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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ドライビングMissデイジー」(1989)アカデミー賞作品賞受賞


Driving Miss Daisy (1989) Trailer
 
 
ドライビング Miss デイジー」(1989)は、原作は1987度のピューリッツァー賞演劇部門を受賞したアルフレッド・ウーリー戯曲。映画化にあたり、ウーリーは本作品の脚本も担当した。
 
198912月15に北米で限定公開され大ヒットを記録。
アメリカ国内で約1600万ドル、国外で約3900万ドルの興行収入を挙げた。日本では1990年に公開された。長い間、見逃していた映画で見たかった作品の1本だった。
 
登場人物は少ないが、軽妙な会話の数々がユーモアにあふれていて、人間味あるドラマとなっており、感動的な作品だ。
 
  気品あるジェシカ・タンディ
1989
年度のアカデミー賞では作品賞を含む9部門でノミネートされ、
作品賞主演女優賞ジェシカ・タンディ)脚色賞メイクアップ賞4部門で受賞した。
                
老齢の未亡人を好演したジェシカ・タンディの演技は高く評価された。タンディの80歳での受賞は、アカデミー賞史上で最高齢である。ジェシカ・タンディは、1994年の「カミーラ/あなたといた夏:(原題: Camilla)」 が遺作(同年85歳で没)。
 
ストーリー :
1948アメリカ南部・ジョージア州アトランタ。元教師ユダヤ老婦人デイジー・ワサン(ジェシカ・タンディ)は買い物に出かけようと勇んでキャデラックに乗り込むが、運転を誤って隣家の垣根に突っ込んでしまう。それを見かねた息子のブーリー(ダン・エイクロイド)はデイジーに対して運転手を雇うように薦めるが、デイジー聞く耳を持たない。そんなデイジーの元に初老の黒人男性、ホーク・コバーン(モーガン・フリーマン)が運転手として雇われてきた・・・(HPより)。
 
デイジーはとにかく頑固な性格で、気難しい。息子が無理やりに運転手を雇って家に残していったが、買い物に行くのも、電車で行くと、強情を通す。運転手は、給料をもらって、家でごろごろしているわけにはいかないと、車でデイジ―を追い、何とか車に乗せる。
 
デイジーがホークを嫌がっていたのは、自分が嫌味な成金であると周囲から思われるのがいやだったからだった。しかしホークの真面目な仕事振りと正直な人柄に接して、何処へ行くにもホークの運転する車に乗ることになる。
 
 
  
1953クリスマスに、デイジーは読み書きの出来ないホークに簡単な参考書をプレゼントする。デイジーアラバマ州モービルに住む兄弟の90歳の誕生日を祝うため、ホークの運転するキャデラックに乗って遠出することになる。
 
 
既に70歳と高齢のホークだが、州外に出るのはこれが生まれて初めてだという。
道中で路肩に止めた車の中で食事をする二人だが、その際の警察官の対応に、デイジーはいまだ法のもとで人種差別が容認されているアメリカ南部に根強く残る、黒人に対する人種的偏見を実感する。警官は、二人が去った後「黒人のジイ様とユダヤのバア様とは、いい組み合わせだ」と毒づいていた。
 
1971、ある朝いつものようにデイジーの家を訪れたホークは、錯乱しているデイジーを発見する。突然顕れた痴呆の症状により混乱した彼女は、自身の教師時代に戻って子供たちの宿題を探し回っていたのだった。デイジーを優しくなだめるホーク。そんな彼に対し、デイジーは「あなたは私の一番の友達よ」と告げる・・・。
 
1973、痴呆症が進み、体調も衰えたデイジーは現在老人ホームで暮らしている。ホークとブーリーは感謝祭のお祝いを述べるため、デイジーの元を訪れる。
 
ブーリーを除け者にし、デイジーとホークは二人きりで言葉を交わす。出会った頃と同じ軽妙なやりとりを楽しむ二人。そしてデイジーは息子が未だにホークに毎週運転手としての給料を払っていることを知る。ホークがパンプキンパイをデイジーに食べさせているシーンで映画は幕を閉じる。
 
ホークとデイジー25年間の関係が描かれるが、二人の会話が味わいがある。
デイジーは、ホークに、運転手として息子から「いくらもらっている?」と聞くシーン。
 
「それは、私とブーリー氏との秘密です」と答えるとデイジーは「一日7ドル以上だったら“泥棒“だ」というと「その通り(=泥棒)」と答えるホーク。
 
ホークは、これまで自分を雇ってきたブーリーに、デイジーが直接、”金額は望み通り“で自分を雇いたいと言っていると伝える。ブーリーも「いくらと言っている?」と聞くが「それは、デイジーとの間の秘密だ」とホーク。ブーリー「週65ドルでどうだ」ホーク「いい話だ。ブーリー氏から変わるつもりはない。75ドルなら」。この辺の駆け引きも面白い。 これで”ビジネス成立“というのがアメリカらしい。
 
1950年ごろから1970年代前半までの話だが、初期の頃登場する車がアメリカ自動車メーカー“ビッグ3”の名門の1社、クライスラーのキャデラック“ハドソン”という車。この車が、この映画では、重要な役割を担っている。
 
デイジーがほとんど認知症になりかかって、老人ホームにいるときに、ホークに「あの車(=ハドソン)はまだ乗っているの?」と聞くシーンもある。ホークは、笑いながら、「もう15年も前に廃車で出していますよ」と答えるのである。時の長さ・経過などを感じさせるせりふだった。
 
この映画では、アメリカの60年代ごろの南部では、人種差別、宗教の違い(デイジーユダヤ教で、息子夫婦はキリスト教)、黒人の人権指導者、キング牧師の演説、KKK(ク―・クラックス・クラン:人種差別主義団体)の寺院爆破、などを背景に描いている。
 
映画の中で、当時の時代を感じさせる映画や舞台(「マイ・フェア・レディ」)なども引用されていて興味深い。かたくなな人間でも、相手と心が通じ合うと、生涯の友にもなれるということを二人の老人の交流を通して語っている。
 
ジェシカ・タンディが、実年齢80歳で、70歳くらいから亡くなるまでの25年間を描いているが、憎めない老婦人を演じている。認知症で、昔学校の先生だったころに自分がいると錯覚して「答案用紙がない!」「授業に遅れる」などと、叫ぶシーンなどもある。
 
一方、モーガン・フリーマンは、この映画で、黒人のスターとして注目されるようになり、その後は「ショーシャンクの空に」「ミリオン・ダラー・ベイビー」などで活躍することになり、名わき役として、お気に入り俳優の一人である。
 
出演:
モーガン・フリーマン:ホーク・コバーン
ダン・エイクロイド:ブーリー・ワサン
パティ・ルポーン:フロリナ・ワサン
エスター・ローレ:アデラ
 
製作総指揮:デヴィッド・ブラウン
製作:リチャード・Dザナック、リリ・フィニー・ザナック
 
☆☆☆☆