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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「隊長ブーリバ」(原題:Taras Bulba、1962)を見る。大スペクタクル映画。

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隊長ブーリバ」(原題:Taras Bulba、1962)を見る。監督は「ナバロンの要塞」(1961)のJ・リー・トンプソン。主演はトニー・カーチスユル・ブリンナー。映画製作当時、トニーカーチス36歳、ユル・ブリンナー41歳で親子を演じている。

トニーカーチスは、同じ年に「40ポンドのトラブル」が劇場公開され、guch少年(当時14,5歳)は、”トニ・カチ”のファンになり、クリスチーネ・カウフマンのファンになったという。野球小僧で、本好きで本屋や日比谷の図書館に通い詰めていた15歳の少年には、カウフマンの可憐さ、清純な美しさはまぶしかったに違いない(笑)。

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  野球小僧のguch少年とクリスチーネ・カウフマン

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16世紀初頭、オスマン帝国(のちのトルコ)が勢力を拡大してヨーロッパに迫っていた。これに危機感を抱いたポーランド王国のグリゴリー王子(ガイ・ロルフ)。

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王子はタラス・ブーリバ(ユル・ブリンナー)率いるウクライナコサックに「自分たちに協力してトルコ軍を撃退すれば、ウクライナステップを与える」という約束をして援軍を頼み、ブーリバたちはこれに応えてトルコ軍を撃退した。

しかしその約束は反故(ほご)にされ、ブーリバたちは土地を追われる事になってしまう。怒ったブーリバたちは、グリゴリー王子の片腕を切り落として逃亡、山岳地帯に逃げ込み、時が来るまで隠れて力を貯えることにした。

時は流れ、ブーリバの2人の息子アンドレトニー・カーチス)とオスタプ(ペリー・ロペス)は立派な青年に成長した。ブーリバは敵を知るために、2人をポーランド人が住むキエフに留学させる。

アンドレはそこでポーランド貴族の娘ナタリア(クリスチーネ・カウフマンと出会い、恋に落ちるが、これを知ったナタリアの兄が怒り、アンドレとオスタプをリンチしようとするが、反対に2人から殺されてしまう。2人は、故郷に逃げ帰った。

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そんな時、ポーランド王からバルトと戦うための召集が掛かる。彼らはこの機会に自分たちの土地を取り戻す決意をする。ブーリバたちはポーランド軍の本拠地デュブノーにあるデュブノー城に合流すると見せかけて、急襲を掛けて攻め込んだ。

不意を付かれたポーランド軍籠城するが、ペストが流行して城内の人々は苦しむ。アンドレはナタリアに会うためにデュブノー城に侵入するが捕まってしまい、ナタリアを助けるために犠牲になる。

その後、ブーリバたちの決死の反撃でポーランド軍は全滅、ウクライナは自由の土地となったのだった。

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この映画では、何千頭もの馬が登場する。大スペクタクルシーンが見どころ。馬に乗っているのは「コサック」と呼ばれる集団騎馬民族

彼らは15世紀頃から、現在のロシアやウクライナの草原(ステップ地帯)に定住し、牧畜・狩猟の他、漁業、交易などで自治的な集団生活を送り、カスピ海北部から侵入してくるトルコ系遊牧民タタール人と戦いながら次第に騎馬生活に長ずるようになり、隊長(アタマン)に指導された「武装騎馬隊」をつくるようになった。

この映画の舞台となる16世紀ごろからは特権を認められた代わりにロシアの国境防備などに従うようになった。

彼らは地域別にドン=コサック、ザポロージェ=コサック、ヤイク=コサック、シベリア=コサックなどの戦士集団を形成するようになった。

コサックが、酒を飲みながら歌って踊るシーンがあるが、これは後に19世紀のロシアのアナテフカを舞台にした「屋根の上のバイオリン弾き」でもロシア・コサックとして歌が歌われていた。

 製作はハロルド・ヘクト。ヘクトといえば、ニューヨークの舞台でバート・ランカスターを見出し、彼をハリウッドへ持ち上げ、インデペンデント映画制作会社「ヘクト=ランカスター・プロ」を一緒に立ち上げた人物。

ハロルド・ヘクト製作映画には「べラクルス」「許されざる者」「深く静かに潜航せよ」「旅路」などがある。

 製作費は、700万ドル。現在の価値に換算すると約50億円。ちなみに「十戒」が倍の1,400万ドル。「ベン・ハー」が、2倍強の1,500万ドル。20世紀フォックスを経営危機に追い込んだといわれる銭食い虫の「クレオパトラ」は4,400万ドル(約320億円)と超破格。

ユル・ブリンナー部族の隊長を演じているが大げさに手を大きく叩いたり、ケッケッケと笑うところなどは、代表作「王様と私」のシャム王を彷彿とさせる。

トニー・カーチスは、二枚目ぶりを発揮。この映画の共演を機に、クリスチーネ・カウフマンと結婚(のちに離婚)している。

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クリスチーネ・カウフマンの初々しい魅力は、確かにguchさんだけでなく、多くの映画ファンを魅了したハズ。

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 「スクリーン」誌1964年5月号の表紙を飾ったクリスチーネ・カウフマン。