大相撲九州場所の千秋楽で、大関・琴桜が13勝1敗で並ぶ大関・豊昇龍との相星決戦を制し、悲願の初優勝を飾った。
現在の3大関で優勝経験がなかったのは琴桜だけだったが、これで、来場所は綱取りの場所となる。敗れた豊昇龍も12勝3敗で、優勝に次ぐ星であることから来場所全勝優勝か14勝1敗で優勝なら琴桜とともにチャンスはある。
<琴桜の優勝は51年ぶり>
「琴桜(のしこ名)の優勝」は1973年以来、51年ぶり。
祖父の元横綱・琴桜は5度の優勝を果たした。祖父はぶちかましからの押し相撲で鳴らし「猛牛」と呼ばれた(2007年死去)。
父は元関脇・琴ノ若という相撲一家。今年初場所後に大関昇進後、春場所までは「琴ノ若」、夏場所から「琴桜」に改名した。祖父と孫での制覇は、日本相撲協会によると「過去に例はないと思われる」という。
「関脇・琴ノ若」だった今年の初場所、13勝を挙げながら優勝決定戦で照ノ富士に敗れた。大関の座は射止めたが、優勝を逃した悔しさを今場所にぶつけた。
<鬼の形相>
先場所は8勝止まりだったが、今場所は、取組では最後の仕切りで塩をつかむと、表情が一変して”鬼の形相”を見せるなど連日気迫のある力強い相撲を取り続け、大関昇進後としては最多の13勝に到達。
”鬼の形相”
<年間最多勝利>
今年の勝利数が65となり、年間最多勝争いでも大の里を抜いて単独トップに立った。この日の白星で14勝とし年間最多66勝にまで伸ばした。
なお、大関同士の優勝を懸けた千秋楽相星決戦は2003年名古屋場所の魁皇―千代大海(12勝3敗で魁皇が優勝)以来21年ぶりだった。
豊昇龍は「相撲内容は悪くなかった。ただ、最後滑ってしまった」と悔しさをにじませていた。
大関までは駆け上がりながら横綱になれなかった力士は、最近では貴景勝など数多い。来年は琴桜が横綱になり優勝回数を重ねて大横綱になることが期待される。休場が多い横綱にはそろそろお引き取りを願いたい(笑)。
■琴桜の鬼の形相:
静かな面持ちで仕切りを重ねていた琴桜が、たちまち鬼の形相へと変貌する。顔をしかめ、眉間に深いしわを寄せる。花道の方向をぎらりと凝視する。場内が一気にヒートアップする中、最後の塩が土俵にまかれる。
これは“ルーティン”になっているようで、いつから行っているかは、本人も付け人も、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)も覚えていないという。
仕切り制限時間は幕内4分、十両3分、幕下以下2分以内と決まっている。出世する前は、土俵に上がればすぐに心のスイッチを入れれば良かった。
しかし番付が上がるにつれ、仕切り中における気持ちのコントロール方法を習得する必要があると気づいたのだという。「ずっと力を入れていても疲れてしまうだけ。“出力”が弱くなる」。
沸き立つエネルギーを取組直前まで蓄積させ、一気に放出。そこで気迫をみなぎらせ、相手を圧倒するという戦略のようだ。
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