第74回「ベルリン国際映画祭」が、2月15日(現地時間)始まりました。25日まで開催。本映画祭は1951年からドイツ・ベルリンにて毎年2月に行われている国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭で、カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭と並ぶ“世界三大映画祭”の一つ。
最高賞の“金熊賞”は、コンペティション部門に選出された作品(計20作品)のみしか獲得できない賞となっています。残念ながらこの中には日本作品は入っていません(アジアからは韓国作品1作品のみ)。
日本からは別部門で出品があり「ベルリナーレ・スペシャル部門」に石井岳龍監督の「箱男」、黒沢清監督の摩訶不思議な恐怖に支配される「チャイム(Chime)」と工藤梨穂監督の男女三人の旅を描いた瑞々しい青春映画「オーガスト・マイ・ヘヴン」および正式招待されています。
「フォーラム部門」には、三宅唱監督最新作の「夜明けのすべて」、想田和弘監督のドキュメンタリー映画「五香宮の猫(ごこうぐうのねこ)」が正式出品されています。
「夜明けのすべて」からは主演の松村北斗(SixTONES)と上白石萌音らが参加。
ヨハン・レンク監督の「Spaceman(原題)」のワールドプレミアでは、出演のアダム・サンドラー、キャリー・マリガン、ポール・ダノらが参加している。
<コンペティション部門一覧 作品名(英題)監督名(国名)>
■「Another End」ピエロ・メッシーナ(イタリア)
■「Architecton」ヴィクトル・コサコフスキー(ドイツ、フランス、アメリカ)
■「Black Tea」アブデラマン・シサコ(フランス、台湾、ルクセンブルク、モーリタニア、コートジボワール)
■「La Cocina」アロンソ・ルイス・パラシオス(メキシコ、アメリカ)
■「Dahomey」マティ・ディオプ(フランス、セネガル、ベナン)
■「A Different Man」アーロン・シンバーグ(アメリカ)
■「The Empire」ブリュノ・デュモン(フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、ポルトガル)
■「Gloria!(原題)」マルゲリータ・ヴィカリオ(イタリア、スイス)
■「Suspended Time」オリヴィエ・アサイヤス(フランス)
■「From Hilde, With Love」アンドレアス・ドレーゼン(ドイツ)
■「My Favourite Cake」ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム(イラン、フランス、スウェーデン、ドイツ)
■「Langue Etrangère(原題)」クレール・ブルジェ(フランス、ベルギー、ドイツ)
■「Who Do I Belong To」メリアム・ジュオーバー(チュニジア、ノルウェー、カタール、サウジアラビア、フランス、カナダ)
■「Pepe(原題)」ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス(ドミニカ共和国、ナミビア、ドイツ、フランス)
■「Shambhala(原題)」ミン・バハドゥール・バム(ネパール、フランス、ノルウェー、香港、トルコ、台湾、アメリカ、カタール)
■「Dying」マティアス・グラスナー(ドイツ)
■「The Devil’s Bath」ゼヴリン・フィアラ、ヴェロニカ・フランツ(オーストリア、ドイツ)
■「Small Things Like These」ティム・ミーランツ(アイルランド、ベルギー)★オープニング作品
■「A Traveler’s Needs」ホン・サンス(韓国)
■「Sons」グスタフ・モーラー(デンマーク、スウェーデン)
また、現状ドイツはイスラエル・ガザ戦争に対してイスラエルを支持するスタンスをとっており、国際映画祭としての動向も注目されている。
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「チャイム(Chime)」(監督:黒沢清)
出演:吉岡睦雄、田畑智子、渡辺いっけい、ほか
オリジナル言語(字幕言語):日本語(英語、ドイツ語)
2024年/日本/45分
料理教室の講師として働いている松岡卓司(吉岡睦雄)。ある日、レッスン中に生徒の1人、田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不思議なことを言い出す。事務員の間でも、田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にすることなく接していた。
しかし別の日の教室で、田代が今度は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し、それを証明するために驚くべき行動に出る。田代の一件後のある日、松岡は若い女性の生徒・菱田明美を教えていた。淡々とレッスンを続ける松岡だったが、丸鶏が気持ち悪いと文句を言う明美に、彼は――。
松岡の身にいったい何が起きたのか。料理教室で、松岡の自宅で、ありふれた日常に異様な恐怖がうごめき始めたのだった…。
「箱男」(The Box Man)(監督:石井岳龍)
出演: 永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市、白本彩奈ほか
オリジナル言語(字幕言語): 日本語(英語)
2024年/日本/120分
“箱男”とは、人間が望む最終形態。すべてから完全に解き放たれた存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、のぞき窓から一方的に世界を覗いて徘徊する“箱男”に魅せられたカメラマンのわたしは、自らもダンボールをかぶり、のぞき窓を開け、遂にその一歩を踏み出す。
しかし、本物の“箱男”になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。わたしをつけ狙い“箱男”の存在を乗っ取ろうとするニセ医者や、“箱男”を完全犯罪に利用しようと企む軍医 、さらにわたしを誘惑する謎の女・葉子が現れ、わたしを惑わせる。
果たしてわたしは、本物の“箱男”になれるのか......。
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