「コニャックの男」
「雨の訪問者」(1970)での印象が強い女優・マルレーヌ・ジョベールが共演。
舞台は18世紀後半のフランス革命のころ。
男爵を殺害し、アメリカに逃げ渡ったニコラ(ジャン・ポール・ベルモンド)は、大富豪の会社の下っ端として仕事をしていたが、富豪の令嬢の目に留まり、逆玉を果たし、令嬢との結婚式場を執り行う最中だった。
牧師が、参列者に対して、決まり文句である、この結婚に異議のあるものは申し出てください、という言葉があって、式はスムーズに進行するはずだった。
ライバル男の「異議あり!」の言葉があって、式場は騒然となった。
「以前にフランスで結婚していただろう」と突っ込まれたのだった。フランスでは、当時は離婚は認められておらず、おりしも革命によってちょうど離婚が可能になった時期だった。式は中止。正式な離婚はしていなかったため、離婚証明書を手に入れるべく、フランスに船で戻るニコラ。小麦を持ち込むというのが建前だった。
実はニコラがアメリカへ渡ったのは妻シャルロット(マルレーヌ・ジョベール)に言い寄った男爵を殺したためだったが、探し出した妻は性懲りもなくイケメン侯爵(サミー・フレー)の婚約者におさまっていた・・・。
急に戻ってきたニコラを目撃したシャルロットは戸惑いを見せ、相変らず、口論を続けるのだった。シャルロットは、子供の頃にジプシーの老女の占いで「貴族の奥方になる」と言われていて、それを引きずっていたのだ。それが口論の原因でもあった。
一度は焼け掘杭(ぼっくい)に火がつきかけたものの、ニコラの帰国が実は離婚のためだったと知ったシャルロットは激怒し大公と逃げ出すのだった。
ラストは、占い通りに収まっていたというオチがある。
女王になったシャルロット。
しかも、その相手というのは・・・ニコラ!(ということは・・・?)。
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フランス革命当時は、簡単にギロチンにかけられて処刑されたり、離婚が認められると、その窓口に長蛇の列ができたり、というのがすごい。
スケールの大きさに目を奪われる。
フランス革命時代の背景を実現した兵士や、馬、エキストラなどのスケールが大きいのにも驚かされる。
ミシェル・ルグランの音楽も、テンポがよく、格調が高いのか、パロディなのか見事。
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1960年代から70年代にかけてのフランス映画の俳優の人気は、アラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドに二分されていた。日本では、二枚目俳優の代名詞だったアラン・ドロンが圧倒的な人気だったが、フランスは、むしろ6:4くらいでベルモンドの人気が勝っていたようだ。
ベルモンドは、ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」(1959)に主演して、ヌーベルバーグの代表作として大ヒットするとともに、ベルモンドを一躍映画スターの座に押し上げた。その後「リオの男」(1963)「カトマンズの男」(1965)など「~の男」などのアクション映画で活躍。「気狂いピエロ」(1965)などのほか、ドロンとの共演「ボルサリーノ」などがある。
どうもあの間が抜けたような顔が気に入らなかったが、考えようによっては、愛嬌のあるとぼけた味わいがあって、憎めないところでもある。1999年くらいまで映画に出ていたようだが、現座80歳(1933年4月9日生まれ)。ドロンより2歳上となるが、元気のようだ。
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