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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「レオン 完全版」(1994、日本公開1995)

 
レオン 完全版」というのを見た。完全版は、リュック・ベッソン監督が未収録の20分ほどのシーンを追加したディレクターズ・カット版のことのようだ。
 
同じような作品の「ニキータ」は見ていたが「レオン」は、あまりにも有名で100回くらい記事などで目にしていたが、”ヒゲ面のおっさんと少女の殺し屋”の話でしょ、と
タカをくくって見逃していた。え、初見だったのか、と言われそうだ。
 
公開から約20年経って、ようやく見た。面白い! 
興奮の坩堝(るつぼ)に叩き落とされる展開。
 
この映画のナタリー・ポートマン(12歳!)がすごい。2,000人からの抜擢だという。最初は、ちいさなガキといった感じだったが、主人公のレオンが買ってきた衣装を身にまとうと、急に大人っぽく変身。外では、18歳で通そうとするが・・・。
 
近年の「クローサー」「ブラック・スワン」などのポートマンのくっきりした目が変わっていない。初めてナタリー・ポートマンを見たのは、ニコール・キッドマン主演の
コールド・マウンテン」(2003)だった。この映画では、出演はほんの少しだったが、キッドマン、レネ・ゼルウィガーに劣らず存在感があって、印象が強い。
 
クローサー」はマイク・ニコルズ監督(「卒業」)の「愛の狩人」の自身のリメイク作で、男女ふた組(ジュリア・ロバーツ、ナタリーポートマン、ジュード・ロウ、クライブ・オーウェン)だったが、ストリップガールを演じたポートマンが、完全に圧倒していた。
 
・・・
前置きはともかく、ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオンジャン・レノ)は、プロ殺し屋として、表の顔はイタリアレストランの経営者で、イタリア系マフィアのボスであるトニーを介した依頼を完璧に遂行する日々を送っていた。
 
ある日、「仕事」帰りのレオンはアパートの隣室に住む12歳の少女チルダナタリー・ポートマン)と、彼女の顔に父親からの暴力の痕があることをきっかけに知り合う。
 
チルダは実の父親であるジョセフだけではなく、義姉のジョアンからも虐待を受けており、義母のマージからはまるで関心を向けられず、幼い弟マイケル(4歳)にしか心を開けない、閉塞感に満ちたまま日常を送っていた。
 
父親に殴られて鼻血を出しているマチルダにレオンがハンカチを差し出す。
「大人になっても人生はつらいの?」と尋ねるマチルダに「つらいさ」と答える。
 
その翌日、ジョセフが麻薬密売組織の「商品」を横領したことを見抜いたスタンスフィールドゲイリー・オールドマン)とその一味がアパートに乱入し、スタンスフィールドはマージやジョアンを容赦なく射殺。
 
スタンスフィールドは薬の在り処を問い詰めるが、ジョセフが一瞬の隙を見て銃を取ったことから銃撃戦となり、手下の一人が撃ったマシンガンの銃弾がアパート内を乱れ飛ぶことになる。
 
現場は蜂の巣になり、撃たれたことに激昂したスタンスフィールドがジョセフにシリンダーの弾を全部撃ち込んでいる頃には、すでに4歳のマイケルは流れ弾を浴びて死亡していた(HPより)。
 
    「レオン」より。
 
銃の扱いをマチルダ(右)に教えるレオン。
 
映画は壮絶な銃撃戦も迫力があるが、レオンとマチルダの”ゲーム”というのが面白い。 マチルダが、有名人のモノマネをするが、レオンは全くわからない。
 
チルダが、ほくろをつけて、マドンナに扮して「ライク・ア・ヴァージン」を歌う素振りをしても、マリリン・モンローの「七年目の浮気」の格好をしても、ちょび髭を生やした「チャップリン」も「?」だった。「雨に唄えば」のジーン・ケリーは直ぐにわかった(レオンは、映画館で「雨に唄えば」を見たばかりだったのだ)。
 
一方、レオンは、西部劇のカウボーイの格好をするが、マチルダにはわからなかったが、クリント・イーストウッドと答えると、「ジョン・ウェイン」だった。
 
チルダは、殺された弟の仇をうつために、「ボニーとクライドや、テルマとルイーズのようにコンビを組もう」というが、レオンは殺しの腕は一流ながら学がない。
 
「根が地面についてないということが自分と同じだ」という理由で、鉢植えの観葉植物だけが友達のレオン。奇妙な同居生活を始めた二人は、やがて互いに心の安らぎを見出すようになり、複雑な感情と信頼を抱いていくのだが・・・。
 
”掃除”(仇討)の実践の前に「ターゲットを見つけて試し撃ち」。
 
この映画、観客は、殺し屋であるレオンやマチルダを応援する。
麻薬取締局の捜査官であるスタンスフィールドなど警察が悪役、という印象だ。
密売組織の背後には、スタンスフィールドを始め、麻薬取締局が絡んでいたのだ。 
 
・・・
セリフにも出てくるが、「若いけど大人」のマチルダと「年を食っているが大人になっていない」レオンとの関係は、ほのかな恋愛感情もあったが、レオンには、19歳の頃の苦い過去があって、一歩引いていた。
 
映画は冒頭から、観客は車に乗せられたように、カメラがマンハッタンを映し出す前方を進んでいく。やがて、リトル・イタリー(イタリア人街)へカメラが入ると、メガネの男のアップ、やタバコのアップ。映画に引き込まれるオープニングだった。
 
そして、ラスト・シーンは、壮絶だった。
チルダが、弟の仇であるスタンフィールドに残した”贈り物”を、死に際のレオンがスタンフィールドの手にしっかりと握らせた。
 
スタンフィールドは、その贈り物が何かを一瞬で理解するが、「やられた!」と叫ぶのが精一杯だった。轟音とともに大爆発が起こる。
 
チルダは、無断で休んでいた学校に戻る・・・。
 
・・・
 
 
ゲイリー・オールドマンも薬を飲むとハイ・テンションになり、殺人鬼になるが、警察の仲間が大勢殺され、大声で叫ぶシーンも圧巻だった。
 
全員集めろ!」
みんなですか」と部下の警官がいうと、
総動員だ!」とこれ以上ないというほどの形相で叫ぶシーンは度肝を抜く。
 
久し振りに、エンターテイメント映画を見たという気分になった。
 
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