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映画「40歳の解釈:ラダの場合」(2020):ラップで40歳の壁を超えろ。

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映画「40歳の解釈:ラダの場合」(原題:THE FORTY-YEAR-OLD VERSION、2020、Netflix)を見る。監督・脚本・主演はラダ・ブランク。ハーレムに住む自分の人生を織り込んだ架空のキャラクター「ラダ」を作りあげ、ラダ自身が自ら演じている。

ハリウッド映画は、アメコミのアベンジャーズ、ディズニーアニメ、LGBT関連、リメイクなどの作品が多いが、Netflixのオリジナル映画は、実験的な映画も含めて新しい試みの映画にチャレンジしており、新鮮味がある。

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映画は90%以上がモノクロ(モノクロ35mmフィルム)で撮影され、空想シーンやラストシーンなど一部でカラー映像となっている。

女性にとっての40歳の壁を”ラップ”のリズムで表現しているところが面白い。この映画のテーマは、ラップの歌の中にあることば「 FYOV」(Find Your Own Voice: 自分で計画を実現)にある。FYOVは「40歳の解釈」(原題)の意味も兼ねている。

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映画の中のラダ(ラダ・ブランク)はニューヨークに暮らす脚本家。まもなく40歳になる黒人女性だ。10年以上前に業界誌で将来有望な「30歳未満の30人」に選ばれたこともあるが、このところは何年も新作を発表できていない。

近年は、高校生の演劇ワークショップを指導する仕事が唯一の収入源。生徒はやる気のある若者が中心だが「ヒット作もない人がなぜ脚本を教えるのか?」といった厳しい言葉もある。

ラダは新作を上演する道を探って劇場主やプロデューサーに会いに行くが、なかなか耳を傾けてもらえない。壁にぶちあたったラダは、部屋で心に浮かぶ言葉を口に出すうちに、ラップで「40歳の女性の視点」を表現しようと決意するのだった。

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主人公のラダ・ブランクは、一見するとクイーン・ラティファ似で、バスに飛び乗る冒頭のシーンが面白い。バスに乗り遅れるところで、声をあげて何とかバスに乗ると、運転手に話しかけ、肩に手をかけたりするが、運転手が無言で目を向けたところに「運転手に話しかけないで」という文字がある。

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次のバス停では、車椅子の客が数人待っていた。ラダは、「急いでいるので、先に降ろさせてくれないか」というと、運転手の返答がケッサク。迷惑客への痛烈なしっぺ返しだ。

「みなさん、お時間をおかけして申し訳ありません。こちらのお客様が邪魔をするものですから、少々時間がかかります」だった。周りの乗客からがブーイングが起こったので、ラダはバツが悪そうに待つのだ。

ニューヨークのハーレムが舞台で、登場人物はほぼ黒人。ラダが住むアパートの向かいには、ホームレスのおっさんがいて、なにかとラダをからかうような言葉をかけてくる。ラダがサンドイッチを渡すと、次はマヨネーズをつけてくれというホームレス。韓国系のゲイ、金持ちの白人男性、他人に溶け込めない女性など様々な人物がひしめくハーレムの状況が描かれるただ、4文字ことばや「クソっ」「ケツ」などダーティワード、スラングのオンパレードもある。

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    なぜか「鉄人28号」というセリフまである。

監督・脚本:ラダ・ブランク

出演: ラダ・ブランク/ピーター・キム/オズウィン・ベンジャミン/イマニ・ルイス/ ハスキリ・ベラスケス/アントニオ・オルティス /T・J・アトムズ /リード・バーニー