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映画「アキラとあきら」(2022)を見る。MOVIX さいたま。

  

池井戸潤原作の「アキラとあきら」(2022)の公開がはじまり、2日目のきのうMOVIXさいたまで初回(8:55)に鑑賞。最近見たばかりのドラマ版は1話60分全9話だったが、映画版は128分。圧縮する必要があったので、かなり展開が早い印象だった。

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タイトルの「アキラ」は、父親が経営していた町工場の倒産によって、幼少期から過酷な運命に振り回されてきた山崎瑛(アキラ、竹内涼真)。

「あきら」は、御曹司ながらも自ら跡継ぎの座を拒絶し、しがらみと戦う階堂彬(あきら、横浜流星)。

メガバンクに同期入社した2人は互いをライバル視して切磋琢磨していたが、立ちはだかった壁によってアキラは左遷され、あきらは親族の権力争いに巻き込まれていく。そして階堂グループに倒産の危機が訪れたことで、2人の人生は再び交差していく。

元銀行員の原作者池井戸潤のスタンスというのは、銀行を扱った作品では共通している。融資担当者が、零細企業への融資を渋り倒産させたり苦しめるというものでやや批判的。一方で、銀行の存在意義は、中小企業など資金繰りで苦しむ人たちを救うことにあるという。

「ただ会社に金を貸すというのでは、金貸しと同じだ。銀行は会社ではなく、人に貸すのだ」というセリフが印象に残る。

セリフの中で「晴れた日に無理やり傘を貸し、雨の日に取り上げる。それが銀行だ」というセリフが登場する。

今回のドラマでも、零細企業は追加融資が受けられず、融資担当から冷たく切り捨てられてしまう。そして、ヤクザまがいの男たちに工場の備品や、家財道具をトラックで持ち出されてしまうのだ。

銀行の本社の融資の責任者(江口洋介)は、稟議書を何度あげても「確実性なし。以上。」とすべてに塩対応。ドラマでも、自分の出世に瑕がつくような案件には一切かかわらないという保身がすべての人物だ。そんな、血も涙もない人物でも「銀行員は、1,000円、2,000円の預金を獲得するために、地を這うように仕事をしている」という人間味も持ち合わせている。

登場する二人のあきらは対照的な性格。二人とも銀行に入るが一人は、理想を追い、こまっている人を救済するという使命に燃えた人物。一方は、理想論など何にもならないと鼻から小ばかにし、同族経営のしがらみから抜け出したいがために銀行員になった人物。ただ「理想が現実化したら評価してもいい」という、やや上から目線(叔父たちからも指摘されていたが)の態度が気に障る。

ただ、沈没しかけた大手船会社の立て直しには「お前しかいない」と言われて、家業の社長に就任してからの徹底究明のシーンは、すさまじく、改ざんニセ資料をだしてきた経理部長を叱責し「粉飾だ!元の資料を早くもってこい!」という階堂彬(あきら、横浜流星)のセリフは、超ド級ド迫力で(横浜流星もすごい!)静かな劇場内でも、思わず「ハッ」として声が漏れそうになった(笑)。

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同族企業の宿命か。長男が後を引き継ぎ、弟たちはわきに回るか子会社の社長になるなどの処遇に、なんで兄貴ばかりがと嫉妬、逆恨みなどが心中にある。そのため、叔父たちが、悪知恵を働かすといったパターンだ。

叔父の一人、ユースケ・サンタマリアなど、救いようのない、ひねくれものだったが、階堂彬が、父(ユースケから見て兄)が生前「弟たちには申し訳ないことをした」と語っていたと告げると、涙する心も持ち合わせているのだ。

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連ドラの「半沢直樹」シリーズが高視聴率を獲得しているなど、金融機関に就職した経験のある池井戸潤の小説を原作とした経済系のドラマがヒットしているが、映画で経済を扱った作品はなかなかヒットに結びつかないようだ。

池井戸潤作品の映画は、むしろ例外で「空飛ぶタイヤ」(2018)「七つの会議」(2019)があり、それぞれ興行収入17.4億円、21.6億円とヒットしている。

第88回アカデミー賞で作品賞も含めて5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(2015)は世界的に大ヒットしたが、日本では興行収入5.8億円と振るわなかった。

「アキラとあきら」は、20億円というのが目安となりそうだ。

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蛇足になるが、一例としてドラマから削られてしまったエピソードでは、倒産した零細企業の飼い犬(チビ)は登場しなかった。子供と犬との別れは泣かせたが。

また「(人生において)あとから振り返ってみて、あの時に会ったのは偶然ではなく、宿命だったのだとわかる」というセリフがある。

ドラマでは、幼いころ、主人公2人が、キリストの十字のお守り(ロザリオ)を落としたシーンで、初めて会うシーンなど、のちに同じ銀行に同期入社としてはいるまでに3度、偶然に人生が交錯するということがある(あの時の…とあとから気づく)。

   「この部品は飛行機に使われているんだ」

映画では、ラスト・シーンで、工場の部品(ベアリング)を落とした時に初めて2人が会ったシーンが、さらりと再現されるだけだった。特に、あの時の…という感情や表現は一切なく、会話なしがかえって強く印象に起こる演出だった。

 ベアリング

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movixさいたまがあるさいたま新都心Cocoon City.

 前方中央が「さいたまスーパーアリーナ

池井戸潤の原作ドラマ、映画はやはり面白い。☆☆☆☆

「アキラとあきら」ドラマ版(全9話):

fpd.hatenablog.com

 

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