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映画「5時から7時までのクレオ」(1961)を見る。アニエス・ヴァルダ監督の初期の傑作映画。

5時から7時までのクレオ」(原題:Cléo de 5 à 7、1961)を見る。アニエス・ヴァルダ監督の初期の傑作映画。90分/フランス・イタリア合作。

ガンの診断結果を待つ若い女性歌手クレオの5時から7時までをリアルタイムで切り取っている。ポップ歌手のクレオは自分がガンではないかと疑い、病院で精密検査を受ける。

その結果が判明する7時までの間、クレオはパリの街中をさまよいながら幾人かの友人や見知らぬ人々と出会い、心の平静を取り戻していく。カメラは初夏を迎えたパリの街をタクシーや車やバスにのって移動し、カフェやバス、公園の中の人々、木漏れ日をとらえながら、クレオの不安を見事に表現している。

 

 

主演はシャンソン歌手のコリーヌ・マルシャン。音楽も手掛けた名作曲家ミシェル・ルグランクレオの友人である音楽家ボブを演じ「ピアニストのボブ」という楽曲を演奏している。また、ジャン=リュック・ゴダールアンナ・カリーナジャン=クロード・ブリアリが劇中でラウールがクレオとドロテに観せるサイレント映画のなかの登場人物としてカメオ出演している。

【ストーリー】

クレオコリーヌ・マルシャン)は、ポップシンガー。クレオは、生体組織診断(患部の組織の一部をメスや針を使って切り取り、顕微鏡などで調べる検査)の結果を待つ間、自分は癌なのではないかという恐怖を抱きながら、パリの街中をさまよう。

7時に医師と会う心の準備をしながら、死に取り組もうとしつつ、何人かの友だちや見知らぬ人と出逢う。

彼らはクレオにとってもっとも親しい人々でありながら、その無関心さを感じながら、人々がクレオについて抱いているイメージが人形用なものなのではないかと疑問を抱いている自分に気づく。

そんななか、孤独と救いようのなさという感覚を克服していく。最終的には、クレオは公園(モンスリ公園)で出逢う見知らぬ人の一団にいくばくかのやすらぎを見出し、彼らとは、クレオは誠実な会話ができるのだった。

その見知らぬ人が、クレオを病院(ピティエ=サルペトリエール病院)に連れて行き、そこでクレオは、診断結果を告げるであろう医師と会うのだった。

  

・・・

パリ。シャンソン歌手のクレオコリーヌ・マルシャン)は、今日の午後7時に病院に行って診断結果を聞く予定になっていた。現在の時刻は午後5時。

占い師によると、クレオは癌に罹っているという。恐怖と不安に駆られたクレオは、2時間の間パリを彷徨う。

何分から何分までと、数分刻みの時間帯が示され、クレオが移動するごとに、パリの街並みが映し出される。

クレオは2時間の間に色々な場所を訪れる。クレオは歩いたりタクシーに乗ったり忙しなく移動する。時間潰しであると同時に、移動する映画でもある。

タクシーの後部座席からフロントガラス越しに風景を映していくシーンなどもいい。移動して風景を映しているだけでも面白い。

クレオの診断結果はどうなるのか。不安と恐怖がつきまといながらも、クレオは様々な場所に赴き、様々な人たちと会話をする。その合間には名も知れぬ群衆がいて、彼らもそれぞれお喋りしている。

見知らぬ軍人との出会いで慰めを得たクレオは、最終的に恐怖を克服する。結果については明らかにされなかったが、不安からは解消されることで腹をくくる。状況は厳しいものの、映画としては後味のいいラストだった。

 

おまけ:劇中「エルマー・ガントリー/魅せられた男」(1960)の映画を上映する看板が見えた。口八丁手八丁のバート・ランカスターアカデミー賞主演男優賞を獲得した作品。

※動画配信U-NEXTで鑑賞。

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