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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「アラバマ物語」(1962、日本公開1963)

 
 「アラバマ物語」(原題:To Kill a Mockingbird)を、ようやく見ることができた。
 
1962製作のアメリカ映画(日本公開は1963年)。
舞台は人種的偏見が根強く残るアメリカ南部。
白人女性への暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当する弁護士アティカス・フィンチ(グレゴリー・ぺック)の物語。当時の出来事を、後に成長した娘のスカウトが回想するという形式をとっている。根強い人種の壁を描いた。
 
グレゴリー・ぺックは、アメリカの良心を代表するような役者。
アメリカ映画俳優協会の会長などさまざまな役職を得ていた。
この年は、作品賞など多くの賞を受賞した「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールなどを抑えての受賞となった。
 
物語はアティカスが担当した裁判を中心に展開する。
 
単なる法廷ドラマにとどまらず、子供の視点から見た大人の世界や、周囲の人々に対する純粋な好奇心などをノスタルジックに描いている。
 
この映画で、最後に登場するロバート・デュヴァル(「ゴッドファーザー」のトム・ヘイゲン弁護士役など)が映画デビューを果たしている。
 
映画はモノクロ。
オープニング・シーンから、印象的。少女がボックスを開けると、人形や時計などが詰まっている。クレヨンで線を引いたり、絵を描いたりしていると、タイトルバックが浮かび上がってくる。
 
今から50年以上も前のアメリカでは、特に南部では、人種差別が根強かった。
そんな中、白人女性が、黒人の男にレイプされたという事件で、黒人の弁護を引き受けたのが、アティカスだった。
 
公平をモットーとする正義感の強い弁護士だったが、当時の陪審員の下した判決は有罪だった。再審で逆転にできると自信を深めていた矢先に、黒人は、逃亡したということで、銃で撃たれて死んでしまう・・・。
 
登場する子供たちがいきいき描かれている。
主な3人の子供の中で、アティカスの娘が成長してから、当時を回想する形で物語が進んで行く。裁判シーンは、アティス弁護士が、真実を訴えるが、陪審員には届かなかった。現実には冤罪だったが、黒人ゆえの悲劇を扱っている。
 
裁判、法廷ものの映画では、常に上位にランクされているようだ。
法廷でのスピーチは、この映画のハイライトでもある。
 
ほかの人の立場で考える(=ほかの人の靴を履いてみる)」という表現も印象に残る。
 
「グレゴリー・ぺック」といえば「ローマの休日」の穏やかな新聞記者のイメージだが、1944年に映画デビュー(1916年生まれ)して、終戦直後の数年間は「トール・ダーク・アンド・ハンサム」で、演技力があることから映画会社各社は、5年間で総額1800万ドル(当時)の制作予算を用意したという。まさに夢のスター扱いだった。
 
「王国の鍵」(1946)「小鹿物語」(1946)「頭上の敵機」(1949)の3本でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。「ナバロンの要塞」(1961)は空前のヒット。続いて「アラバマ物語」(1962)もヒットし、名実ともにハリウッドの名士であることを実証した。第17代アカデミー協会会長も務めた。
 
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