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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「タイトル、拒絶」(2019)を見る(Netflix)。風俗の裏側。

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タイトル、拒絶」(2019)を見る(Netflix)。98分。元は舞台劇で、雑居ビルにあるデリヘル事務所で繰り広げられる風俗嬢たちの本能むき出しの人間模様を描く。スタッフとして働き始めた女性が風俗嬢たちの複雑な事情に振り回されて行く。

主演は「全員、片想い」の伊藤沙莉(さいり)。共演は「コンフィデンスマンJP-ロマンス編-」の佐津川愛美、「スパイの女」の恒松祐里、事務所オーナー役で、でんでんが出演。

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冒頭のシーンは、風俗のポン引きに注意の看板と隣に、上半身、ブラジャーだけの姿の女が立っている。

場面が変わると、雑居ビルの中にあるバブルを彷彿させるような内装が痛々しく残っている部屋。華美な化粧と香水のにおいをさせながら喋くっているオンナたち。 

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カノウ(伊藤沙莉)は、デリヘル嬢目的で入店したが、初回の客の態度を見て「これは無理、無理」とその場から逃げ出し、いまでは電話番兼風俗嬢たちの雑用と世話係をしている。冒頭のシーンの下着女性は、ホテルから逃げだしたカノウだった。

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オンナたちは冷蔵庫に飲み物がないとか、あの客は体臭がキツイとか、さまざまな文句を言い始め、その対応に右往左往するカノウ。 

店で一番人気の嬢・マヒル(恒松祐里)が仕事を終えて店へ戻ってくる。マヒルがいると部屋の空気が一変する。

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何があっても楽しそうに笑うマヒル。そんなマヒルを見ながら、カノウは小学生の頃にクラス会でやった『カチカチ山』を思い出す。「みんながやりたくて取り合いになるウサギの役。マヒルちゃんはウサギの役だ。みんな賢くて可愛らしいウサギにばかり夢中になる。性悪で嫌われ者のタヌキの役になんて目もくれないのに・・・。」 カノウは、自身をタヌキと重ね合わせるのだ。

ある時、若くてモデルのような体系のオンナが入店してきた。彼女が入店すると、店の人気嬢は一変していった。その不満は他のオンナたちに火をつけ、店の中での人間関係や、それぞれの人生背景がガタガタと崩れていくのだった・・・。

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それぞれの背景を持った女たちのセリフがおもしろい。「マジ、受けるんですけど」「風俗業は工場と同じ。電話が来たら女を出荷する。管理売春と同じ」。

チンピラ風のマネージャーのような男は「ここにいる奴はクズでバカばかりだ」と痛烈。その一方で、店の風俗嬢の女に手を出していることを知られて脅かされたりする。

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泣いている女がいると「簡単に泣かないでよ!」と、部屋の隅のほうでいつも小説ネタでも書くようにノートをつけている一見インテリ風の女が叫ぶ。「父親が息を引き取ったので休む」と出ていく。

ヒルは「小学校の時に用務員さんがいたでしょう。ああいう人を一生雇えるように稼ぎたい」というのだ。マヒルは、時々妹がやってきて、お金を渡している。妹のほうは、マヒルがいつも無理をして笑いを作っているのを見抜いているかように、今の生活から抜け出すように助言している。ラストでマヒルがビルの屋上で遠くを眺めている表情は笑っているようにも泣いているようにも見えた。

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「風俗嬢がカノジョ面するな」と付きまとわれることに「うざい」と拒絶されたり、カノウなどは、真面目な事務所スタッフから「カノウさんて変わっている」と間接的に、恋愛対象として拒絶されて、大粒の涙を流すのだ。

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題材は風俗の舞台裏だが、事務所内の密室劇で、エロティックなシーンは一切なく、タイトルのように拒絶している。

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