fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「白夜」(1957)マルチェロ・マストロヤンニ、マリア・シェル主演。

 
ルキノ・ヴィスコンティ監督の「白夜(原題:Le Notti bianche1957)を見た。
原作は、かのドストエフスキー初期の短篇。舞台を19世紀のペテルブルグから現代イタリアの港町に置き換えている。
 
ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞
音楽は「カビリアの夜」のニーノ・ロータ、製作フランコ・クリスタルディ。
主演「居酒屋」のマリア・シェルが、純粋無垢なかわいさを見せているのが印象的だ。マルチェロ・マストロヤンニも、若々しい。「美女と野獣」のジャン・マレーが共演。モノクロ。
 
・・・
イタリアのある港町。
ここへ転勤してきたばかりの青年マリオ(マルチェロ・マストロヤンニ)が夜の小路を散歩していると、運河の橋際に立つ一人の少女(マリア・シェル)を見つけた。女は泣いていた。
 
          橋の上で泣く女をみたマリオは声をかけようか迷うが・・・。
 
マリオは好奇心にかられ、見知らぬ町での狐独な自分を慰めるためにも、この女に声をかけた。彼女は大きな悲しみに打ちひしがれているかに見えた。マリオは自己紹介をして、断わる彼女を家まで送り、翌晩の再会を約して別れた。
 
だが女はマリオが去ったとみるや、再びもとの橋際にひき返して行った。翌晩、女は約束をたがえて彼から逃げようとした。マリオは非難した。彼女は自分の行為をわび、ナタリアだと名のり、身の上を語った。なぜ毎晩橋の上に行かねばならぬかを弁明するためにも・・・。
 
   「若くはないがハンサムな下宿人」(ジャン・マレー)(左)と、はにかみがちのナタリア
 
 
ナタリアが自分の境遇について語り始めたが、それによると、眼のわるい祖母と二人、二階の空き部屋を貸しながら、ほそぼそと暮していた。そして下宿人の青年(ジャン・マレー)と親しくなった。ナタリアは続ける。「若くはないけどハンサムナ下宿人だった」と。オペラ「セビリアの理髪師」を一緒に見に行き、「あの時運命が決まった」と。
 
しかし、男は「今は結婚できる状態ではない。1年間はいなくならなければならない。
 
1年経って戻ってきて、もし君に気持ちがあるなら、幸せになれる。ティアーモ、ティアーも(愛してる)」と言い残して、目の前から去っていったのだという。
 
それから1年経ったので、毎夜、橋の上で男を待っていたところに、マリオと出くわしたのだという。「ありふれた話」というナタリアに、マリオは「そんな男が約束を守って現われるはずがない」というのだが・・・。
 
ナタリアはマリオの友情にすがって、男に会ったら、待合場所、時間を書いた手紙を渡してくれと頼む。マリオは承知したが、結局、手紙を破って約束を果さなかった。マリオの心はナタリアから離れがたくなっていた。何も知らぬナタリアは期待に輝いてみえた。
 
手紙で約束した時間になり、ナタリアはマリオを残して橋の方へ駈けて行ったがそこには誰もいない。絶望したナタリアにマリオは夢中で愛を告白したが、ナタリアは振りきって行ってしまった。
 
傷心のマリオは町をさまよううち、再びナタリアに行き遭い、そこで手紙を渡していなかったことを打明けた。ナタリアは、かえってマリオに迷惑をかけたことをわび、彼の愛を受入れて現実の世界に生きようと思った。
 
二人は未来を語り合いながら、雪の降り出した深夜の町を歩きつづけた。
すると、橋の近くまで来たとき、そこに一人の男の姿があった。
 
ナタリアは、マリオに別れの言葉を賭け、その男のもとに駈け出していった
マリオはそれを静かに見送るしかなかった
 
・・ 
「白夜」の中で、バーでロックの曲が流れ、若者たちが踊るシーンがあるが、当時、エルビス・プレスリーが登場し、Bill Haley and the Cometsの音楽がヒットチャートをにぎわしていた時代を思わせる音楽が登場している。
 
 
ビル・ヘイリー(「ロック・アラウンド・ザ・クロック」=映画「暴力教室」のテーマ曲で有名)の「Thirteen Women」などの曲に合わせて踊るダンスは、その後の「サタデーナイト・フィーバー」のようでもあった。
 
踊るなんてとんでもないと言っていたナタリアが、若い男や、マリオからダンスを誘われて踊るシーンは、よかった。マリオとナタリアが踊りながら交わす会話・・・「これで踊ったことがあるといえる」(ナタリア)、「(ずっと孤独だったが)幸せだったと言える」(マリオ)といった会話だ。
 
 
ヨーロッパの夜は、夏などは白夜(びゃくや)と言われ、夜10時ごろまで明るい。
 「白夜」の舞台もほとんどが夜。モノクロ映画だが、コントラストなどのメリハリもあって、見ごたえのある映画だった。マリア・シェルの魅力を発見した映画だった!
 
☆☆☆
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。