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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ホワイト・ボイス」(原題:Sorry to Bother You、2018、劇場未公開)を見る。

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ホワイト・ボイス」(原題:Sorry to Bother You、2018、劇場未公開)を見る(Netflix)。この映画は、2018年に評価の高かったインディーズ系ブラック・ムービー3作品のうちのひとつ。ほかの2作品は「ブラインドスポッティング」や「ブラック・クランズマン」。

原題の意味は「お忙しいところ失礼します」という電話セールスのお決まりの言葉。「ホワイト・ボイス」は、黒人の話し方ではなく、白人の声のことで、余裕のある白人の声なら相手を安心させ、売上が上がるというのだ。

ストーリーは人間が馬になったり、奇想天外な展開で、SFぽいところもあり、好みがわかれそう。資本主義を皮肉ったコメディといった部分もある。

・・・

黒人のカシアス・グリーン(ラキース・リー・“キース”・スタンフィールド)は叔父の家での車庫暮らし。彼女もいて、ふらふらしているわけにも行かず、そんな生活から脱却するべく職を探し始める。

面接の席上で「5年間レストランでマネージャーを務め、2014年から2016年はオークランド銀行で窓口係だった」と自己アピールするカシアス・グリーン。

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     面接で自己アピールするカシアス

しかし、面接の担当者が、かつてその時期には、その銀行の責任者で、そんな男はいなかったとウソがばれてしまう。

簡単に経歴詐称がバレてしまい、一転して表情が険しくなるカシアスだったが「どうしても仕事が必要なんです」と懇願。

すると、その上司は、テレマーケティングに別に経歴なんていらないからと、電話をかけまくれと言って快く採用してくれた。

大事なのは「STTS( Stick to the Script=台本に従え」だけだというのだった。

車庫の中の生活といっても、外へ出ると窓から叔父のサージが「家賃を払ってくれ」と催促。4か月も遅れているが、すべて「2週間以内に払え」という命令。

さっそく仕事先の「リーガルビュー」で働き始めるカシアス。上司から簡単な説明を受ける。成果を出せば最高のテレマーケター(パワーコーラー)になって、VIP待遇となり、昇進できると言われ張り切る。

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   電話しても、瞬間で切られる日々

いざ電話して見ると、瞬間で切られてしまう。しかし、また電話。また、切られる。初日から仕事に幻滅してやる気が失せるカシアス。次の日も「Sorry to Bother You…」と言っただけで即、切られ、もう打つ手なし。

すると隣の高齢の黒人に「ホワイト・ボイスを使え」とアドバイスされる。

なんでも“白人”声のことらしく「ウィル・スミス風じゃダメだ」「余裕のある風で行け」「彼らが理想としている声だ」と説明。実際にその男がやってみせると、全然別の声が聞こえた。

いつのまにやらホワイト・ボイスを使いこなすことに成功したカシアス。このホワイト・ボイスで停滞していた仕事はいきなり絶好調。パワーコーラーの道が開かれたと言われ、ガールフレンドのデトロイトテッサ・トンプソン)も働くようになった。

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仲間の一人スクイーズ労働組合活動も本格化し、繁忙時間の20分間だけ仕事を辞めるというストライキをすることになる。「電話を置け」を合図にストライキを実行。「クソッタレ(Fuck you!)リーガルビュー」の合唱のもと、一斉に仕事を放棄。さすがに上司も参ったの顔。

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そんな中、カシアスは昇進となりパワーコーラーとして上の階に配属。おカネに目がくらんだカシアスは自分だけがスト破りをして、未知の上位者の世界へ足を踏み入れるのだが・・・。

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 組合を作って、ストの提案もするアジア系のスクイーズ(右)

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電話セールスの中身が違ってきても、電話セールスそのものが「馬が合っている」かに見えた仕事だったが、まさか本当に「馬」になってしまった、というオチ。

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ばかばかしさもある映画で、この映画は「ご多忙中、失礼します」と日常に突然割り込んでくるような迷惑電話のような映画の一つと言えないこともない(笑)。