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<span itemprop="headline">映画「ボクは坊さん。」(2015)</span>



ボクは坊さん。」(2015)は、実話に基づいた若きお坊さんの成長物語。
原作は、糸井重里が主宰するWEBサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で約7年間にわたって連載された、現役の住職によるエッセイで、伊藤淳史主演で映画化。愛媛県今治市を舞台に、お寺の息子として生まれ、24歳で突然、住職となった青年が、慣れぬ毎日に苦悩しながら、幼なじみや大学時代の友人たちとの交流を通して成長していく姿を描く。

普段はお坊さんやお寺の日常などを知ることはないが、お寺の世界に入った主人公がその世界の奥の深さを知るとともに、自身がお坊さんとして、成長していく姿が描かれていく。

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かつて弘法大師空海が開いたとされ、今では“お遍路さん”の巡礼が有名な四国八十八ヶ所霊場。その第57番礼所、愛媛県今冶市の栄福寺に生まれ育った白方進(伊藤淳史)はお坊さんとしての資格“阿闍梨あじゃり)”の位を得て、実家の寺に帰って来た。位は得たが、今は地元の本屋で書店員として働いている。

幼馴染の京子(山本美月)と真治(溝端淳平)は、進がお坊さんになることを期待してか、進のことをずっと“和尚”と呼び続けている。しかし、肝心の進は、未だにその決心がつかずにいた。

母の真智子(松田美由紀)と父の一郎(有薗芳記)、そして祖母の宣子(松金よね子)は、進の気持ちを尊重してくれている。

そんなある日のこと、栄福寺の住職である進の祖父、瑞円(品川徹)が病に臥せ、寺に住職がいなくなってしまった。幼い頃、進は祖父に尋ねたことがある。

「人間って、死んだらなーんもなくなっちゃうの?」それを聞いたじいちゃんは「そういうことが気になるんか。そしたら坊さんになれ」と言ってくれた。じいちゃんのその言葉を思い出した進は、ついに坊さんになる決心をするのだった。

光円という僧名はじいちゃんが考えてくれた。進の決意を見届けるかのように、瑞円はその翌日に遷化(せんげ:高僧が亡くなること)した。「起きるを生と名付け、帰るを死と称す」それがじいちゃんの最後の言葉だった。

進は、光円として、24歳にして、栄福寺の新しい住職となったのだが・・・。

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いつも身近にあると思っていたお寺の世界は、光円が思っていたよりもずっと奥深い世界だった。見たこともない坊さん専用のグッズに、みんな丸坊主なのに個性的な僧侶たち。知らないことだらけで恥もかいた。前途多難な住職生活が始まる。

お寺の世界に入って、光円にはわからないことだらけだった。
数珠が40万円だという。「高い!」と思ったが、業者からは「MVPは何回でも獲れますが、”新人王”は一度だけ。最初が肝心ですよ」などといわれる。



坊さんによる野球チームもあった。チーム名は「南無STARS」だった。
試合相手は、農家チーム「FARM  OF DREAMS」だ。どこかで聞いたことがある(「フィールド・オブ・ドリーム」)名前だ。

寺の檀家の人たちと集まって総代会という会合が行われた。
会を取り仕切っている長老の新居田 明(イッセー尾形)が、「”タッシン”をどうしようか。”タッシン”を先にお渡しするというのも・・・」などと話し合っていた。この総代会では、“噠噺(たっしん)”の意味がわからず、「タッシンってなんですか?」と聞くなど恥をかいてしまった。

噠噺は、葬儀に参列してくれたお坊さんに渡すお布施のこと。大学でも教わらなかったし、現場で学ぶべきことなのだが、光円にはこれまでその機会がなかったのだ。

そんなある日、光円は京子に誘われ、真治が働くバーに飲みにいくことに。
すると、2人に話があるという京子が、なんと突然の結婚宣言。相手は職場の同僚のトラック運転手だという。京子に頼まれ、結婚式を執り行う光円。そう、お寺は結婚式も執り行うのだ。

つまづきながらも少しずつ住職としての経験を積み、成長していく光円。
お寺のことを第一に考え、さまざまアイデアを出して実行していく。しかし、栄福寺の檀家(だんか:お寺と関わりの深い家)の長老・新居田(イッセー尾形)は、「近くして、見難きは、我が心」という弘法大師空海の言葉を光円に伝える。

それは「場所よりも、まずは自分の心を整えろ」というメッセージ。
自分なりに一生懸命やっているつもりだった光円は、思わぬ叱咤に落ち込んでしまう。そんな光円を励ましてくれていたのは、お腹が大きくなった京子だった。



そんな光円のもとに、悪い知らせが届く。京子がお産の最中に脳内出血をおこしたらしい。赤ちゃんは無事に生まれたものの、母親は重態で意識不明のまま。医者はこのままずっと目覚めないかもしれないという。

その話を聞いた京子の夫は、京子と離婚してしまった。光円は、何か自分にできることはないのかと悩んでいた。そんな光円の姿を見て、新居田は初めて光円に心を開いた。

新居田と話をしたことをきっかけに、光円は引き取り手のない京子の赤ちゃんを預かることを決意した。

一方、真治は「俺たちにとって京子は本当に生きていると言えるのか?」と葛藤する気持ちを光円にぶつける。光円は、密教の教えを説き、「京子との関係は、今までと何も変わっていないと思える」と答えるが、真治に本心を問われ何も答えることができなかった・・・。

改めて自分の無力さに打ちのめされた光円は、ついに心が折れて倒れ込んでしまう。そんな光円の元へ飛び込んできた知らせは長老の訃報だった――。

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一般に、坊さんに対しては様々なイメージがある。マイナス・イメージでは、「坊主と○○は三日やったらやめられない」「坊主丸儲け」などだが、映画の中では、主人公・光円に、友人たちが「坊さんの仕事は、葬式だけじゃないの?」と聞くと、「そのほかにも、お守り、数珠の企画とか、行事、縁日のお札などいろいろある」と説明する光円。「お寺は、人々の人生の節目を見守る場所だ」と語る光円だった。

檀家の長老は光円に対して不安を持っていたが、その見方が徐々に変わっていく。「なんでも体でぶつかっていく姿は、この寺にふさわしいお方かもしれない」と。

光円も、坊さんになるということは、繰り返される毎日を一歩一歩歩いていくだけだ。感謝するようにしていきたいと、悟っていく。

映画としては地味だが、知られざる世界を淡々と描いた佳作といえる。
伊藤淳史が「ビリギャル」の熱血教師の後に撮ったのが「ボクは坊さん。」だったが、坊主頭が、段々似合ってきて、それらしくなっていた。濱田岳は、引きこもり役を演じてうまい。


出演:
・白方 進(光円) - 伊藤淳史
・越智 京子 - 山本美月
・桧垣 真治 - 溝端淳平
・栗本 広太 - 濱田岳
・白方 真智子(進の母) - 松田美由紀
・新居田 明(長老) - イッセー尾形
・峰岸 孝典 - 渡辺大
・白方 宣子(進の祖母)- 松金よね子
・白方 瑞円(進の祖父) - 品川徹
・白方 一郎(進の父)- 有薗芳記
正岡 龍仁 - 駒木根隆介
品部 武志 - 遠藤雄弥

スタッフ:
原作 - 白川密成『ボクは坊さん。』
監督 - 真壁幸紀
脚本 - 平田研也
主題歌 - 吉田山田「Today, Tonight」
企画・制作プロダクション - ROBOT
公開:2015年10月24日
時間:99分


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