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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">「運命の人」(第5話)</span>

 
運命の人が俄然おもしろくなってきた。
 
第5話は、検察の起訴状にある「密かに情を通じ・・・」という衝撃的な内容によって、知る権利を訴え盛り上がっていたマスコミの論調は急激に下火になり、それどころか、密約があったという国家の外交問題から、男女のスキャンダルにすり替えられてしまうという展開に・・・。
 
昨日まで、政府を追及するヒーローのように書き立てていたマスコミは手のひらを返したように弓成(本木雅弘)を責め立てる。毎朝新聞の記者たちも戸惑いを隠せない。自宅にも取材陣が押しかけ、傷ついた由里子(松たか子)と弓成の関係もギクシャクし始めてしまう・・・。
 
妻・由里子は、「しばらく家には戻りません」と家を飛び出し、実家に帰ってしまい、いよいよ弓成が窮地に陥り・・・かと思ったが、毎朝新聞の司修一・政治部部長(松重豊)は読日新聞の山部(大森南朋)から、ある情報を得た。それは、三木昭子(真木よう子)の弁護人・坂元(吹越満)が、佐橋総理(北大路欣也)と親しい警察庁長官の十時正春(伊武雅刀)とかつていっしょに仕事をしていたという事実だった。
 

   弓成(本木雅弘)とその上司・司政治部部長(松重豊:モデルは三宅久之
 
坂元は、当初から政府・警察サイドの人間であるということで、密約をスキャンダルに仕立てあげたことに関係していたという疑惑が生じてきたのだった。坂元が、三木に、弓成が敵であると吹きこんでいたということを、毎朝新聞は知ることになる・・・。
 
一方、毎朝新聞の司は、裁判で弓成の弁護グループの一人として、大野木正(柳葉敏郎)に依頼する。大野は、弓成の一貫した政府の密約に対する記者としての報道姿勢を評価しており、ともに戦っていく覚悟を決める。
 
第一回の公聴会が開かれることになり、いよいよ決戦の火ぶたがきっておとされることに・・・(次回の第6話)。
 
三木は、裁判に備えて、坂元弁護士が準備した「想定問答集」を言えるように、繰り返し反復練習に励むのだが・・・。
 
弓成は、大野弁護士に対して、「三木さんに不利になるようなことは避けたい」と申し入れをする。あくまでも、相手は国家権力であることを再確認するのだった。
 
「運命の人」を1-5話まで毎回見てきたが、「不毛地帯」のようなドキドキ、わくわく感がなかったが、ここにきて、「第6話」以降が、俄然おもしろくなりそうで、期待が高まる。弓成の妻・由里子(松たか子)も、弓成から「離婚してもいい」と言われながらも、子供たちの将来を思い、弓成を支えていく決意をして、戻ってきた。
 
そんな中、「沖縄返還」が成し遂げられ、佐橋総理は、この沖縄の本土復帰を花道に総理の座を退き、次期総理には、田淵角造(不破万作)が就任する。外務大臣だった福出赳雄(笹野高史:モデルは福田赳夫・元総理)が次期総理になるとみられていたが、田淵に決まった。(現実に、当時はしばらく福田赳夫田中角栄との”角福戦争”と呼ばれる時代となった)
 
弓成の弁護士役の柳葉敏郎が、実に頼もしく、カッコいい(笑)。
一世風靡”のメンバーで、原宿で「バク転」をしていたギバちゃんが、この数年堂々たる風格をみせている(バク=爆)。
 
ドラマの中で、山部(モデルは、読売新聞の渡辺恒雄会長)が、曽根川靖広(モデルは中曽根康弘・元総理)を、小平正良(モデルは大平正芳・元総理)など閣僚に紹介するシーンがある。30数年前だったか、渡辺恒雄と中曽根が親しそうにテレビ出演しているのを見たことがあるが、当時、渡辺恒雄は「中曽根」のブレーンの一人だったというのが印象に残っている。中曽根の親分は、自民党の大物・大野伴睦。渡辺記者(当時)は、大野伴睦番記者だった。大野に可愛がられ、大野の死後は中曽根と極めて親しくなったという背景がある。
 
佐藤総理の新聞嫌いは有名で、新聞は書きたい放題だと嫌っていた。テレビは、肉声をそのまま映し出すということで、「運命の人」でも、記者会見で、記者が全員会見場から姿を消すというシーンもあるようだ(次回)。
 
沖縄返還ロッキード事件(「不毛地帯」)などを曲がりなりにもリアルタイムで見聞きしてきた人間にとっては、興味の尽きない「運命の人」ではある。