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映画「リミット」(原題:Buried, 2010、スペイン)を見た。大どんでん返し映画。

 

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スペイン映画「リミット」(原題: Buried、2010)を見た。完全な「ワン・シチュエーション」映画。映画の舞台は、棺(ひつぎ)の中だけで、それ以外のシーンは一切出てこない。

生きたまま棺に入れられ、埋められた男を描くスリラー映画。結論から言うと、映画を見終わって、モヤモヤ感が残るというのが正直な感想。あれれ、そうなるの、と。

 原題の”埋められた”は、映画の内容そのもので、地中に埋められた「棺」の中に閉じ込められた男と外界との交信の話。男は果たして脱出することができるのか。そうはいってもなんとか逃げ出せましたという脱出劇の映画ではなかった。

 

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制作費が300万ドル(約3億円)と聞くと安いと思うが、最初から最後まで「棺の中のシーン」しか出てこないことを考えると、なんで?と思ってしまう。

しかし、オープニングのソールバスを思わせるようなデザイン(これは見ごたえがある)や「ジョーズ」を彷彿とさせる不安を煽るような音楽は緊張感を高めていた。映画に登場するのは、主人公の男一人だけ。あとは電話の声のみというのがユニーク。映画は最後に救いがあるものだが、この映画のように絶望で終わるのも珍しい。

 

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妻を残して、イラクバアクーバで民間土建業者「CRT (Crestin, Roland and Thomas)」のトラック運転手をしているポール・コンロイライアン・レイノルズ)。ある日彼は何者かに襲われ、気がつくと粗末な棺(ひつぎ)に閉じ込められて、棺は地中のどこかに埋められていた。

手元には自分のものではないブラックベリーの携帯電話とライター。状況が全く分からずに混乱するポールは、外界とのコンタクトを試み、アメリカの国番号+911アメリカの緊急通報番号)にコールするが、なぜかヤングスタウン (オハイオ州)の緊急センターに繋がってしまい、電話は切れてしまう。そこで、アメリカ国務省(DOS)に助けを求めるのだが... 。

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きょうの昼の情報番組で招待されていた「大どんでんがえし」映画4本の中の1本だったので、さっそく「HULU」のラインアップから見た。他の3本は「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(2019)「シャッターアイランド」(2010)「アス」(原題:Us,  2019)。

”大どんでんがえし”ということで期待したが、九分九厘助かったという結末のはずが肩透かしを食うという逆の意味のどんでん返しだった。閉所恐怖症の人にはおすすめできない。

密室映画というジャンルでくくってもこれほど息が詰まる狭い空間に閉じ込められるという映画も珍しい。棺桶に閉じ込められる映画としては「キル・ビル」(2003)でユマ・サーマンが閉じ込められるというシーンがあった。

映画は、真っ暗なシーンで始まり、しばらく暗いままで1分間も続く。次第に、咳き込むような声が聞こえ、ようやくライターに火がついて、男は猿ぐつわをされて、手も不自由な状態で、なにやら、閉じ込められている状況が明らかになる。

なぜ携帯とライターが残されていたのか。男が携帯で、残した家族に電話しても不在、緊急連絡先に連絡してもたらい回し、国防総省の人質担当者とのやり取りで、携帯の逆探知などで、場所が突き止めるまでに時間がかかるなどイライラが募るばかり。

テログループとみられる犯人から、身代金の要求が来てタイムリミットが迫ったり、携帯の電池がだんだん少なくなったりと極限状態が刻々と迫る張り詰めた状況がスリリングといえばスリリング。

イラクでは、「誘拐はビジネス」と言われており、他でも誘拐事件が続発しているとみられ、国防総省などは「テロリストとの交渉はしない」が原則。身代金は払わないということになり、犯人側は、大使館に頼めと500万ドルの要求を100万ドルに下げてくる。

誘拐の事実を示すために指を詰めた写真を送信しろ…など難題を押し付けてくる。また、主人公の男・ポールの仲間の女性が銃で撃たれる場面も送られてくるのだ。

ポールが勤務していた会社「CRT」の人事部長は、仲間の女性(殺害された)と不適切な関係があったことを認めるように「録音」の状態で強要してくるのだ。そのことで、解雇されたことになり、囚われの身になっても、現在は会社とは一切関係ないとするためだった。

国防総省の担当者は、これまでにも人質となった人間を助けたと主張するのだが、ポールが具体的にその人物の名前を尋ねると「マーク・ホワイトという若者で、今は元気にしている」というのだが、この名前が最後に効いてくる。一体実在した人物なのか、あるいは虚構の名前だったのか、議論を呼ぶことになる。

すっきりとしないところもあり、後味がいいとは決して言えない映画だった。

 

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