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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">本:「今夜は眠れない」(宮部みゆき)を読む。</span>



ソロモンの偽証」の原作者・宮部みゆきの「今夜は眠れない」を読んだ。
ストーリーは、中学3年生の僕が、自分が生まれる前の母親について、親友の同級生と調査する話。なぜ母について調査したかといえば、自分が全く知らない男が55歳で亡くなり、身寄りのないその男が、母宛に遺産5億円を残したという通知が法律事務所から届いたからだった。

母に問いただしたところ、20年前に、19歳の時に、同じアパートに住んでいた人で、アパートの前で倒れていたことがあり、2週間ほど、看病したことがあるだけで、その後まもなく自分も引越しをしてしまい会ってもいないというのだが・・・。

この突然の”事件”で浮気性の夫は、家を出てしまい愛人と暮らし始める。死んだ男は母親の愛人だったのか・・・。母は何かを隠しているのでは・・・。事態は予想しない展開に!

・・・
ミステリーなので、内容は省くが、この本を読んでいて、面白かったのは、実際の洋画のタイトルが、ポンポン出てくること。

作者の宮部みゆきは1960年12月生まれの54歳。宮部のWikiを読んでいたら、幼少の頃、ハリウッドの黄金期の映画、例えば「恐怖の報酬」(1953)、「」(1963)、「サイコ」(1960)などの話を、ビデオがない時代なので、映画好きの母からずっと語りかけで聞いていたのだという。

それで納得。
「今夜は眠れない」の中でも、主人公の僕(14歳)はテレビで「ランボー」(1982)の銃撃戦を見たり、友達と「ビバリーヒルズ・コップ」(1984)を話題にしている。主人公は、宮部みゆきの年齢と符合する。

そのほか、映画「ひまわり」(1970)についての文章が面白かった。
主人公の母が素麺をゆでて、残っていたタマゴ6個を使ってオムレツを焼いている時の会話だ。


「『ひまわり』っていう、昔の映画があるんだけど、その中でね、新婚の夫婦が、十個・・・もっとだったかなあ(fpd注:24個)・・・とにかくたくさんのタマゴを割って、すっごい大きなオムレツをつくるシーンがあったのよ。悲しいストーリーの映画なんだけど、そこだけは面白かった。思い出しちゃった」「ビデオでてるかな」「出てるんじゃない?いい映画だったから、あんたも観てみるといいわ」「うん」と、うなずきながら、僕はそっと、ひとつの質問を飲み込んだ。母さん、その映画・・・「誰と観たの?」。


・・・
といった具合。この小説の時代背景が映画の公開時期などを通して伝わってくる。

主人公の母親が、19歳の頃(1970年頃、「ひまわり」も1970年公開)同じアパートの住人(後に5億円もの遺贈を母宛に残す)との関わりに、個人的な関係があったのか。

また、1971年3月の起こった、大久保清連続殺人事件の描写もある。この事件は、若い女性に「絵のモデルになってくれませんか」などと誘い、そのうち関係を拒絶したり、嘘を見ぬいた女性8人を次々と殺害するという、当時戦後最大の殺人事件と言われた。1976年に死刑執行された。この被害者の女性の中に、母と同じ同姓同名の女性がいたことも、主人公・僕の調査でわかってくるのだが・・・。

この小説の時代は1984年、主人公の僕が中学3年生、14歳の時。
まだ携帯電話はなく、連絡手段は、固定電話のみ。携帯電話があれば、即連絡できて、状況が把握できるが、当時は、事件が起きたのが真夜中だったりすると、事務所は閉まって連絡できずという事態に。「自動車電話付き自動車」ということばもあった。母が、その後「埼玉県大宮市」に引っ越したというので、調べに行く主人公の僕。

ちなみに「大宮市」というのは今は存在しない。
2001年(平成13年)5月1日に、浦和市・大宮市・与野市の3市の新設合併により「さいたま市」となった。その後、2005年(平成17年)4月1日には岩槻市編入。2014年現在、約125万人の人口を有するさいたま市は、日本で9番目に人口が多い市となっている。


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