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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">1960年代(21)「アポロンの地獄」</span>



 
 説明不要のピエル・パオロ・パゾリーニの大・大・大傑作映画です。その映像でしょう。
 アポロンの地獄」(1967年、イタリア映画)
 監督は、ピエル・パオロ・パゾリーニ 
 出演は、フランコ・チッティ、シルヴァーナ・マンガーノ、ジュリアン・ベック

 古代ソフォクレスの悲劇「オイディプス王」を原典とした、パゾリーニの初カラー作品。
 子供の無かったコリントス王は、砂漠に捨てられていた赤子を自分の子とし、オイディプス
 名付けます。成長したオイディプスは、悪夢に悩まされアポロンの神託に伺いを立てるが、
 そこで、なんと自分の運命が、父を殺し母と交わると告げられ、苦悩の中で放浪の旅に出ます。

 そして街道で出会った無礼な旅人を(父と知らずに)殺してしまう。その後立ち寄ったテーベで
 怪物スフィンクスを倒し、王妃と結婚してテーベ王となります。テーベに平安が戻ったかに見えた
 が、今度は疫病が町を襲い、原因を探るためアポロンの神託を伺うと「穢(けが)れた者がいる」…。
 盲目の予言者ティレシアスは、オイディプスがテーベ王を殺した穢れた者だと告げるのだった。
 (HPより)

 古代と現代のシーンが平行して描かれていました。現代のシーンでは、第二次大戦前のイタリアの町で
 生まれた赤ん坊が父親に疎まれるシーンがあったかと思うと、一転してオイディプスが古代の砂漠に
 捨てられるシーンが現れて・・・。そして自らの恐ろしい罪を知ったオイディプスが目を潰して
 宮殿を去った後、よろよろと歩いていくのは現代のイタリアの街角といった具合。

 パゾリーニ自身の家族関係を投影しているという見方もされたようです。オイディプス王の物語を
 現代にひきよせた力強さがありました。 エディプス・コンプレックス(父親コンプレックス)という
 言い方もあったようです。

 古代の物語では、自分の妻が実の母ではないかという疑惑に苛まれるところがフランコ・チッティ
 の熱演で凄みがあります。 イタリアの大女優、シルバーナ・マンガーノはさすが貫禄。(「にがい
 米」のグラマラスな肢体は、まぶしかった!笑)

 この映画、1969年度のキネマ旬報の1位になっていますね。
 この前後、パゾリーニは「豚小屋」「テオレマ」などを撮って、奇才監督といわれていましたね。