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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「独立愚連隊」(1959)を見る(Netflix)。岡本喜八監督の出世作。

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独立愚連隊」(1959)を見る(Netflix)。監督の岡本喜八は、この映画が5作品目で、日中戦争最中の中国大陸に西部劇や推理劇の要素を取り入れ、一躍若手監督の有望格として注目を浴びることになった。このあと「独立愚連隊西へ」(1960)「江分利満氏の優雅な生活」(1963)「ああ爆弾」(1964)「」(1965)「日本のいちばん長い日」(1967)「肉弾」(1968)などの作品を監督。

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太平洋戦争末期、中国北部の北支戦線の山岳地帯を舞台とした西部劇風の戦争アクション活劇。荒木(佐藤允)と名乗る従軍記者が独立愚連隊という警備隊に潜入し、ある部隊員の死の真相に迫る話。ガンベルトをして決闘シーンなどもあり「ヴェラクルス」を彷彿とさせるシーンや、ラストの銃撃戦もあるが全体にコメディタッチの明るさが貫いている。

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荒原に一人の男が横たわっている。起き上がり、崖から飛び降りると、下には馬。そして走りだす。タイトルが現われる。
いわゆる大東亜戦争末期の北支戦線山岳地帯。新聞記者・荒木(佐藤允)は分隊と合流。「危なくなってくると掌(てのひら)がむず痒くなってくるんですよ」とニコニコ語る。そんな荒木に分隊長である山岡少尉(瀬良明)は好意を持ち、独立愚連隊に向かうという荒木にやめておけと警告しながらも将軍廟(しょうぐんびょう)に案内する・・・。

独立愚連隊と呼ばれる小哨隊は正式には独立第九〇小哨だが、各隊のクズばかり集めて作った警備隊。独立愚連隊に行くには、敵の出没する危険な丘陵地帯を行かねばならない。

この死地へ、新聞記者の腕章を巻き、戦闘帽に中国服姿の男が馬を走らせていた。大久保という元軍曹だが、愚連隊小哨長をしていた弟の死因を究明するために、入院中の北京の病院を脱走して来たのだ。

そして、従軍記者・荒木と名乗り、弟が交戦中に情婦と心中したという発表が信じられず、生前弟が使用していた居室から、弟の死因となったピストルの弾を発見。心中なら二発ですむわけだが、弾はいくつも壁にくいこんでいた。

部屋で死んだのだから、敵ではなく部隊内の誰かが犯人だ。弟の大久保見習士官が死ぬ直前に、部隊長宛に綴った意見具申書があった。それは、橋本中尉(中丸忠雄)の不正を列挙し、隊の軍規是正を望むものだった。

橋本中尉は、自分の不正がばれるのを恐れて大久保を殺し、心中の汚名を着せたのだ。

しかし、荒木の身許が橋本にバレてしまう。荒木の北京時代の恋人で、今は将軍廟で慰安婦をしているトミ(雪村いづみ)が荒木を追って来た。

そしてトミは将軍廟の橋本からかかって来た電話に出て、荒木の本名を口走ってしまったのだ。将軍廟に向うトミと荒木を乗せたトラックは、途中で敵の砲撃を受け、トミは死んだ。荒木も将軍廟に着くと営倉に投げこまれた。しかし、脱出して橋本を撃った。

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敵の数百人の大軍が押し寄せてきた。しかし、荒木は不思議に死ななかった。荒木は、トミの墓を作り、馬賊の兄(鶴田浩二)らの群に投じ、はるか地平線の彼方に消えて行った。

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監督の岡本喜八、主演の佐藤允共に出世作となった映画。戦争アクションといっても悲壮感はなく、コメディ要素も多い娯楽映画といった印象。

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ギョロ目で白い歯が爽やかな佐藤允(まこと)の快活さが魅力となっている。三船敏郎は冒頭にわずかだけ登場し怪演をみせるゲスト出演程度で、鶴田浩二などは中国人に扮してチョイ役。当時22歳の雪村いづみ慰安婦役で出演している。ほかに、夏木陽介上原美佐中谷一郎ミッキー・カーチス横山道代塩沢ときなどが出演。