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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">1970年代(54)「大統領の陰謀」</span>



 
 「大統領の陰謀」(1976、原題:All The President's Men)は、早いもので、公開から
 もう、30年も経つ映画である。しかし、現職の大統領を失脚にまで追い詰めた
 世に言う「ウオーターゲート事件」の真相を追う二人の記者(ロバート・レッドフォード
 ダスティン・ホフマンの2大スター)の執拗な調査・取材活動は、ドキュメンタリーに近い迫力
 あるものだった。
 
 ニクソン大統領を失脚にまで到らしめた二人の新聞記者カール・バーンスタイン
 ボブ・ウッドワード
の活躍を描いた実話を映画化した。デスク役のジェイスン・ロバーズは
 味のある演技で、アカデミー賞助演男優賞を受賞した。ほかにアカデミー賞脚色賞などを受賞してい
 る。

 そもそも「ウオーターゲート事件」とは・・・。

 1972年6月17日土曜日の午前2時30分のこと。ワシントンのウォーターゲート・オフィス・ビルの
 5階にある民主党全国委員会本部に5人の男たちが侵入した。彼らは来るべき秋の大統領選挙に
 そなえて必勝を期する民主党のキャンペーンを攪乱(かくらん)するために、秘かに雇われた者たち
 だった。

 この5人は、元CIAの情報部員と大統領再選本部の現役の対策員で固められていた。仕事は手抜かり
 なくおこなわれるはずだったが、ビルの警備員に見咎められ、たちまち警察に通報された。そして
 不法侵入の現行犯で逮捕された。まだ入社して9カ月になったばかりのワシントン・ポスト紙の記者
 ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は、ウォーターゲート事件
 が起きてから7時間後に、上司のハワード・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)に呼ばれた。

 一方、同じポスト紙のベテラン記者、カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフ
 マン
)も、この事件に興味を示していた。その朝、彼は現場に行ってきた記者たちのメモを
 コピーし、局長のハワード・サイモンズ(マーティン・バルサム)や主幹の
 ブン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)に、もう少しチェックして
 みたいと伝えた。そしてバーンスタインは、ウォーターゲート・ビルのあらゆる人たちに片っ端から
 電話をかけ始め、政府上層部のスポークスマンたちはこの不正侵入行為に非難を集中させた。

 はじめのうちは、この侵入事件は狂信者たちの単独犯によるもので、リチャード・M・ニクソン
 大統領の公式の選挙運動本部から認められたものでも、援助を受けているものでもないと思われ
 た。しかし、侵入者の1人、ジェームズ・W・マッコード・ジュニアが、最近CIAを辞めたことを
 認めたとき、ウッドワードはこの事件が、ホワイト・ハウスから発表されているような政治狂信者の
 仕わざといった侵入事件にとどまるものではないことを感じたのである。
 
 ワシントン・ポスト社内では調査を続けるというウッドワードとバーンスタインの主張も
 認められ、2人の取材活動が開始された。最初のうちは政治の厚い壁にはさまれて試行錯誤のくり
 返しだったが、謎の人物 ”ディープ・スロート(ハル・ホルブルック)
の、「金を追え」という示唆に従ってニクソン再選委員会の選挙資金を追求するうちに、その裏に
 隠された陰謀が次第に鮮明になっていった。裏付け調査を終わった2人の暴露記事が全世界に
 報道される日がやってきた。(去年くらいに、このディープ・スロートといわれた実在人物が、
 生きており、インタビューを受けていました。)
 
 それは大統領をはじめとするホワイト・ハウスの幕僚たちに大きな衝撃となった。ワシントン・ポスト
 紙は権力からの激しい否認にあい、ニクソン大統領の報道担当官たちからは激しい非難と嘲笑を
 浴びせられた。

 しかし、さまざまな警告にも屈せず、ウッドワードとバーンスタイン、それにワシントン・ポスト紙の
 同僚たちは、長いあいだ疑っていた侵入犯と政府の関連を立証。半信半疑でだった市民たちも、
 政府の高官たちの犯罪的な裏切り行為を納得。大統領とあろう者がそのような陰謀を見逃したり
したことを、初めは信じたがらなかった国民も疑いの目を向け始めたのだった。

 ウッドワードとバーンスタインのタイプライター(まだ、パソコンはなく、タイプ、古い!)をたたく
 手に力がこもっていった。それは近い日、必ず訪れるであろうニクソン大統領失脚を物語っている
 ようだった・・・。

 蛇足だが、夜討ち朝駆けの日本の記者なら、「朝売新聞のものですが・・・」と会社名をインターホン
 越しで先方に伝えるが、米国では、個人の名前を先に出す、というのが印象に残った。
 「記者の○○というものですが・・・」と。個人中心の国なんだと、変に感心した記憶がある。重厚な映画を
 見たという記憶も残っている。

 ”ウオーターゲート事件・早わかり映画”だったかもしれない。アメリカというのは、
 事件があって、数年もしないうちに、すぐに映画化してしまうところが、どこかの
 国とは違うところだ(笑)。ただ、ビジネスに長けているということか(笑)。

 監督:アラン・J・パクラ
 原作:カール・バーンスタイン ボブ・ウッドワード
 脚本:ウィリアム・ゴールドマン
 撮影:ゴードン・ウィリス
 音楽:デヴィッド・シャイア
 出演:ダスティン・ホフマンロバート・レッドフォードハル・ホルブルック、ジェイスン・
  ロバーズ、ネッド・ビーティ、マーチン・バルサ