「セントルイス銀行強盗」(原題:The Great St. Louis Bank Robbery、1959)を見る。大学を退学になった青年が銀行強盗に参加する話。スティーヴ・マックィーンのキャリア初期の主演作品。翌年の「荒野の七人」(1960)で人気を得ることになる。
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ワケアリの青年が軽い気持ちで犯罪に加担し、取り返しのつかなくなる姿が描かれる。元恋人アンの兄ジノの伝手で銀行強盗の一味に参加することになったジョージ(スティーヴ・マックィーン)。
狙いはセントルイス銀行。金庫に押し入らずとも窓口だけ10万ドル奪える計画だ。「車を運転するだけ…」という軽い気持ちでの参加だったが、アンに計画がバレてしまい、取り返しのつかない事態へと陥っていく。
主人公のジョージは「ジノから運転手をやるだけと聞いてるし、それ以外はやりたくない」と、どこか覚悟の決まっていない印象。
少しボンヤリとしていて掴み所のない男に思えるが、元恋人アンとの会話から彼の過去が見えてくる。
二人が久しぶりに再会すると、ジョージはアンに「変わってないね」、アンはジョージに「あなたは変わった」と。
みずからの過ちを認めて次に進もうとしているアンに対して、大学スポーツのスターだった栄光を忘れられないジョージは過去に固執している。
ジョージ以外の強盗メンバーはボスのイーガン、ジノ、ウィリー。それぞれにワケアリである。
イーガンは母親に虐待されていた過去があって女嫌い。
ジノは収監経験がトラウマとなっている(彼が宿の一室で、妄想に苦しむシーンは印象的)。
ウィリーは「俺が運転したい」と新入りのジョージに嫉妬する。“犯罪に走らざるを得ない理由”が少しずつ歯車が狂わせていった結果、悲劇へと至るのである。
銀行の外では秒単位の計画を立てていた一味だが、内部に押し入ってからは杜撰そのもの。簡単に通報されてしまう。銀行強盗における重要事項は二つ。
一つ目は、行員による通報を防ぐこと。二つ目は、通報されてから警察の到着までに逃げ切る算段を立てること。とにもかくにもこの二つが最優先である。それもできずに逃げる車の停車位置を気にしている場合ではないのだ。
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強盗を手助けするドライバーだけの役割なら、のちの映画「ドライヴ」「運び屋」などがあるが、運転手が、覆面をして銀行強盗の一味として銃を持って、行員、顧客を脅すという展開はジョージにとっては見込み違いだった。死と背中合わせでリスクが高すぎる。
売れる前のマックィーンの演技も、もやもやですっきりしない。元恋人というエマも、棒読みと過剰演技で、イマイチ。
マックィーン映画を制覇するためには、こういったB級映画も見なくてはならない(笑)。30歳でスターになって、50歳で亡くなっているので実働が20年というのは短い。
代表作として「大脱走」「砲艦サンパブロ」「華麗なる賭け」「ブリット」「パピヨン」「ゲッタウエイ」「シンシナティ・キッド」「ネバダスミス」「タワーリング・インフェルノ」などの作品を残した20世紀最大のアクションスターとは言えそうだ。
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