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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「日本春歌考」(1967)数十年ぶりに再見(HULUで)。

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日本春歌考」(1967)をHULUで再見した。監督は大島渚。主演はらんぷさんが大・大ファンという荒木一郎。この映画は、劇場公開の数年後にリバイバルで銀座「並木座」で「初恋地獄篇」(羽仁進監督)の2本立てでみていたが内容はすっかり忘れていた(鑑賞日:fpd黒色(黒革でなく)の学生手帖:1972年9月27日)。

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大学受験の4人の”ノンポリ”男子高校生が、ありとあらゆる場面で有名な春歌の一つ「ヨサホイ節」(ヨサホイ数え歌)を歌いだすという青春映画(笑)。

あの、消えゆく、おおらかな性の歌で「ひとつ出たほいのよさほいのほーい、一人娘とやるときにゃ親の許しを得にゃならぬ」

高校生の元教師の大竹(伊丹一三)が、飲み屋でほかの団体グループが軍歌などを歌っているのに対して「ヨサホイ節」を歌っていた影響か。

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群馬県前橋から東京の大学に受験に来た男子高校生、中村豊明(荒木一郎)と上田秀男(岩淵孝次)は、試験場で見かけた美しい女生徒、受験番号「469番」の藤原眉子(田島和子)に興味を抱く。

2人は同じ高校から別の大学の受験に来ていた広井克巳(串田和美)、丸山耕司(佐藤博)と合流する。

4人は雪の中、渋谷で紀元節復活反対のデモ行進に遭遇し、デモ隊から、かつての彼らの教師であり、現在は東京で大学院の博士課程に在籍している大竹(伊丹一三)が金髪の女性、谷川高子(小山明子)とともに離脱するのを目撃。

高子は大竹と別れ、ソ連系の船舶会社(ジャパン・ナホトカライン)のオフィスの中に消えてゆく。

4人は同じ高校から女子大に受験に来ていた女生徒たち、里美早苗(宮本信子)・池上智子(益田ひろ子)・金田幸子(吉田日出子)が大竹に会うのについてゆく。大竹と生徒たちはお茶漬屋と居酒屋で飲食をするが、そこでは客たちが軍歌を歌っている。

大竹は春歌の「ヨサホイ節」(ヨサホイ数え歌)を歌う。生徒たちは宿屋に宿泊する。中村は大竹の下宿(お寺の一室)に忘れた万年筆を取りに行き、ガスストーブが倒れて部屋中ガスが充満している状態で大竹が熟睡しているのを発見するが、そのまま立ち去る。

大竹はガス中毒で死亡する。4人は女生徒たちに「俺たちが大竹を殺した」といい、泣きながら帰郷する女生徒たちを上野駅で見送った後、「ヨサホイ節」を歌いながら早苗や智子を、試験場で眉子を犯すイメージを空想する。

深谷から引き返してきた金田は、上野駅付近を4人と歩きながら「満鉄小唄」を歌う。大竹の下宿で行われた通夜では大竹の友人たちが革命歌を歌うが、中村が「ヨサホイ節」を歌い始め、乱闘となる。

中村は自分が大竹を見殺しにしたことを高子に告げるのだが・・・。

 

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映画は時代を映す鏡と昔から思っているが、都内の映画館の看板では「引き裂かれたカーテン」(1966)「幸福(しあわせ)」(1965)「赤と黒」(1955)「アルプスの若大将」(1966)「」(1967)などがあった。ストリップショー、ピンク映画のポスターもある。

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主人公の高校生たちは、くわえタバコで、2,3本を一度にふかしている。電話は公衆電話ボックスで、電話はダイヤル式。試験が終わった後に、別の高校生仲間が、新宿の「新宿ロレンス」に行かないかと中村(荒木一郎)等を誘うシーンがあったが、「アラビアのロレンスなら知っているが、新宿ロレンスって?」。あとでトルコ(現ソープランド)であるとわかる。巨大なコカ・コーラの看板(ビルボード)なども登場していた。

この映画の公開時、1967年は、ベトナム戦争の時代で、この映画には、ベトナム戦争反対の署名活動や、反戦歌が多く挿入されている。懐かしい曲ばかりだ。

■「We shall overcome」(勝利を我らに)

アメリカの公民権運動などで歌われた。ジョーン・バエズなど。

■「若者たち」(藤田敏雄作詞・佐藤勝作曲)

…「君の行(ゆ)く道は 果てしなく遠いだのになぜ 歯をくいしばり君は行くのか そんなにしてまで~」

■「国際学生連盟の歌」

…「学生の歌声に 若き友よ手をのべよ 輝く太陽 青空を 再び戦火で乱すな 我等の友情は 原爆あるもたたれず~」

 

日本春歌考(にほんしゅんかこう)

英語タイトル:Sing a Song of Sex (A Treatise on Japanese Bawdy Songs)

公開日:1967年2月23日

カラーモード:カラー

上映時間:103分

サイズ:シネマスコープ

製作:創造社

配給:松竹

 

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