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映画「水の中のナイフ」(原題:Nóż w wodzie、英題:A Knife in the Water, 1962)を見る。ロマン・ポランスキー監督のデビュー作

水の中のナイフ」(原題:Nóż w wodzie、英題:A Knife in the Water, 1962)を見る。今頃見たのかと言われるほど有名なロマン・ポランスキー監督のデビュー作品アカデミー賞外国語映画賞(現・長編国際映画賞)にノミネートされた。

3月末で配信が終了するGYAOのラインアップにあり、3月12日深夜まで配信ということで急いでみた。94分、モノクロ

倦怠期の中年夫婦がドライブ中、ヒッチハイクの青年を拾った。青年はそのまま夫婦のヨットクルーズに同行。やがて経験豊富な夫と自由奔放な青年は、考えの違いから対立し…。

設定から言えば、男二人と女一人がヨットで出かけて、ナイフが登場し、男同士がもみあうというシーンなどは、この映画の数年前に公開の「太陽がいっぱい」にも似ているが、船上の男女の3人の葛藤と心理を鋭く描いている。


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36歳のアンドジェイ(レオン・ニェムチック)はポーランドの首都ワルシャワのスポーツ記者で、妻のクリスチナ(ヨランタ・ウメッカ)と裕福で安定した生活を送っていた。

夫妻は週末に郊外まで車で出かけてヨットの上で過すのが習慣だった。車の運転中も取り立てて会話もなく、倦怠感が垣間見える。

その日も湖に向って車を走らせていると、途中でヒッチハイクの青年がいて、あやうくぶつかるところだった。車の運転はアンドジェイと妻のクリスチナが交互に運転していたが、その時はアンドジェイが運転。

青年に悪態をつき、車で立ち去ろうとするが、アンドジェイは、クリスチナは青年を乗せたがっているようなので「お前が運転していたなら、乗せてやると言いたいんだろう。わかった」というように、青年を車の後部座席に乗せ、やがて目的地に着き、三人はヨットで出帆した。

朝食の時にその青年は愛用の大きなナイフを取り出した。湖の船上でナイフは場違いだったが、それ以上に青年の存在は場違いであり、青年の若さとアンドジェイの中年が眼に見えない火花を散らした。

アンドジェイは青年がクリスチナに親切なのを見ると、彼に過酷な仕事を言いつけた。ヨットが帰途についた時、アンドジェイがナイフを隠した。

青年は彼に喰ってかかり、揉み合ううちにナイフは湖中に落ち、青年も足を滑らせ船から落ちて浮いてこない。青年は泳げないようだったので、クリスチナは海に飛び込み、近くを潜って探した。

意外な成行きに、アンドジェイとクリスチナは罵り合い、互いに幻滅し憎悪に満ちてしまう。

アンドジェイが警察へ知らせに行くために泳ぎ去った後に青年が姿を現わした。クリスチナは最初は腹を立てたが、次第に青年の世話を焼いて彼からのキスを受ける。やがて湖畔に着くと青年は走り去った。船着場にはアンドジェイが待っており二人は複雑な面持ちで帰途についた。

帰途、アンドジェイは警察に行くというと、クリスティナは「彼は生きているわ。その証拠に彼と寝たの」と明かすが、アンジェイは冗談と受け取り、取り合わない。自動車は警察署の方向を示す標識の立った丁字路に差し掛かった。アンジェイは自動車を停めて、どちらにも進まず、そのまま車を動かさなかった。
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青年が海に落ちて浮かび上がってこないことから、死んだものと思い、アンドジェイとクリスチナは互いに相手を罵倒する。いざという時に人間の本性が現れるということを示している。

映像面では、セーリングの時はスムーズに進むヨットだが、暴風雨の中での帆の縄の扱いや、浅瀬をロープで引っ張る映像など見るべきシーンが多い。若者とアンドジェイの言葉のやり取り、反撥、嫉妬なども絡んだ人物描写も淡々とした中でアクセントとなっている。

 

<キャスト>
アンジェイ:レオン・ニェムチック
クリスティナ:ヨランタ・ウメッカ
若者:ジグムント・マラノウッツ


2010年に「エンパイア」誌から発表された「世界の映画ベスト100」では61位となった。

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