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<span itemprop="headline">映画「金環蝕」(1975)・・・政治とカネの腐敗を描く。</span>


「金環蝕」(きんかんしょく)は、石川達三原作(1966年発刊)。

山本薩夫が監督し、1975年に公開された。社会派・政治問題映画として注目された。

社会派三部作では、個人的好みからいうと、断然「不毛地帯」で、次に「華麗なる一族
そして「金環蝕」の順となる。

山本監督ベスト3は「白い巨塔」「不毛地帯」「華麗なる一族」!

とくに「白い巨塔」は、「邦画お気に入りベスト3」は外せません(笑)。

ところで「金環蝕」は、九頭竜ダム落札事件をモデルに、保守政党の総裁選挙に端を発した汚職
事件を描いたもの。

当時の池田勇人総理や、田中角栄などと思われる人物が次々と出てきて、わくわくでした。

東京オリンピックをまじかに控えた1964年(昭和39年)夏、与党・民政党の総裁選挙が行なわれ、
現総裁にして内閣総理大臣の寺田政臣と最大派閥の領袖・酒井和明の一騎打ちとなった。

数で劣る寺田総理が率いる寺田派は党内切っての実力者で副総理・広野大悟の派閥と協調して必勝を
図った。

その段階において両陣営とも票集めに10億円以上の実弾を投入した。中には広野派の神谷直吉代議士の
ように両陣営からちゃっかり戴く者もいた。激烈な選挙は僅差で寺田の三選で幕を閉じた・・・。




それから数日後、金融業を営む石原参吉の元に内閣官房の西尾貞一郎が訪れ、星野康雄官房長官
(寺田派)の名刺を持参したうえで秘密裏に資金を用立てて欲しいと告げる。ところが石原はこの
申し出を断るものの星野の名刺を持ち去る。

金融王として裏の世界を渡り歩いた石原は直感的に星野の周辺に何らかの疑惑があることを思いつき、
星野の周辺を洗い出し始めた。その過程で寺田総理の郷里・九州の福流川ダム建設を目論む竹田建設と
発注元の電力開発株式会社(小説では電力建設株式会社)若松圭吉副総裁の一派の談合と汚職の存在が
浮かび上がるのだった・・・(HPより)。


政治をめぐる献金汚職に鋭くメスを入れた快作で、オールスターキャストで描いた。

「政治とカネ」「汚職」の構造を浮き彫りにした。

この映画の翌年には、山本薩夫監督はロッキード事件を暴いた「不毛地帯」でも注目された。

まさに社会派の巨匠だった。

代表作は、もちろん「白い巨塔」。

監督:山本薩夫
脚本:田坂啓
音楽:佐藤勝

キャスト

星野康雄(官房長官):仲代達矢…黒金泰美がモデル
寺田峯子(首相夫人):京マチ子池田勇人夫人・池田満枝がモデル
神谷直吉(代議士):三國連太郎田中彰治がモデル
石原参吉(金融王):宇野重吉森脇将光がモデル
萩乃(石原金融王の妾):中村玉緒
古垣常太郎(日本政治新聞社社長):高橋悦史…倉地武雄(言論時代社社長)がモデル
吉千代(星野官房長官の女):安田道代(現・大楠道代
朝倉節三(竹田建設専務):西村晃…渡辺喜三郎(鹿島建設副社長)がモデル
寺田政臣(首相):久米明池田勇人がモデル
酒井和明(後継首相):神田隆…佐藤栄作がモデル
大川吉太郎(通産大臣):北村和夫
神原孝法務大臣):大滝秀治…高橋等がモデル
斎藤荘造(幹事長):中谷一郎田中角栄がモデル
広野大悟(副総理):河村弘二…河野一郎がモデル
早川義信(衆議院決算委員長):嵯峨善兵
黒尾重次郎(寺田派幹部):外野村晋…前尾繁三郎がモデル
平川光正(寺田派幹部):山本武…大平正芳がモデル
党総裁選議長:花布辰男
西尾貞一郎(内閣秘書官):山本學…中林恭夫(池田首相秘書官事務取扱)がモデル
安原内閣秘書官(西尾の同僚):山本清
小松内閣秘書官(西尾の同僚):小美野欣二
警視庁警備課員(首相夫人警護):田村貫
滝井検事総長加藤嘉…馬場義続(検事総長)がモデル
財部賢三(電力開発総裁):永井智雄…藤井崇治(電源開発総裁)がモデル
若松圭吉(電力開発副総裁):神山繁…大堀弘(電源開発副総裁)がモデル
松尾芳之助(電力開発後継総裁):内藤武敏…吉田確太(電源開発後継総裁)がモデル
小島(電力開発理事):根上淳
正岡(電力開発理事):高城淳一
中村(電力開発理事):五藤雅博
宗像(電力開発技師):福田豊
小野(有力紙記者):鈴木瑞穂
島田(有力紙記者):前田武彦
脇田(石原の部下):早川雄三
荒井(石原の部下):矢野宣
青山達之助(青山組社長):原田清人…神部満之助(間組社長)がモデル
金丸(青山組常務):上田忠好
古垣欣二郎(常太郎の異母弟):峰岸徹…倉地の三男がモデル
遠藤滝子(古垣兄弟の女):夏純子

この頃は、オールスター共演の大作が多かったですね。
今は、あまり見られません。


主な監督作品:

母の曲
田園交響楽
翼の凱歌(1942年、東宝映画)
熱風
戦争と平和(1947年、東宝
ペン偽らず 暴力の街(1950年、大映
真空地帯(1952年、新星映画)
日の果て(1954年、松竹)
太陽のない街(1954年、新星映画)
荷車の歌(1959年、全国農村映画協会)
人間の壁(1959年、新東宝
武器なき斗い(1960年、大東映画)
松川事件(1961年、松川事件映画製作委員会)☆☆☆
忍びの者(1962年、大映
白い巨塔(1966年、大映) ☆☆☆☆
氷点(1966年、大映) ☆☆☆
座頭市牢破り(1967年、大映
戦争と人間(1970年 - 1973年、日活)
華麗なる一族(1974年、芸苑社) ☆☆☆☆
金環蝕(1975年、大映) ☆☆☆
不毛地帯(1976年、芸苑社) ☆☆☆☆
皇帝のいない八月(1978年、松竹) ★★
あゝ野麦峠(1979年、新日本映画)