「演歌の女王」と呼ばれた歌手の八代亜紀が昨年12月30日、急速進行性間質性肺炎のため死去した。73歳。熊本県出身。9月に所属事務所を通じて膠原(こうげん)病を患っていることを公表し、年内の活動を休止することを発表していた。
1971年にテイチクより「愛は死んでも」でデビュー。
芸名の“八代亜紀”の姓は出身地の八代(やつしろ)市から採っており、語呂の良さから「やしろ」という読みにした。本名である明代より呼びやすい2文字アキとし、また漢字の“亜紀”としたのは「アジア(亜細亜)で何世紀も活躍できるように」との願いが込められている。
1973年に「なみだ恋」が120万枚とヒットした後も「しのび恋」「愛ひとすじ」「おんなの夢」「ともしび」「花水仙」「もう一度逢いたい」「おんな港町」「愛の終着駅」など、女心を歌った歌で次々とヒット曲を連発する。
1979年に新境地を開拓した初の男歌「舟唄」が大ヒットし、1980年に発表した「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞。これら2曲は「港町絶唱」と共に阿久悠、浜圭介、竜崎孝路のコンビによる「哀憐三部作」とされる。
NHK紅2年白歌合戦では連続大トリを務めた。ほどなくして“演歌の女王”と称されるようになる。
映画にも出演した。1977年に当時大ヒットを飛ばしていた東映映画「トラック野郎・度胸一番星」に女ダンプ運転手「紅弁天」役で出演し、八代の曲「恋歌」が挿入歌として起用された。
女ダンプ運転手「紅弁運天」役
映画の配給収入も10億9000万円を記録。夜のヒットスタジオでは実際に運転して撮影したと話している。
八代亜紀の代表曲のひとつ「舟唄(ふなうた)」は映画「駅STATION」(1981)の中でも効果的に使われ、流れている。
北海道を舞台に男女の人間模様を描くこの映画で3回流れる。
■増毛町の小さな居酒屋で、主人公の刑事を演じる高倉健とおかみ役の倍賞千恵子が出会うシーン。
■恋愛中の2人がカウンターで紅白を見る場面。
■最後は別れの時。テレビから流れる「舟唄」に乗って、増毛駅のラストシーンへと向かう。
「♪お酒はぬるめの燗(かん)がいい。肴(さかな)はあぶったイカでいい」。
ご冥福をお祈りいたします
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