「コラテラル 真実の行方」（原題：Collateral、2018）（全4話）を見る（Netflix)。「ドライヴ」「華麗なるギャツビー」のキャリー・マリガンがストイックな刑事を演じる犯罪サスペンス・ドラマ。ロンドンを舞台に不法就労者を襲う事件と、その背後にある密輸や難民や麻薬など社会の闇を描く。
脚本は「愛を読むひと」「めぐりあう時間たち」などのイギリスを代表する劇作家であるデヴィッド・ヘアが初のオリジナルTVシリーズの監督・脚本をを手がけている。ドラマは全4話で、ピザ配達ドライバー殺害事件と、その後の4日間を追う内容となっている。サスペンス娯楽作品であると同時に、イギリスが抱える移民・難民問題にも鋭く切り込んでいる。
キャリー・マリガンというと、童顔でキュートのイメージがあるが、このドラマでは、睡眠を削ってでも捜査にあたる熱心な刑事役でやややつれた表情など、別の顔を見せている。
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「リーガル・ピザ」というデリバリー専門のピザ屋で、女性店長が順番で配達スタッフのローテーションを組んでいるが、変更となったバイトの男が、届け先から出てきたところで何者かに狙撃されて即死した。
警察の調べで、近くにホームレスのように座り込んでいた女性が唯一の目撃者だった。
その目撃者ハン・ヤンは、違法で入国していたことから、警察に最初は本名を伝えなかったが、調べていくと、犯人は女性であることが発覚する。また、軍用の弾丸が使用され、鮮やかな手口からプロの犯行と推測されるのだった。
事件を担当するのは妊娠中のキップ・グラスビー警部補（キャリー・マリガン）だ。キップは有名な棒高跳びの選手だったが、怪我でリタイヤした過去がある。
被害者の男は姉妹とシリアから逃れた難民で不法滞在者だったが、姉の証言で密入航ビジネスの親玉の名前を知ってしまったことから命を狙われるという理由が発覚する。
密入国ビジネスに「英国情報局保安部」（MI5）が絡み、事件はより複雑な様相を呈する。
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ピザの配達員の一人は、麻薬密売人の指示で麻薬をピザの”トッピング”と称して「麻薬」を運んでいたのだった。麻薬が欲しくて、ピザを隠れ蓑にして麻薬を手に入れていた客は、ピザ配達人に「お金は払った。トッピングはないのか？」と配達人に小銭のチップだけ渡したが、その直後に配達人は殺された。
タイトルの「コラテラル/Collateral」というのは、トム・クルーズ主演の「コラテラル」という映画では、タクシー運転手が犯罪に巻き込まれることから「巻き添え」の意味で使われていた。ほかに「担保」「見返り」「縁者」「付随事実」といった意味もある。「コラテラル」に加えて、リチャード・ギア主演の「真実の行方」という名称も使われていて、紛らわしい。
軍人として、人生を軍隊に捧げた35歳の女性兵士が、暗殺者として登場するが、過酷な戦地から帰国したあと、父親の戦友からの依頼を遂行する。それは非合法な行動であったが忠義を尽くした国のための正義だと信じ、壮絶で悲しい最期を遂げる。
シリアからの難民、橋渡しとなる密入国ビジネス、MI5の関わり、レイプ、不倫などさまざまなテーマを扱いすぎたきらいがあって、やや消化不良のところもある。
１話６０分で、４話なので、一気に見ることができた。
キャリー・マリガンの刑事は、キビキビして「羊たちの沈黙」のFBI捜査官クラリス（ジョディ・フォスター）を彷彿とさせる。
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