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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ゲット・アウト」(2017)

 
ゲット・アウト」(原題:Get Out, 2017)を見た。面白すぎる!
これは予備知識なしで見て大正解。誇張なしであまりにも面白いので☆☆☆☆☆を与えたいくらいだが、最高の4個を。アカデミー賞脚本賞を受賞(納得!)
 
宣伝文句の映画の常識を覆すサプライズ・スリラーというのも大げさではない。
 
監督・脚本はジョーダン・ピール、主演は「ボーダーライン」のダニエル・カルーヤ。「ボーダーライン」ではエミリー・ブラント演じるケイトのFBIの相棒役
 
ヒロインを演じるのは、テレビシリーズのGIRLS/ガールズ」で米国では有名というアリソン・ウィリアムズ。映画は初出演。なかなかいい。ヒロインの母親役は「マルコヴィッチの穴」「カポーティ」「キャプテン・フィリップス」などのキャサリン・キーナー
 
製作費はわずか5億円程度と低予算。興行収入は全米を中心に世界で250億円を軽く突破。日本は、昨年の秋に公開されたが「ブレード・ランナー2049」などの陰に隠れて、短期間の上映で打ち切りとなった。最近、レンタル開始となった。タイトルの「(黒人は)出ていけ!」(Get Out)というのは1980年代にアメリカではやったコメディを元ネタにしている。
 
・・・
ネタバレにならない程度に、導入部を紹介すると、26歳の若手写真家の黒人青年クリス・ワシントンは白人で大学生の恋人ローズ・アーミテージがいた。ローズは、自身の両親のもとへ挨拶に行くことを提案。
 
 
不安なクリスは、両親黒人であること話しているかと聞く。
ローズは、両親は人種差別をする人間ではなく、「オバマ3選目指せば投票する」ほどだというのだ。ローズの運転する車で、実家アーミテージ家へと向か
 
その道中でシカと衝突、白人警官から聴取されるクリス。
運転していたのはローズだったが、警官のクリスに対する態度にローズは憤る。
 
アーミテージ家に着いたクリスはローズの両親から歓迎され
 
             親切そうなローズの両親だが・・・。
 
ローズの母ミッシー(キャサリン・キーナー)は催眠療法を行う精神科医、ローズの父ディーン(ブラッドリー・ウィットフォードは神経外科医そして家には、黒人のメイド・ジョージーナ(ベティ・ガブリエル黒人の庭師ウォルター(マーカス・ヘンダーソンもいた。
 
彼らの仕草や立ち振舞を見ていると、クリスには挙動不審に思われ、気味が悪かった。ゲスト白人の富裕層ばかりというアーミテージ主催のパーティが開かれ、クリスも招かれ参加したが、居心地が悪かった。
 
しかし、ゲストの中に1人だけローガン(キース・スタンフィールドという黒人男性がいた。クリスは、ローガンに話しかけたが、その黒人らしからぬ立ち振舞いに不信感をおぼえるのだった。同じ黒人で、美人の白人娘を恋人にしていることへの嫉妬心か・・・?
 
・・・
前半は物語がスピーディに展開して行くが、途中から、なにかがおかしいということに気づいていくクリス。その先にクリスを襲う恐るべき事実とは・・・。
 
前半と後半では、映画の中身ががらりと変化する。完全にホラー映画となる。
 
 
40年前に公開された「招かれざる客」と同様、白人娘が黒人のボーイフレンドを両親に紹介するという点では同じだが、今回は、背後に”ワケアリ”がある。
 
人種の違いやマイノリティなどの多様性を認めようという風潮のいま、あえて人種差別に関連した映画を製作しているが、根強くある差別・偏見の根底は今も変わっていないようだ。
 

映画としては、予告なく、ショッキングな出来事が突然起こるので、驚かされる。
メイドの黒人女性ジョージナベティ・ガブリエル写真の、作り笑いのような表情と謎の行動が不気味。この女優は初めて見たがすごい。「ノー、ノー、ノー、ノー」というときの表情が凄すぎ! 
 
キャサリン・キーナーは、名前がキャスリーン・ターナーと間違えやすいが、この映画では、精神科医の役で、相手を催眠術にかけてしまい、意のままに操ってしまう。
 
         精神科医ミッシー(キャサリン・キーナー:左)とクリス
 
アーミテージ家の人間、そのパーティに集まる人間がすべてがクリスには奇異に映る。一方、恋人としてなんの疑いの目も向けていなかったローズでさえもグルだったのか?クリスは、ローズの私物の箱の中身を見てしまう。以下、一部ネタバレ(反転):これまで
アフリカ系アメリカ人の友人はいなかったといっていたが、ローズの箱からは、黒人男性とのツーショットが何十枚出てきた。しかも優秀であるか、フットボール選手のよ屈強な体格の男ばかりだった。家族ぐるみで、何かの目的をもって男を「選んでいた」のだった。恐るべき秘密の行動が明らかになる。
 
主な登場人物:
クリス・ワシントンダニエル・カルーヤ: 写真家の黒人青年。 
ローズ・アーミテージアリソン・ウィリアムズ: 大学生。クリスの恋人の白人女性。
ミッシー・アーミテージキャサリン・キーナー: ローズの母親。催眠術を使用する心理療法家。
ディーン・アーミテージブラッドリー・ウィットフォード: ローズの父親。脳神経外科医。
ロッド・ウィリアムスリル・レル・ハウリー: クリスの親友。黒人系。TSA(運輸保安庁に勤務。
アンドリュー・ローガン・キング キース・スタンフィールド: アーミテージ家のパーティに招かれた客。黒人系。
ジョージナ  ベティ・ガブリエル: アーミテージ家の使用人。黒人系。
ウォルター  マーカス・ヘンダーソン: アーミテージ家の庭の管理人。黒人系。
ジム・ハドソンスティーヴン・ルート: 盲目の画商。クリスの写真も審査しているという。
 
アカデミー賞で、多くの有力作品を退けて「脚本賞」を獲るだけあって、伏線やストーリー展開も緻密。人間が、あるきっかけで豹変したりする描写や、セリフなどで気の利いたセリフも多い。
 

コーヒーカップをかき混ぜる音の不気味な音。
クリスが二階に上がろうとすると、パーティに集ったセレブたちが一斉に見上げるシーンなど、カメラワークにも引き込まれる。
 
パーティに集まった富裕層の中に日本人が一人いた。クリスに向かって、乱暴にも「アフリカ系アメリカ人で有利か不利か」などダイレクトに聞いてくるのだ。また「白人が愛されたのは、この200年だけだ。今は、黒人(の時代)だ」といった黒人を持ち上げる声も上がってくるが、そこにはウラがある。
 
       庭師のウォルターはなぜかクリスに嫌がらせを言ってくるが・・・。
 
オバマ大統領が誕生して、レイシズム(差別主義)はなくなったかに見えたが、トランプ大統領が登場し、支持者の多くが白人至上主義であるなどによって、潜んでいた差別がまだあるということがわかったため、この映画を撮ったといわれる。
 
               ロッドとシド(犬)
 
クリスとローズが、一時両親の元へ出かける間、飼っていた犬・シドを預かってくれたのは、クリスの親友のロッド・ウィリアムス(リル・レル・ハウリー)。この役者もクリスが絶体絶命のピンチにあるときに助けて、味わいがある。シドが、ふわふわとした犬でかわいい。
 
                                                   予告編
 
☆☆☆☆(超おすすめ)
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