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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「しあわせのパン」(2012)</span>


 
しあわせのパン」(2012)を見たが、設定は、今年公開された「ふしぎな岬の物語」とほぼ同じ。「しあわせのパン」は大泉洋原田知世主演であるので、ハズレはないだろうと、何気なく見たのだが、最初の数分を見て、「失敗した」と思った。
 
2時間、物語の起伏もなく、季節ごとに、店の客が変わり、淡々と進むが、中途半端。最後になって、ようやく見て損したという気持ちが薄れた
 
この映画が、小さい女の子供の舌足らずのナレーションがはじめから最後まで入る。これが子供アニメのような印象を与え、童話でも見させられるのか、とがっかりさせられる。この子供は、登場人物の誰かだろうと思うが、ラスト・シーンになって、わかるという仕組み。そこだけは意外性があり良かった。
 
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主人公のりえ(原田知世)は、小さい時から「月とマーニー」という絵本が好きだった。水縞(みずしま)尚(大泉洋)の誘いで、りえは、北海道で「月とマーニー」にちなんで「カフェ マーニー」を開店したところから始まる。
 
小さな2階建ロッジのパン屋が湖畔にあり、夫の尚がパンを焼き、妻のりえがコーヒーを入れるスタイルで、近所では人気の店となる。
 

 
地元の、子沢山で農家経営の広川一家、謎のトランク(実はアコーデオンが入っている)を持った阿部さん(あがた森魚)、地獄耳のガラス作家・陽子さん(余貴美子)、そして毎日配達にきてくれる郵便屋さん(本多力)などの常連客に憩いの場を提供する。
 
薪の窯(かま)で焼いたパンの他、自家菜園の野菜を使った料理も絶品。
1階のテーブル席では、大きな窓に湖畔の景色が映え、日が没すると月夜が輝く。
 
2階は簡易宿泊所になっており、ときどき、正面のバス停を利用して遠方から旅行客も訪れる。
 
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夏: 彼氏にふられ、沖縄旅行をドタキャンされた香織(森カンナ)が一人でやってくる。意気消沈していた彼女の心は、水縞夫婦や地元の青年・山下君(平岡祐太)のもてなしで徐々に癒されてゆく。香織は、ワインなど大酒飲みで、酔うと酒癖も良くない様子。東京で生まれ育った香織は、北海道は馴染めないと帰ることにする。ところが、北海道以外は出たことがない山下君は、香織を東京までバイクで送って行くというのだった。この二人、東京でその後どうなったのか、説明はない。
 
秋:バス停に一人でたたずむ小学生の少女・未久(八木優希)。
登校拒否を察したりえは、未久を店内に招き入れ、ホットミルクをふるまう。やがて、父親(光石研)も訪れ、事情がわかってくる・・・。両親が事情で離婚したようで、母が作ったかぼちゃのスープが飲みたいとごねる未久だったが・・・。
 
冬:雪で閉ざされたある日、有珠駅に降り立った一組の老夫婦(中村嘉葎雄渡辺美佐子)からの関西弁の電話。尚がワゴン車で迎えにゆく。50年程前の新婚旅行を思い出し、月を見たいと言っているが。
 

 
妻は、余命いくばくもない病気の身で、夫は、妻とともに思い出の地を訪れ、そこで一緒に死んでもいいと思って旅行に来たのだった。妻は、パン嫌いだったが、店のパンと一口食べると、明日もまたこのパンを食べたいという。夫もパンと食べ、生きる希望を見出す。
 
春:雪が解け、郵便屋さんが、老夫婦からの礼状を配達してくれる。
お世話になったお礼と、妻が春に亡くなったことなどが記されていた。
 
りえは、店を訪問した人たちに、パンを送るための発送の準備をした。
「しあわせのぱん」というカードを添えて、宛名も全て書き終え、郵便屋さんに、「お願いね」と発送の荷物を預ける。「えぇ」と一瞬驚く郵便屋さん。バイクの後ろには、数十個にもおよぶ郵便のボックスの山が・・・。
 
主人公の水縞夫妻だが、夫は「りえさん」と呼び、妻のりえは夫を「水縞くん」と呼び合う。ちょっと不自然な関係がする。そして、パン屋を営んで20年経って、りえは、子供の頃から「月とマーニー」(マーニーというのは少年の名前)が好きで、マーニーが、言ってみれば初恋の対象。
 
マーニーをずっと探し続けていたのだが、りえは「水縞くん、私のマーニーを見つけたよ」と言って微笑む。尚も、(欲しいものは一つだけだが秘密と言っていたが)欲しい物を手に入れた、と語るのだった。
 
尚がパン屋を始めたのは「カンパー二」という言葉が好きだからだという。
これはフランス語のカンパニオン(仲間)からきている言葉だという。”乾杯”という数が多いだけ幸せになると言った言葉があった。”しあわせのパン”の映画・脚本の言いたかったことだろう。
 
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 この映画は、監督・脚本が三島有紀子で、長編では初監督作品であるという。
脚本がイマイチなのか、全体がスローで、盛り上がらない。さすがにベテラン俳優の中村嘉葎雄渡辺美佐子の老夫婦のエピソードでは、ドラマにも奥行が出てくるのだが・・・。出演はほかに中村靖日余貴美子など。
 
この映画は北海道の一部で限定公開してスタート。やがて、全国でも多くはないが小規模ロードショーされた。内容的に地味だったこともあるだろうが、ヒットはしなかったようだ(興行収入3億8,000万円)。
 
同じ監督で、大泉洋主演の「ぶどうのなみだ」が10月に公開された。
北海道企画の「しあわせのパン」に続く第二弾という。北海道出身の大泉洋が、自ら「北海道」のPRに一役買おうというものか。
 
 
 三島有紀子監督作品:
「刺青 匂ひ月のごとく」(2009年)
「しあわせのパン」(2012年1月公開)監督・脚本 ★★
「ぶどうのなみだ」(2014年10月公開)監督・脚本
繕い裁つ人(2015年1月公開予定
 
★★ (脚本が平凡で)
 
 
 
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