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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ネレトバの戦い」(1969)

 
ネレトバの戦い」(1969)は、公開当時、見る機会はありながらユーゴスラビア映画ということから堅苦しい戦争映画と思い見逃していたが、きょうデジタル・リマスター版で見た。大量の戦車や兵隊数のスケール、俯瞰した規模の大きさでは「史上最大の作戦」を彷彿とさせるような大作だった。
 
 
「ネレトバの戦い」は、1970年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされていたが、同賞はfpdの超お気に入りの「Z」(フランス・アルジェリア合作映画)に輝いた。
この「Z」は、作品賞、監督賞(コスタ・ガヴラス)にもノミネートされていたが、どちらも「真夜中のカーボーイ」が獲得したのだった。ちなみに1970年の作品賞ノミネートは、「真夜中のカーボーイ」「Z」(作品賞&外国語映画のWノミネート)「明日に向かって撃て!」「ハロー・ドーリー!」「1000日のアン」だった。レベルが高い(笑)。
 
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「ネレトバの戦い」のネレトバは、ドイツなどによるパルチザン(占領軍への抵抗活動)攻撃の戦いの鍵を握るネレトバ河の橋をめぐる攻防だったために、このように呼ばれている。
              爆破されたネレトバ河の橋
 
第二次大戦さなかのユーゴスラビアでは、パルチザンの激烈な抵抗が続いていた。
これに業をにやしたヒトラーは、ユーゴ・パルチザン壊滅の“ワイス作戦”を命じ、ローリング将軍(クルト・ユルゲンス)とイタリアのモレリ将軍(アンソニー・ドーソン)が指揮をとることになった。
 
ローリング将軍は「今回の戦争は、通常の戦争とは違う。何といったかな、そうそう
”路上のケンカ”だ。ルールはない。(ヒトラー)総統の命令だ。捕虜は作るな。容赦なく殺せ!」と指揮官に命じた。
 
そして、これにチェトニック評議員売国奴議員(オーソン・ウエルズ)が組織した部隊も加わり、大攻撃がなされ、やがて、クランツェ大佐(ハーディー・クリューガー)の巧みな戦術によってパルチザンの主力は後退をよぎなくされた。
 

のべ三万のパルチザンと避難民を指揮するイバン(ロイエツ・ローズマン)は、ダニカ(シルヴァ・コシナ:右写真)との恋を内にかくしながら、戦っていた。
 
彼等は砲兵軍のリーダーのマルチン(セルゲイ・ボンダルチュク)や、工兵団のリーダーのウラド(ユル・ブリンナー)、イタリア軍から加わったリバ(フランコ・ネロ)の活躍によって、どうにか壊滅をまぬがれていた。
 
しかし、厳しいユーゴの冬にとざされた避難民の中から、チフスが発生。
看護婦ナダ(ミレナ・ドラビッチ)の献身的な努力で最悪の事態はまぬがれたが、彼女は病魔の犠牲になってしまった。兵士たちは、「ナダは死んだのではなく、深い眠りについただけだ」と死を受け入れることができずタンカーで運ぶのだった。
 
そして、全力の抵抗にかかわらずネレトバ河流域に追いつめられたパルチザン軍は、唯一残された退路である、鉄橋を爆破してしまった。
 
これをパルチザンの自殺的攻撃の予兆だと感ぐったドイツ軍は、背後の部隊を再編成させた。その虚をついて、パルチザン軍は仮橋を設ける作戦に出た。そして三万の人々は無事、解放軍に迎え入れられたのだった。
 
映画がユーゴスラビアの製作だということにまず驚く。
戦争映画としては、「史上最大の作戦」「バルジ大作戦」などに勝るとも劣らないスケール。大量の戦車は、ドイツのティガー戦車に模して見かけだけ改造した戦車だったとの記述もある。
 
出演俳優では「眼下の敵」などのドイツの名優クルト・ユルゲンスが圧倒的な存在感を示したほか、ユル・ブリンナー(「荒野の七人」「王様と私」)、フランコ・ネロ(マカロニ・ウエスタン)、ハーディ・クリューガー(「シベールの日曜日」「赤いテント」)、オーソン・ウエルズ(「第三の男」)、シルヴァ・コシナ(「鉄道員」)などそうそうたる俳優が参加しているのが見所。
 
主な出演:
セルゲイ・ボンダルチュク:マルチン(砲兵指揮官)
ユル・ブリンナー:ヴラド(工兵指揮官)
アンソニー・ドーソン:モレッリ将軍(イタリア軍
ミレナ・ドラヴィッチ:ナダ(看護婦)
クルト・ユルゲンス:ローリング将軍(ドイツ軍)
シルヴァ・コシナ:ダニカ(パルチザン兵士)
ハーディ・クリューガー:クランツァー大佐(ドイツ軍)
フランコ・ネロ:リヴァ大尉(イタリア軍からパルチザンに参加)
ロイツエ・ロスマン:イヴァン(パルチザン兵士)
 
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「ネレトバの戦い」のDVDについてわかった2,3の事柄:
40年以上前の1973年4月のTBS「月曜ロードショー」で前後編テレビ初放送されたが、日本では長らくDVD化されていなかった。2010年、イギリスのArrow Films社から、”The Battle of Neretva”として、英語字幕版のDVDがに発売され、日本からはAmazon.co.ukなどを通して入手が可能である。ただし、テレビの方式がPAL方式のため、NTSC変換機能のあるプレイヤーを使わない限り、同DVDは、日本ではPC上でしか再生できない。
 
1年半ほど前の2013年7月26日、株式会社アネックより日本語字幕の付いたDVDが、デジタルリマスター版(144分)とインターナショナル版(105分)の2枚組セットで発売されたたが、今回見たのは、144分版で、言語は全編「ドイツ語」(オリジナルはわからないが、ドイツ語吹き替え版)(日本語字幕付き)だった。
 
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