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<span itemprop="headline">★ハリウッド映画で、中国の存在感増す?</span>





中国がハリウッド映画界にじわじわと浸透、発言力を増しているうようだ。
今朝テレビを見ていたら、池上彰が、今年3月に公開された映画「キングコング 髑髏島の巨神」を話題にしていた。なぜかなと思ったら「キーワードは王健林」だった。
 
中国の大連万達集団(ワンダ・グループ)を率いる中国有数の資産家の王健林ワン・ジエンリン)が、実は「キングコング 髑髏島の巨神」の配給会社レジェンダリー・ピクチャーズのオーナーでもあるからだ。
 
ワンダ・グループ(以下ワンダ)は、2016年1月にレジェンダリーを買収。
その前には、2012年に全米第二位の大手映画館チェーンAMCを26億ドルで買収。ワンダにとって初の海外企業買収だった

その調印式のとき、王健林は「世界の映画産業は少数の米国映画会社に牛耳られている。この買収がその局面を変えることになる」「中国企業にとって、その一挙手一投足が業界に影響を与えるような大企業を買収できたことは奇跡」「中国企業はこれからグローバルな映画産業において“話語権”(発言力)を勝ち取っていく」と挑発的な演説を行った。
 
また、この直後からハリウッド6大スタジオのうちの一つを買収する意欲をみせ、その6大スタジオの一つ、パラマウント・ピクチャーズの親会社ヴァイアコムパラマウント株の売却先を探していると知るやいなや、その49%を推定資産価値よりも高い50億ドルで購入する提案を出した。
 
結局、ヴァイアコムの創業者の92歳になる大富豪、レッドストーンの強い抵抗で、パラマウント買収計画は頓挫。だが、かわりに、6大スタジオの一つ、ソニー・ピクチャーズの提携を発表した。
 
いまや北米に次ぐ世界第2位の映画市場となった中国。しかし、ほんの数年前まではかなり閉鎖的だった。外国映画の上映枠が決まっている上に、いまよりもかなり厳しい検閲制度もあった。
 
それでも中国に進出したいハリウッドは、中国におけるアメリカ映画の枠を増やしたいと要望していた。そして2012年の米中映画協議で、ようやくそれが実現した。

山東省青島市に80億ドルを投じて撮影所や映画セットなどを含む一大映画センターを建設し、お披露目の記者会見にはレオナルド・ディカプリオニコール・キッドマンジョン・トラボルタらを招待するなど、その派手なパフォーマンスで人々の度肝を抜いた。
 
中国の不動産コングロマリット、ワンダグループ(大連万達集団)の創業者で、資産
310億ドル(約3.5兆円)を誇るアジア一の富豪であるワン・ジエンリン(王健林)は、欧米のエンターテインメントに盛んに投資する一方、映画事業では中国のような新興国で長期的な成長機会を見出している。
 
“ハリウッド離れ”と言われた2015年の中国。
しかし国産映画は278本、輸入映画は80本しかないのに、興行収入の割合でいけば4割が輸入映画。この80本の輸入映画のうちハリウッド映画は44本までに制限されている。1億元以上の興行収入の映画は81本、うち中国国産映画は47本にとどまる。
 
中国当局がハリウッド映画を警戒しているのは、ハリウッド映画がエンタメを装いながら米国的な価値観を非常に効果的に観客に浸透させることだ。自由や民主、人権、そして米国は正義、米国はヒーローというイメージ。中国が受け入れられるものもあれば、受け入れがたいものもあるという
 
たとえば映画アバター」は、一見、完全な娯楽SFのように見えて、マイノリティへの迫害問題もテーマになっており、中国人にはどうしてもチベット迫害を想起させる内容なっている。

審査のときには当局はそのメッセージ性に気付かなかったが、上映されたとたん、映画を見た中国人ネットユーザーが民族問題について語るようになったため、いったん許可した上映を急きょ取り消す事態になった。
 
習近平政権は「西側の普遍的価値観」(自由、民主、人権など)の中国への浸透を非常に警戒しているが、ハリウッド映画など娯楽は、センサーシップをうまく潜り抜けてそうした価値観を中国人に浸こうした状況に対して、中国が取り得る対抗措置はもはや国内にハリウッド映画の流入を防ぐことよりも、ハリウッド映画よりも面白い中国映画を作ること、あるいはハリウッド映画の中身に中国サイドが関わることしかない。万達(ワンダ)のハリウッド投資は中国にとって好ましいハリウッド映画を作ることが狙い」ということになる。
 
2016年には中国映画市場の拡大にともない、ハリウッド映画の輸入枠上限が撤廃されることになったが、もはや本数の制限ではなく、中国にとって都合のよい映画をハリウッドに作らせることに力点が変わってきている、ようだ。
 

近年のハリウッド映画は明らかに、中国寄りになってきている
と感じさせる映画も現れている。例えば2015年に公開されたハリウッド映画「オデッセイ」
 
火星に取り残されたNASAの宇宙飛行士を救出するために万策尽きたとき、中国国家航天局が国家機密のブースターを提供するという、いかにも中国が頼りになる国家というように描かれている。え、そんなに協力的だったっけ、と疑いたくなった。
 

スターウォーズシリーズの最新作「ローグ・ワン/スターウォーズストーリー」然り。

この映画には、中国人気俳優で監督でもある姜文と香港アクションスターのドニー・イェンが正義感あふれる役で登場。これもあきらかに中国市場の受けを計算したと言われている。

今はアメリカよりも大きな映画マーケットとなった中国に対して、”忖度”が始まったと思わざるを得ない。
 

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