「夜の伝説 マダム・クロード」(原題:MADAME CLAUDE、2021、劇場未公開)を見る。「マダム・クロード」といえば「エマニエル夫人」のJ・ジャカンが監督したエロティックサスペンス映画「マダム・クロード」が1977年に公開され、1981年には「マダム・クロード2」という作品もあった。リメイクと言えないこともない。
20世紀で最も娼館で成功した人物で、時代のトップ権力者達と親交があり、とてつもなく強大な権力を持った女帝として知られている。
「夜の伝説 マダム・クロード」はNetflixオリジナル映画で、マダム・クロードがある程度の地位を築いたころからのストーリー。1960年代後半のころから、クロ―ドが、アメリカに渡った1992年のころまでが描かれている。
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年号が大きく画面に現われ、政治ネタなどが登場するので、時代背景を知っていると興味深い。1968年にアラン・ドロンのボディガードのステファン・マルコヴィッチが銃で殺害された「マルコビッチ事件」などが登場する。
ポンピドー大統領の後、ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領が就任する(1974年~1981年)。
娼館の客リストには、公務員や政治家、高官からマフィアなどの名前があり、警察も、情報収集のためにクロ-ドと協力するといった背景もあり、回想録を出すとクロ―ドが言うと、警察や国家に不利なことは書くなと脅かすのだ。
映画では、クロ―ドによると、200人の”娘たち”がいて、娼婦以外の仕事として、ときには警察などから危ない仕事の依頼を、従業員である娼婦にやらせていた。
自叙伝では「人々がいつもお金を払うのは、食べ物とセ〇クスの2つです。私は料理が苦手でした」と書いてあり、そのセリフは、映画にもあった。
お金とさまざまやネットワークを持つことで、マフィアをも凌ぐ権力を持つこととなる。
この映画では、幼少期は、ヤギと一緒にいたといったことが語られるくらいで、いきなり華やかな全盛期から始まる。
クロ―ドの生い立ちを見ると、父は小さなカフェを経営し、決して裕福ではなかった。第二次世界大戦中のフランスのドイツ占領中のフランス・レジスタンス運動の代理人としての仕事をしていた。また、ナチス強制収容所での投獄経験もあり、戦後は、売春婦として働いていた。
いったん、アメリカに渡るが、半年くらい拘束されるなどして、1992年に再びフランスに帰国する。
2015年に92歳で亡くなっている。
映画のラストからも20年以上もあとだ。
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回想録でマダム・クロードは「15年間の福祉活動だった」と書いている。テレビのインタビューでもそのように答えると、テレビを見ているクロ―ドの”娘たち”は、うまく言い換えていると笑う。「殿方たちの孤独さの隙間を埋めるような束の間の歓びを与えるもの」だという。一般的には”斡旋”というとも語られていたが。
事実に基づくという、実話ものだが、時代背景や風俗などが見られておもしろかった。ただ、地上波では、まず放送されないだろうと思われるベッドシーンが多い。娼館だから、しょうかんないが♪