fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(2019)を見る。

f:id:fpd:20220102132606j:plain

海辺の映画館―キネマの玉手箱」(2019)を見る。劇場公開は2020年7月31日大林宣彦監督の遺作3時間(179分)の長尺映画で、途中「INTERMISSION」(休憩)が入る。3時間見るのは忍耐も必要(笑)。

大林監督は集大成といわれた前作「花筐/HANAGATAMI」(2017年12月公開)を完成させたが、休暇を兼ねて故郷の広島・尾道で兼ねて気軽にエンターテインメント作品を撮ってみてはとの誘いを受けて、直後から広島での巡演中に被爆し全滅した移動劇団「桜隊」を題材として本作の企画に着手し完成させた。評価は賛否あるようだ。2時間以内にコンパクトにできなかったのか。

・・・

f:id:fpd:20220102132939j:plain

尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日は「日本の戦争映画大特集」のオールナイト興行。そこで映画を観ていた若者3人は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界 にタイムリープする。

戊辰戦争日中戦争沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島。そこで出会ったのは移動劇団「桜隊」だった。「桜隊」を救うため、3人の男たちは運命を変えようと奔走するのだが…。

f:id:fpd:20220102133005j:plain

・・・

赤紙」(召集令状)1枚で、戦争に駆り出されるのは若者たち。届ける人は今でいう公務員か役所の人で「おめでとうございます」と言って届ける。「ついに来たか」と家族は本来、肩を落とすはずが、反対すれば憲兵(国家警察)に捕らえられるので、赤飯を炊いて「万歳三唱」で戦地に送り出さなければならない。

移動劇団が列車で広島方面に移動するシーンでは、タイムスリップした3人が、劇団員に時間を聞くと「8月6日」という。8月6日といえば原子爆弾が落ちた日で、まさにその現場に向かうところだった。

作品名の「海辺の映画館」は大林の妻でプロデューサーの恭子が、副題の「キネマの玉手箱」は「その誕生以来、世界中の人々を驚嘆させ、感動の嵐に巻き込んだキネマ=映画なる人類の玉手箱に敬意を捧げ」として大林が名付けた。

「気軽にエンターテインメントを」のつもりで着手したという作品だが、やり始めたら本気になり、キャスト、スタッフ総勢300人が関わり、上映時間がなんと3時間に及ぶ映画となった。大林の抱く「反戦」「厭戦」の思いが全編に貫かれた前作を上回る大作として完成した(Wikiより)。

f:id:fpd:20220102134646j:plain

アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」ならいざ知らず、邦画で「インターミッション」が入るとは!(笑)。劇中、インターミッションの際には、ナレーションで「休憩タイム」「おトイレタイム」などと説明まで入る。

晴れた日であってもざあざあ「」のシーンが多く、子供時代の童謡「蛇の目でお迎え、うれしいな♪」という歌が登場していた。子供が雨の日には、母親が蛇の目傘で迎えに来てくれる嬉しさを歌ったものだ。

大正から昭和初期の詩人・中原中也(30歳没)の詩が随所に登場している。沖縄の方言などは琉球語として殆ど分からないが「字幕」があった。白虎隊などを演じるシーンなど、劇中劇も本格的な撮影だった。

観客が映画の中に入り込んだり、鮮やかな原色に近い色やモノクロなどの映像美の他、サイレント、ミュージカル、時代劇、アクションなど様々な要素が詰め込まれ、反戦へのメッセージが込められている。

f:id:fpd:20220102133936j:plain

f:id:fpd:20220102133901p:plain

f:id:fpd:20220102133107j:plain

成海璃子がヌードを見せるなどで「PG12」。脇役陣が豪華で、常盤貴子小林稔侍、白石加代子尾美としのり武田鉄矢片岡鶴太郎柄本時生浅野忠信伊藤歩品川徹笹野高史満島真之介渡辺えり、などが出演。笹野高史は3役を演じるが、まさかのシーンもある。

f:id:fpd:20220102133646j:plain

■主な登場人物:

馬場毬男:厚木拓郎

鳥鳳介:細山田隆人

団茂:細田善彦

希子(のりこ):吉田玲

斉藤一美成海璃子

芳山和子:山崎紘菜

橘百合子:常盤貴子

杵馬(瀬戸内キネマ支配人):小林稔侍

爺・ファンタ:高橋幸宏

老婆(チケット売場):白石加代子

近藤勇尾美としのり

坂本龍馬武田鉄矢

能を踊る男:南原清隆

千利休片岡鶴太郎

中岡慎太郎柄本時生

西郷隆盛村田雄浩

大久保利通稲垣吾郎

芹澤鴨蛭子能収

酒匂允(苦力姿):浅野忠信

川島芳子伊藤歩

宮本武蔵品川徹

お通:入江若葉

川村禾門上等兵渡辺裕之

映画監督(小津安二郎):手塚眞

映画監督(山中貞雄):犬童一心

お季:根岸季衣

奈美子 (新聞記者、爺・ファンタの娘):中江有里

加也を刺す上官/車掌/倉庫番A:笹野高史

上等兵/軍曹(日本軍駐屯地) 郵送:本郷壮二郎

愛姫 (滝の中国女) :川上麻衣子

成田中尉:マフィア梶田

金城亀二:満島真之介

金城亀吉(村長):大森嘉之

宮地節子(列車のおばさん):渡辺えり

丸山定夫窪塚俊介

森下彰子朝比奈加奈

男の子の父/小山内薫長塚圭史

寺島咲

犬塚弘

中野章三中野ブラザーズ

ミッキー・カーチス

ほか

 

■「にほんブログ村」にポチッとお願いします。

https://movie.blogmura.com/ranking/in?

https://movie.blogmura.com/moviereview/ranking/in