「ザ・ベビーシッター」(2017)を見る。B級ホラーコメディというので勢いで見てしまったが、好みでない部類の(笑)スプラッター系ホラー映画だった。途中でやめるのももったいない気がして最後まで見た(Netflix)。
普通の善人と思っていたベビーシッターが実は悪魔崇拝者の一人で「ローズマリーの赤ちゃん」「エクソシスト」「IT/イット」などにも通じる怖~い映画。
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主人公は気の弱い12歳の少年コール。ワクチンではないが、予防接種の注射ですら嫌がるほど臆病な性格。同級生たちにも馬鹿にされていた。
幼馴染の少女メラニーは金持ちの娘で、父親が高級車で学校まで迎えに来る。メラニーは、コールのことを気に掛けていて、父親にコールも一緒に車に乗せてほしいと頼むが、父親は、コールは電車で帰るのが似合うと、父はメラニーと親しくするのを良く思っておらず、二人は関係を縮めることができていなかった。
そんなある日の帰り道、近所に住む悪童のジェレミーにコールがいじめられているところを、コールのベビーシッターであるビーが助ける。
ビーは、性格が明るく奔放で堅苦しさがなく、それでいて真面目に物事を教えてくれるので、コールは信頼を寄せている。
翌日、コールの両親は不仲だが、よりを戻すため定期的に2人きりでホテル泊りをしており、そんな時、コールは、ビーと2人きりになることが決まる。
登下校のバスの中でメラニーがコールにいう。「ビーと2人きりの夜の日はコールが寝た後、ビーは間違いなく男を連れ込んでいる」と。
コールとビーは、プールやダンスなどで遊び、夜になるとビーは寝酒と言ってコールに酒を渡す。ビーの夜の動向を知りたいコールはビーが目を離した隙に酒を植木鉢に捨て飲んだふりをした。
ベッドに入り12時が近くなった時、家に誰かが訪ねてきた。
メッセージでメラニーに「誰かが来た」と送る。すると、メラニーはそれは乱交で間違いないと返信。コールは誰にも見られないように階段からリビングを監視することにした。
リビングにはビーの他に軟派な男マックス、神経質なヨハネ、チアガールの服を着たアリソン、アジア系の女性ソーニャ、そして気弱そうな男性サミュエルがいた。
これから何が始まるのか、固唾を飲んで下の居間を覗き見するコール。
果たして、コールがみたのは・・・。
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【以下ネタバレあり】
集まった若者たち6人は「真実か挑戦か(Truth or Dare)」というゲームを全員で行っていた。ビーが「挑戦」を選ぶと、マックスにこの場にいる全員にキスするように求められる。
物怖じしないビーのこと、一人一人全員にキスをしていくビー。そして、気弱そうな最後のサミュエルにキスした次の瞬間、ビーが両手に持っていた2つのナイフをサミュエルの頭に突き立てるのだった。
何が起きているか分からないサミュエルの周りに残りのメンバーが集まる。ビーは、サミュエルから飛び出た血を杯に集め始め、サミュエルは死んでしまう。
ビーは、古びた本を読み、悪魔を呼び出すための本がこの本しか残っていないと言う。ビーたちはサミュエルを生贄(いけにえ)に悪魔を呼び出し契約することで成功を得ようとする悪魔崇拝者たちだったのだ。
眼下で起きた惨劇に驚愕するコール。ビーが「次は無垢なコールの血」と発言したことを聞くコール。急いで寝室に戻る。
警察に通報し、窓から逃走しようとするコールだったが、間に合わず、ベッドで寝ているフリをする。
ソーニャが注射器でコールから少量の血を抜くと、周りからなぜコールを殺さないのかを問われたビーが無垢な血を持つ人間を探す必要がなくなるからだと答える。
ビーは、コールに渡した酒に睡眠薬を入れており、コールはそれを飲んだので朝まで眠っているはずだと考えていたが、ところがコールはその酒を捨てたことでその効果が現れてはいなかったのだ。
しかし、その一方でビーは、窓があいていることに不信感を抱く。
ビーたちが部屋から去ったあとシーツをロープ代わりに使い窓から出ようとするコールだったが、精神的なストレス負荷で低血糖になりその場に倒れてしまう。コールが目を覚ますと自分が縛られていることに気づき、ビーたちに囲まれている状態だった。
不信感を抱いていたビーは、部屋から出ず、コールが窓から逃げようとして倒れるまでの一部始終を見ていたのだった。
ビーは、何を見たのかとコールに詰問。コールは、ビーたちが両親に内緒で「乱交」していたこと、自身の血を取られたことと述べ、サミュエルの殺害の件は見ていないことにしようとする。
ビーはコールの答えを信じ、あくまでも科学の実験でコールの血を使いたかっただけと話しコールを解放しようとする。
しかし、家に警察が訪ねてきたことからコールが通報したことがビーにバレてしまう。コールが外にいる警察官に大声で助けを求めると、2人の警察官が扉を蹴破り家に突入し、ビーたちに銃を向ける。
しかし、その直後、マックスがひっかき棒を投げ、警察官1人の頭部を貫通。
ひっかき棒の貫通した警察官は反射的に発砲し、弾がアリソンの胸部に命中。
その状況に戸惑うもう1人の警察官をビーが後ろから首を切り殺害する。
警察官にマックスがトドメを刺すと、ビーたちはアリソンのもとへと行くが既に大量の出血をしており助からないことは明白だった。
その間に寝室から持ってきていたポケットナイフで縛られていた縄の拘束を解いたコールは2階へと逃走する。
追ってきたヨハネを押したことでヨハネが2階から転落し、リビングにあったトロフィーが首に刺さり死んでしまう。
その様子を見たビーはマックスとソーニャにコールを殺害するように命令する。
コールは2階の寝室から外に降りると、納屋で殺虫剤と毛布、そしてロケット花火を入手し床下へと逃げ込む。
床下に入ってきたソーニャにロケット花火を打ち込んだコールは床下に入るための格子を塞ぎ、格子を包丁で壊そうとするソーニャに殺虫剤を噴射。
次の瞬間花火の炎によってガス爆発が起こりソーニャは爆死。
その直後、爆発音を聞きつけマックスが、拍手をしながらその場に現れる。
ソーニャを爆死させたことを褒めると、マックスはコールを殺そうとする。
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後半は、殺し合いのすさまじさ。ビーの弱みは、ビーがよりどころにしている古い本だった。コールが、その古い本にライターで火をつけて燃やそうとすると、ビーの表情が一変する。そして形勢が一気に逆転する。
本を燃やすと脅すコールに対して、ビーはもう一度関係をやり直せることを説くが、ビーを信じることができないコールは本を燃やし逃走する。
ビーはコールが床に捨てた火のついた本を一心不乱に枕で叩き消化しようとする。
一方、コールはメラニーの父の車を奪いアクセルを踏み込み、自身が本を落とした地点を目掛け車ごと突入。家を破壊し転倒した車から出たコールは、狙い通り車の下敷きになったビーを見つけ他愛ない会話をする。
コールはビーのことが好きだったがビーがそれを裏切り、そして他の誰かをまだ傷つけようとしたことを許せず、ビーがいるであろう場所に車で突っ込んだと話すコール。
そんなコールにビーは笑顔を向けると、コールは別れを告げ外に出ていく。
現場にはパトカーや消防車、そしてメラニー、コールの両親が駆けつける。
コールは何があったのかと聞く両親に「もうベビーシッターはいらない」と話すのだった。
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12歳にもなった子供に、歳もそう変わらない17,8のベビーシッターをつけるというのも日本ではあまり考えられないが、両親が別居していたり、様々な事情があって、誰もいない家に話し相手としてベビーシッターを雇うのか。特に裕福な家庭では、当然のことなのかもしれない。ナイフが2本、頭に刺さったり、引っ掻き棒が顔を貫通したりと、グロいシーンもあり、かなりイカレタ映画。「キャリー」やスプラッター映画が大丈夫な人は興味本位で見てみては(笑)。