「ボクサー」(原題:The Great White Hope:偉大なる白人の希望)は、1970製作(日本公開は1971年)のアメリカ映画。タイトルは安易だが、映画の内容は感動的で素晴らしい。ダニエル・ディ・ルイスの「ボクサー」(原題:The Boxer、1997)とは、全くの別作品。
1970年当時は、黒人などマイノリティに対する偏見はまだ大きく、黒人俳優では、シドニー・ポワチエが、先駆者として、その地位を確保していたが、それに続く俳優として注目されていたのが、ジェームス・アール・ジョーンズと、ブラック・パワー・ムービー「黒いジャガー」などの”シャフト”シリーズで、人気が沸騰していたリチャード・ラウンドツリーなどであった。
1971年、封切で「ボクサー」を見た後、同じ年、2番館で2本立てでも「ボクサー」(もう一本は「Z」=4回目!・・・最終的に10回くらい見ている)を見た。「Z」見たさに、刺身のつまだったかも(笑)。
「ボクサー」は、ボクシングのヘビー級チャンピオンとなったジャック・ジョンソン(映画ではジェファーソン)の実話に基づく作品で、ヒットした舞台劇「偉大なる白人の希望」の映画化。
ジャックは、黒人から王座を奪い返すべく挑戦した“偉大なる白人の希望”をも打ち倒し、恋に落ちた白人女性エレノアと派手な生活を送ることになったが、当然、白人たちからは敵視され、ついにマン治安法に問われて、アメリカに居られなくなってしまう。
原作者自身による脚色と反骨精神に満ちた演出により、骨太の社会派劇となった。
その後のボクシング映画と比べると、ボクシングの派手なシーンは「ロッキー」などが勝っているが、人間ドラマとしては、重厚さがあった。
ジェームズ・アール・ジョーンズは「博士の異常な愛情」で映画デビュー。
その後、舞台などで活躍。「ボクサー」の舞台で成功をおさめ、映画化でも主演を果たすことになた。近年では、さまざまな映画で、脇役として存在感を示している。
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