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映画「飾窓の女」(原題:The Woman in the  Window、1944)を見る。フリッツ・ラング監督の元祖フィルム・ノワール。

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飾窓の女」(原題:The Woman in the Window、1944)を見る。フリッツ・ラング監督の元祖フィルム・ノワールジョーン・ベネットエドワード・G・ロビンソン主演。ラストにどんでん返しがある。

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大学で犯罪学を教える助教授リチャード・ウォンリー(エドワード・G・ロビンソン)は妻と2人の子供を休暇の旅行に送り出し、クラブに食事に出掛けて仲がいいフランク・レイラー(地方検察庁検事)やマイケル・バークステイン(医師)と一緒になり、深酒してしまった。

ウォンリーは「ソロモンの雅歌」を読み耽(ふけ)り、クラブに遅くまで残った。その帰途にウォンリーはクラブの隣の店頭の「飾り窓」(ショーウインドウ)に陳列されている印象的な美女の油絵肖像画の前に足を止めて心を奪われ、見とれている。

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すると、彼の目の前に正しく絵のモデルのアリス・リード(ジョーン・ベネット)が突然現れて一緒に飲みに行こうと誘ってきた。

その後に二人はリードの住むアパートに行くが、彼女に恋心を抱くフランク・ハワードクロード・マザード)の予期せぬ訪問の場面に遭遇してしまい、これがウォンリーがハワードを殺害するという事態に発展してしまう。

首を絞められて殺され掛けたウォンリーにリードがとっさにはさみを手渡して彼の殺人に加担したのだった。

ウォンリーは人目の付かぬ遠い森にハワードの死体を遺棄して証拠を隠滅しようとするが、上手くいかずにいくつかの証拠を残してしまう。

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フリッツ・ラングは、ガラス、鏡を使った演出が素晴らしい。「M」がその最たるもので、精神的異常者(ピーター・ローレ)が、背中に「M」(殺人者の意味の頭文字)を誰かが描いたのを鏡で見て気がつくシーンは圧巻。

飾窓の女」ではショーウインドウの中にある油絵の女性の絵の横に、そっくりの本物の女性が映し出されて並ぶシーンは息を呑む。

このシーンは、映画のラストにつながるが、絵のモデルとは違った女性であるというのが洒落ている。

飾窓の女」の「飾窓」は今でいうショーウインドーのことで、アムステルダムの「飾り窓」のことではなかった。アムスの「飾り窓」が合法的売春地域のことで、観光ツアーの名所の一つとなっていたが、地元や女性への配慮から2020年に廃止になったという。

それはともかく「飾窓の女」は、今から見ると、原作のラスト(主人公が自殺)を好ましくないとしてそっくり入れ替えたというが、どんでん返しにしたところが面白い。

この映画と監督の次作「緋色の街/スカーレット・ストリート」は役者が同じ。

犯罪を教える助教授ウォンリーが、犯罪を犯すという設定で、捜査にあたったウォンリーの友人レイラー検事が、友人としてウォンリーを現場検証に連れているくというのがサスペンスタッチで描かれる。

ウォンリーは、現場の状況を知っているので、現場で率先して、最終現場に足を向けてしまうのだ。レイラーは疑うどころか、さすがは犯罪の研究者だと感心するのだが・・・。

性格が歪んだ元警察官ハイトという人物が、アリスの元に現れ、殺人の口止め料としてアリスに5,000ドルの支払いを要求してくる。

アリスから相談されたウォンリーは自分に処方された劇薬を過剰に投与して毒殺する計画を思い付き、彼女に実行させる。

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ハイトが企みに気付いて計画は失敗し、さらなる口止め料の支払いを要求。これ以上の支払いは無理だと絶望したウォンリーは放心状態になり、自殺を決意するのだが・・・。

ハイトはアリスの家を出た直後に警察官との撃ち合いで殺害されてしまい、警察は残された証拠から死亡したハイトを犯人と断定。

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  アリスからの呼び鈴が鳴り止まない・・・。

アリスは急いで彼女の家に来るようにウォンリーに連絡するが、時すでに遅し。その頃にはウォンリーは劇薬を過剰に摂取して意識が薄れ、椅子にぐったりともたれていた。

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(以下、ネタバレ)場面が瞬時に変わり、ウォンリーはクラブの彼が座っていた椅子で目覚めた。クラブを出た後に起こった出来事はすべて夢だったことに安堵して喜ぶ。そして、夢の中でアリスを脅迫していたハイトはクラブの従業員ティムであったことにも気付く。その後にクラブを出て美女の肖像画の前で微笑むウォンリーに、タバコの火を借りに近付く女性の姿があった。

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この映画も、中々見応えがあった。

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