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映画「トゥルーノース」(原題:True North、2020)を見る。”必見”映画!

トゥルーノース」(原題:True North、2020)を見る。石ころの中に金を発見したような、驚きの映画だった。日本とインドネシア合作映画で、北朝鮮強制収容所の実態3Dアニメで描いた作品。清水ハン栄治監督は、収容体験を持つ脱北者たちに取材を行い、10年もの歳月をかけて制作した。

タイトルの「TRUE NORTH(トゥルーノース)」とは「真に重要な目標」の英語の慣用句。自分がどの位置にいてもコンパスの針は常に北を指すことから「決して変わらない目指す方向、正しい方向」といった意味で使われるようになった。

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一人の男性が大勢のメディアに囲まれながら、TEDトークで自らのことを語り始める。彼は母国・北朝鮮から亡命したのだ。「これは私の家族の話です」と、カメラに向かって過去を語り出す――。

平壌ピョンヤン)にて暮らすパク一家。兄のヨハンと妹のミヒは大の仲良しで、平和な毎日を送っていた。しかしある日から父親が家に帰らなくなり、不穏な空気が流れ始める――。

父の失踪からしばらくして、一家は理由も分からず、最も罪深き囚人が入所する「政治犯強制収容所」へ送還されてしまった。施設の中では殺人、暴力は当たり前。子供でも過酷な労働を強いられる劣悪な環境が一家を襲う。

成長し、人の心を失いつつあるヨハンと、人道的な部分を決して忘れない母とミヒ。収容所での生活で何年もの時が過ぎ去ろうとする中、ヨハンの家族が遂にある計画を決意し実行に移す。

今から12年前にパク一家は平壌で暮らし、ごくごく一般的な日々を送っていた。兄のヨハンとミヒ仲睦まじい兄弟で、特にヨハンは頑張り屋な性格。ちょっぴり厳しい父の期待に応えるべく、たくましさを決して忘れないのだった。

家族が幸せに生活をする中、ある日ちょっとした異変が起き始める。兄妹が近所のおばさん達に挨拶をしていても、返事さえ返ってこないのだった。おかしな雰囲気を感じ取っていると、2人の後ろには軍人がいた。すぐにわかるような“監視”状態だが、あいにく子供である彼らにはこの意味を理解できなかったのだ。

それに加えて父が家に帰らない日々が続く。母のユリは「きっと戻ってくる」と子供たちを励ますも、不安な気持ちでいっぱい。「僕が母さんとミイを守るよ」と意気込むヨハンだが、遂に魔の手が一家に忍び寄るのだが・・・。

中には、帰還事業という国家政策のためと称して戻された在日朝鮮人もいた。

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スピーチが終わり、泣き出す男性。壇上で話をしていたのはヨハンではなく、インス。そして現在はミヒと結婚し、親となっていた。ヨハンは自分が囮となって、友人と家族を救ったのだ――。

生きる希望を失うことがなかったヨハンは、きっと今でも収容されている。真実を伝えるためのTEDトークは拍手に包まれながらエンディングを迎えたのだった。

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ストーリーの内容はかなりハードで、題材も重いため、人間が演じてしまっては生々しすぎてしまうことから、アニメで制作を行うことになったという。

実写でなく3Dアニメというのがいい。しかも、人物の表情などは、なめらかというよりも、やや荒削りのピノキオのようで、それがまたいい。

北朝鮮強制収容所というのは、とにかく収容者への扱いがひどい。豚や動物以下の扱いだった。食料はほとんど与えずに、強制労働をさせられ、だれもやせ細って、ガリガリ

保安部(秘密警察)の監視が厳しく、脱走者は銃殺、知り合いの死に、十字を切ると「クリスチャンだろう」と強制収容所の4段階の最も厳しい「完全統制区域」というところ(一度はいると出られない)に連れていかれる。

北朝鮮側は、強制収容所は存在しないと否定しているが、実際に収容所から脱出した人物の話は説得力があった。

想像を絶する劣悪な地獄の様な環境が映し出されるので、見ていて気が重くなるが、北朝鮮の一端を知る意味でも面白かった。

www.youtube.com

【この映画の世界の評価(一部)】

2020年度アヌシー国際アニメーション映画祭で上映されて大反響を呼び、長編コントルシャン部門にノミネートされた。ナッシュビル映画祭で、長編アニメ部門グランプリ受賞。ワルシャワ国際映画祭で、フリースピリットコンペティション審査員特別賞受賞。プチョン国際アニメーション映画祭で、長編部門特別優秀賞受賞。レインダンス映画祭のポリティコ/ディスカバリー招待作品。第33回東京国際映画祭のワールドフォーカス部門招待作品。

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在日朝鮮人の帰還事業1960年代北朝鮮に渡った在日朝鮮人夫婦と、その子供である兄妹ヨハンとミヒはある日、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことで母親共々強制収容所に入れられ、地獄のような凄惨な生活を送る。

スタッフ

  • 監督・脚本・プロデューサー:清水ハン栄治
  • 制作総指揮:ハン・ソンゴン
  • 制作:アンドレイ・プラタマ
  • 撮影監督:メリータ・ブディマン
  • 美術:ディアン・レスタリス・スパンディ
  • 音楽:マシュー・ワイルダー
  • 音響:コン・ソヌク

上映時間:90分

 

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