「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022)を見る(MOVIX さいたま)。第95回「アカデミー賞」では作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞、編集賞、衣装デザイン賞など同年度最多の10部門11ノミネート作品なので、13日の授賞式前に駆け込みで見た。最多ノミネートは、一気に全部持っていくか、2,3部門に終わるか…。
タイトルは「なんでも、どこでも、いっぺんに」の意味で「いろんな宇宙がいっぺんに」言い換えればマルチバースの世界を言うんだとか。
中身はカンフーアクションを中心としたSFエンターテインメント映画で、ベースには親子喧嘩(母と娘の対立)を描いている。隠喩というのか、いろいろな形のものが登場するので内容をより複雑にしている。
一例だけ挙げると、指の先がにょろにょろとソーセージの形になったり、アレレという形も見えたし、目玉がくっついた石ころが二つ登場したり、大きなベーグルの中にあらゆるものが吸い込まれたり…。
”別の宇宙”から、夫のそっくりさんが登場したり、円錐形の尖った黒光りした置物をまさかのあそこにドッキングしたり、その部分が動くたびにボカシが動くなど、カオス(混沌)カオスの連続。
エヴリンが、思わず吐き出すゲロは、滝のように出てゲロテスク(笑)。ミシェル・ヨーがすっぴんで化粧っ気もないおばちゃんを演じているところもすごいが、正装して上流マダムで登場するシーンは、やはり知的な美貌が光る。
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一応、パート1(Everything)、パート2(Everywhere)、パート3(All at Once)の3部構成の文字が出る。
登場人物はみな何らかの悩みを抱えている。
エヴリン(ミシェル・ヨー)は、コインランドリーを経営しているが、破産寸前。IRS(合衆国歳入庁)監督官ディアドラはどんなことも妥協はしないという姿勢を見せる。
「コインランドリーの仕事にカラオケ機器がなぜ必要か」と追及する。「私は歌手でもある」と逃げるエヴリンだが、これまでにも歌手だのなんだのといろいろな職種を挙げていると受け付けない。
ボケた父親は超がつくほどの頑固爺。娘のジョイは、タトゥを入れ、太り過ぎで反抗期の真っ最中。恋人を連れてくるが、相手は女性。夫はといえば、全く頼りにならない人物。
頭の痛いエヴリンだが、そんなときに、夫とうり二つのウェイモンドという男が目の前に現れる。別の宇宙の夫だといい、全宇宙のカオスをもたらす巨悪=ジョブ・トゥパキを倒せるのはエヴリンだけだというのだ。
“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだエヴリンは、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる。
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最期に、この映画のメッセージらしき言葉が、機関銃のように次々に登場する。われわれは小さな存在で、毎日の問題などは、広い宇宙から見たら小さなものだよといったことか。
ミシェル・ヨーのカンフーアクションは、かの「グリーン・デスティニー」などで証明済みだが、この映画でも、高速で相手を倒していくアクションが見どころとなっている。
もっとわかりやすいストーリーにしてくれ、睡魔との戦いだったと叫びたくなる映画だった。
2022年製作/139分/G/アメリカ
原題:Everything Everywhere All at Once
■追加:「アカデミー賞」で「作品賞」「監督賞」「脚本賞」「主演女優賞」「助演女優賞」「助演男優賞」など7冠制覇。
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