて取材した有名
な刀鍛冶、山崎火峯を訪ねるが、火峯は寝たきりとなり、娘の千桐(秋吉久美子)が介護していた。
今井の脳裏に、高校生だった千桐の姿が浮かぶ。借金に追われ、娘と父の3人で細々と暮らす千桐に、
今井は援助を申し出た。「目的はあなた」と言う今井に、千桐は動揺しながらも、その申し出を受け
入れる。逢瀬を重ねるたび、どうしようもなく惹かれあっていく2人だったが、やがて、今井のガン
が発覚する。
命を懸けて誰かを愛する、深く濃密な大人の恋愛を描いたという原作は、第35回「谷崎潤一郎賞」
を受賞した、高橋のぶ子のベストセラー小説。季節ごとに様々な風景を見せる北陸地方を舞台に、
古都・金沢と、鶴来の町の情緒が、悲しく激しい愛を静かに見つめ、包み込んでいく・・・。
監督は、6年ぶりの映画となる根岸吉太郎。音楽には、ジャズ・ミュージシャンの日野皓正が
しっとりとしたトランペットの音色を響かせている。どっしりと根を生やした六郎杉が、
離れられない2人の愛を永遠に見守るように、いつまでも心に刻まれる恋愛ドラマ。
秋吉久美子を見るだけでも、一見の価値ありです(ちょっと、くどかったかな。笑)