「ハリウッド・スキャンダル」(原題:Rules Don't Apply、2016)を見た。ウォーレン・ベイティの18年ぶりとなる監督作品で、製作・脚本・出演も兼ねている。出演は他に「あと1センチの恋」のリリー・コリンズ、「ヘイル、シーザー!」のオールデン・エアエンライク、「プロデューサーズ」のマシュー・ブロデリック、さらにアネット・ベニング、キャンディス・バーゲン、アレック・ボールドウィンなど。
1950年代のハリウッドを舞台に、大富豪ハワード・ヒューズに見いだされた女優の卵と、彼女の運転手を務める青年との許されざる恋を描いたラブストーリー。日本では劇場未公開。現在はNetflixで配信。
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1959年のハリウッド。20世紀を代表する億万長者ハワード・ヒューズ(ウォーレン・ベイティ)に雇われ、運転手となったフランク(オールデン・エアエンライク)はヴァージニアから出てきた新人女優マーラ(リリー・コリンズ)を迎えに空港へとやってくる。
RKOの映画製作者であり、新人女優の発掘に情熱を注いできたヒューズはこれまで多くの新人女優たちをハリウッドへ呼び寄せ、生活の面倒を見るなど全面的にサポートしてきた。マーラもまたその中の一人で、フランクはマーラの送迎を担当することになった。
フランクは敬虔なクリスチャンであり、清廉な美しさを持つマーラに少しずつ惹かれていく。しかし運転手には女優と恋に落ちてはいけないというヒューズの作った厳しい掟が存在する、先輩のレヴァー(マシュー・ブロデリック)には女優と恋に落ちないよう釘を刺されてしまう。
マーラはヒューズと対面する機会をなかなか与えらてもらえないことに不満に感じ始めるが、フランクすら一度もヒューズと顔を合わせたことがないというのだが…。
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ハワードが、フランクとともに、飛行機を目の前にして、ハンバーガーを食べるシーンが印象的だ。ハワードの言動の奇人変人ぶりが描かれ、周りが振り回されて、話が通じない。”替え玉”人間まで用意しようとする。バナナ・ナッツ・アイスを買い占めて飛行機で送れと言ってみたあと、翌日にはいらないという。映画「ジャズ・シンガー」の名セリフ「You ain't heard nothin' yet! 」(お楽しみはこれからだ!)と言いながら、自家用ジェットを操縦するのだ。
出演
リリー・コリンズ
ヘイリー・ベネット
ダブニー・コールマン
メーガン・ヒルティ
ポール・ソルヴィノ
大富豪の実業家・映画製作者・飛行家・発明家でもあるハワード・ヒューズを扱った映画としてはアカデミー賞5部門を受賞した「アビエイター」(2004)が有名だが、「ハリウッド・スキャンダル」でも、その生涯の一端を知ることが出来る。航空機会社「TWA」を買収し、後に売却してラスベガスにカジノを建設した。晩年は、強迫性障害で、外出をすることがほとんどなく、1976年2月10日、自家用機内で息を引き取った。70歳だった。
映画の中で、時代を彩った女優の名前(ラナ・ターナー、ジーン・ピータース、マリリン・モンローなど)が登場するほか、当時の監督作品「ジェット・パイロット(JET PILOT)」などの映画の看板も登場する。