デヴィッド・フィンチャー監督作品の「ファイト・クラブ」(1999)を見た。
タイトルだけは耳にし、目にしていたが、見るのは初めて。重くてイタイ(笑)。
ブラッド・ピットが出演しているという程度で予備知識なしで見たので、混乱・混沌(カオス)の中に叩き込まれたような印象。
一筋縄ではいかないテーマが潜んでいるようだ。
2時間17分の映画だが、画面が地震のように揺れたり、一瞬だが別のシーンが挿入されるサブリミナル効果(潜在意識への働きかけ)映像があったり、疲労感が残る。この映画の前には「セブン」を撮った監督だということを思い知る。
好みが分かれる映画だ。個人的にはあまり好きになれない種類の映画だ。
表面的には、喧嘩、殴り合いのシーンが多く、痛々しい場面の連続だが、もちろん暴力推進映画でも暴力映画でもなく、むしろ逆。
主人公を演じるエドワード・ノートンには、名前がない。
理由は後でわかる。映画は主人公「ボク」という一人称映画で、そのナレーションで物語が進行していく。
映画を見たあとで、いろいろな感想を見ると、主人公に名前が無いのは、誰にでもありうること、普遍性を与えるものだという。
主人公の「ボク」は、昼間の会社員生活では、冴えない部類で、他人からは関心も払われていない存在で、孤独。そんな時に「ボク」が、こんな人物になりたいというような理想とするようなタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)なる人物が現れる。
ダーデンが取り仕切る、お互い殴り合う喧嘩のグループ、”ファイト・クラブ”なる会に参加する「ボク」。また様々な、”互助グループ”にも参加する。そこでは、「ボク」の作り話にも共感してくれる、同じように孤独感に苦しむ人間たちがいた。そんな中に、マーラという女(ヘレナ・ボナム=カーター)もいた。
”ファイト・クラブ”の内容の口外はルールで厳禁だった。
自分たちの名前を名乗ることもなかった。その組織は、全国規模で広がる。
グループ内で、内(自分側)に向けられていた自己破滅的な暴力、エネルギーが、やがて外に向けられ、ビルの破壊活動に向けられていく・・・。ラスト・シーンは衝撃的。
「ファイト・クラブ」は、先入観でボクシングの映画かと思ったら、とんでもない映画だった。素手での殴り合いの場面が多く、傷だらけの顔面になり、痛々しさが伝わり、血なまぐさいシーンも多い。そうしたシーンが苦手な人は敬遠するかもしれない。ただ、映画に込められたテーマは重いものがあり、一見の価値があった。
主演のエドワード・ノートンの映画は、これまでほとんど見ていなかったが、最近見た「グランド・ブダペスト・ホテル」では、警部補を演じていた。演技派俳優の一人のようだ。ヘレナ・ボナム=カーターは、「アリス・イン・ワンダーランド」の”赤の女王”役で強烈だったが、「英国王のスピーチ」では、ジョージ6世の王妃エリザベス・ボーズ=ライアを演じて味わいがあった。ヘレナのルックスは、のちの「ドラゴン・タトゥーの女」の原型ともいえる濃い化粧、ヘアスタイルと雰囲気。
ネタバレになるが、映画を見始めて、うすうす感じていたが、やはりだった。
ネタバレ:(反転) 主人公の「ボク」とブラッド・ピット演じる人物は同一人物である。
フィンチャー監督は、作品数が少ない寡作監督だが、最近の「ゴーン・ガール」は、この数年の映画では、お気に入り映画の1本になった。
フィンチャー監督作品(10本中9本鑑賞)
「エイリアン3」 Alien3 (1992年)
「セブン」 Seven (1995年) ☆☆☆☆
「ゲーム」 The Game (1997年) ★★
「ファイト・クラブ」 Fight Club (1999年) ☆☆☆
「パニック・ルーム」 Panic Room (2002年)☆☆☆
「ゾディアック」 Zodiac (2007年) ★★
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 The Curious Case of Benjamin Button (2008年)★★
「ソーシャル・ネットワーク」 The Social Network (2010年)☆☆☆
「ドラゴン・タトゥーの女」 The Girl with the Dragon Tattoo (2011年)☆☆☆
「ゴーン・ガール」 Gone Girl (2014年)☆☆☆☆
☆☆☆
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