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映画「ベイビー・ブローカー」(2022、韓国)を見る。是枝裕和監督。

ベイビー・ブローカー」(2022)を見る。メガホンをとるのは「家族モノ」の名手・是枝裕和監督。2018年のカンヌ国際映画祭で見事に最優秀賞であるパルム・ドールに輝いた「万引き家族」によって世界の頂点へと到達。

2019年にはフランスを舞台にしたフランス映画「真実」を監督。「ベイビー・ブローカー」は韓国映画と、素材はグローバルに広がるものの、家族を描くスタンスは全くブレることがない。

是枝監督は赤ちゃんの取り違えを描いた映画「そして父になる」(2013)を撮っていた頃に、韓国の「赤ちゃんポスト制度」や「養子縁組」といった問題に興味を持ち始めたという。

そして韓国の赤ちゃんポスト(ベイビーボックス)の利用件数が非常に高いことを知り、今作の構想を思いついたというので、構想は10年も前からあったことになる。

カンヌ映画祭の折などで韓国の監督、韓国の代表的な俳優ソン・ガンホなどと「一緒に映画を撮りたいね」というのを現実化するところがすごい。「空気人形」で是枝作品に出演しているぺ・ドゥナが刑事役で再び出演している。

赤ん坊を捨てる若い女ソヨンを演じるイ・ジウンという女優は「万引き家族」の松岡茉優(まゆ)にダブって見えた(笑)。

奇妙な疑似家族5人組の“赤ちゃんを売るドライブ旅行”というロードムービーでもある。
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古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)と組んで、捨てられた赤ちゃんを売ってお金を得ていた。

ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。

赤ちゃんの入っていたカゴには「必ず迎えに来る」というメモがあったが、施設育ちのドンスは、メモ書きを置く母親のほとんどが迎えに来ないことを知っていた。2人は気にせず赤ちゃんを売ることに。

彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだったのだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が施設で保護されていないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく自分たちの裏家業を明かした。

「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることになる。

一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。


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赤ちゃんポスト」自体は、韓国で広く認知されているようで、一方で、犯罪である人身売買というのがアジアの一部地域で話題になっていたことは知っていたが、韓国でも幼子の売買が行われているということに驚かされる。

映画では、漁港の買い手夫婦は、赤ん坊の顔にケチをつけて値下げの交渉をもちかけてきて交渉は決裂する。スジン刑事たち警察は、現行犯逮捕を狙っている。

現行犯逮捕するために、おとりの買い手夫婦を用意するが、見破られるという一幕もある。

ソヨンは明日には養父母に引き取られるウソンを抱き、旅を共にした一行と我が子へ「生まれてきてくれてありがとう」と伝える。

翌朝、里親候補に会いに行く途中で、サンヒョンは1人行方をくらました。養父母候補に会ったドンスたちは取引を進めまるが、警察が突入し、彼らは逮捕されてしまう。

その後、ウソンを引き取ったのはスジン刑事だった。夫との間に子どもがいなかったスジンは自らウソンを育て、ウソンを買い取ろうとした夫婦が、出所後ウソンを育てられるように手配する。そしてソヨンとドンスが刑務所から出てくれば、いつでもウソンに会えるよう話をつけていたのだ。

終盤、テレビから流れる「暴力団員が殺され、部屋からは4000万ウォンの現金が見つかった」というニュースが流れる。その犯人はサンヒョンで、サンヒョンはウソンを守るためにテホを殺してしまったようだ。

罪を犯したサンヒョンは逃亡生活を続けながらも、擬似家族の父としてウソンたちの幸せを離れて見守り続けていくのか。

リアル家族よりも疑似家族を描くことが多いようで、本当の家族とは何かを考えさせられる。

 

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