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映画「弱くて強い女たち」(原題:孤味/Little Big Women、2020)を見る。台湾のヒューマンドラマ。

弱くて強い女たち」(原題:孤味/Little Big Women、2020)を見る。地味ながら味わいのある台湾家族のドラマだった。肝っ玉母さんを中心とした3人の娘たちの個性が光るドラマ。

台湾の家族モノの映画をじっくり見る機会は少ないが、兄弟、姉妹と言っても考え方は異なるが、家族という単位の結束の固さなどは感じさせられる。法事(葬儀)などでの作法なども興味深かった。

自分たちの知らない出奔(しゅっぽん:駆け落ち)した父の暮らしと死の現実に向き合うことになった台湾の家族の葛藤と機微を細やかに描いたヒューマンドラマ。グルメの都・台南が舞台で、料理がおいしそう。

東京国際映画祭で上映された台湾映画。監督は、これがデビュー作となる許承傑(シュー・チェンジエ)。2017年の同名短編映画を長編にした作品で、ビビアン・スーリャオ・チンソンと共にエグゼクティブ・プロデューサーをつとめている。

原題の「孤味」は、文字通りには孤独の味ということだが、台南の言葉で、一つの料理を精魂込めて作るといった意味があるという。それで、主人公で3人の娘を育てた母親である秀英(リン)が出奔した夫への長年の恨みを手放すというテーマと重ね合わせているのだという。

台湾の映画賞「金馬奨」では陳淑芳(チェン・シューファン)が主演女優賞を受賞。

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3人の娘を育てた一家の大黒柱の母親リン(チェン・シューファン)が70才の誕生日パーティの日に夫チェン(ロン・シャオホア)の訃報がもたらされ、慌ただしく進める葬儀の準備の中、3人の娘たちとその家族、そして夫を看取った愛人たち。

家族を残してリンのもとから出奔(しゅっぽん)した父親の消息を10数年ぶりに知ったのは、病院で亡くなったという知らせだった。

そんな時に、家族や弟など周辺からは誕生日祝いパーティは控えたほうがいいのではと言われるがリンだったが、忽然と、夫の死は伏せて誕生会を開くという。

末娘は、父と愛人と姉妹の中では唯一連絡を取り合っていた。病床の父の見舞いにも行っていたのだ。そして、晩年の父と暮らしていたイーチョンのよき理解者でもある。

通夜には、夫の愛人イーチョンも友人の女性たちにまぎれて参加していたが、リンが「イーチョンさんは?」というので、女性たちは、帰りかける。

リンはイーチョンがいたことを確認するが、イーチョンや女性たちは去っていった。
夫が事業や家族のために父親の実印(印鑑)を持ち出したことになっていたが、実は夫がリンをかばっていたこと、リンが実印を持ち出したことを告白。

そして、後日、葬儀の場では、イーチョンに喪主の座を譲ることで借りを返すリン。
リンは車の中で、好みの曲をうたい、葬儀終了後に、一人葬儀会場に戻り、夫の遺影の前に立つのだった。

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台湾の風景、食事の美味しさ、家族の関係などを丁寧に描いて静かながら染み入るものがある。日本では歌手・女優としてビビアン・スーが知られているが、映画の中で愛人役の丁寧(ディン・ニン)が凛として芯の強さを感じさせ、印象に残る。

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監督:許承傑(シュー・チェンジエ)
脚本:許承傑(シュー・チェンジエ)、黃怡玫(ホアン・イークイ)


<出演>
■陳淑芳(チェン・シューファン):リン…エビ屋台から出発し料理屋を経営。リン一家で3人(実は4人)の娘を育てた母70歳。魚市場の常連で仲買人たちからリンさんと親しまれている。歌うのが趣味。10数年音信不通の夫チェンの死の知らせを受け、許せない思いなど複雑な心境。自身の誕生会の実行を貫く。夫の背信に怒りを覚えながらもそれを乗り越え、愛人の女性の存在を受け入れていく。
■謝盈萱(シエ・インシュアン):ジョンシェン…長女。ダンサー。ヘビースモーカー。独身で自由奔放。
■徐若瑄(ビビアン・スー):ワンユー…次女。台北美容外科医。
■孫可芳(ソン・カーファン):ワンジア…三女。留学よりも母の店を継ぐことを決意した末娘。唯一父の愛人と連絡をとっている自己主張のはっきりした女性。
■丁寧(ディン・ニン):イーチョン…失踪した夫の愛人。雰囲気あるたたずまい、控えめで静かな強さを持つ。
■陳姸霏(チェン・イエンフェイ):ワンユーの娘。大学(医学部)進学を目指す。母ワンユーからは海外留学を勧められる。
■龍劭華(ロン・シャオホア):チェン:夫(現在)
■楊一展(ヤン・イージャン):チェン:夫(若いころ)
■張翰(チャン・ハン)

※「Netflix」(2月5日~配信)で見る。

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