「The Chase」(1946)を見る(日本未公開)。監督はアーサー・リプレイ。フイルム・ノワールの1本で、原作は1944年に発表されたコーネル・ウルリッチの「恐怖の黒い道」(The Black Path of Fear)。「ザ・チェイス」(1994、シドニー・シェルダン原作)とは別物。渡米中の仏女優ミシェル・モルガンが出演しているほか、怪優ピーター・ローレ(「M」「マルタの鷹」)、ロバート・カミングス(ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ」など)が出演。
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チャック・スコット(ロバート・カミングス)は第二次世界大戦の帰還兵で、奇妙な夢に苦しめられているマイアミの無一文の男。スコットは表通りで札束の入った財布を見つけて、その中にあった名刺のエディ・ローマンのもとを訪れる。
財布には81ドルあったが、1ドルは食事に使ったと説明するスコット。エディ・ローマン(スティーブ・コクラン)は裏社会のギャングのボスのひとりでサイコパス。ローマンはスコットがバカ正直なのに感心するように驚き、スコットをローマン付きの運転手に雇うことにした。
ローマンは、後部座席に座り、スコッティの愛称で呼ばれるスコットの運転技術を試そうとする。後部座席の足元には、車のアクセルと表示計があり、車の速度を後部座席でコントロールできるのだった。
スコットは突然時速100マイル(=時速160キロ)近いスピードになり、焦りを感じるが、後部座席にアクセルがあるなど知らないスコッティと、ローマンの隣に座っているローマンの右腕ジーノ(ピーター・ローレ)も不安を隠せない。列車が走っている線路の直前でブレーキがかけられ、スコットも命拾いをした。
ローマンは、妻のロルナ(ミシェル・モルガン)を部屋に閉じ込めて、毎晩鍵をかけて出かけていた。
そんな中、ロルナはある日、スコッティの運転で、ドライブに出かけ、スコッティに1,000ドルと引き換えにキューバのハバナに連れて行くように頼む。スコッティも、ロルナへの恋心から、キューバ行きの船舶のチケットを手配する。
二人がハバナに到着すると、ロルナが、突然何者かによってナイフで刺される事件が起こった。
スコッティが、ロルナの体に刺さったナイフを取り上げるが、警察はスコッティが、ナイフを購入していた事実を把握しており、スコッティを殺人犯と睨んだ。スコッティは自身の無実を証明できるのか・・・。
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【ネタバレ】スコッティがナイフを買ったことを知っている人物が同種のナイフでスコッティを犯人に仕立てようとした。会場にいたカメラマンが、ナイフを投げようとする人物を撮影していた。スコッティのカメラマン探しもある。
サスペンス・ミステリーで俳優が見どころ。とくに癖のある役が多いピーター・ローレ(「カサブランカ」「マルタの鷹」)が味わいがある。
「落ちた偶像」「夜の騎士道」などのフランスの名女優ミシェル・モルガンがこのフイルム・ノワールのハリウッド映画にも出ていた。モルガンは2016年12月20日に96歳で亡くなった。
YouTubeチャンネルのTCM(Timeless Classic Movies)で視聴。
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